「やりたい」と言ったのに動かない子ども〜 ”やる気を出させる”ではなく、"止まっている場所"を見つける〜
こんにちは😁
マナリンク講師の若田部です。
「受けたいって言ったのは、子どもの方なんです。」
そう話される保護者に、この時期はよくお会いします。
本人が自分で決めたことだから、口出しせずに応援しようと思っている。
でも、いつまで経っても願書も志望理由書も白紙のまま。「そろそろ本当に大丈夫なの?」と聞けば、空気が悪くなる。かといって黙っていれば、不安だけが募っていく。
応援しているつもりなのに、なぜかうまくいかない。そんな感覚を抱えている方は、決して少なくありません。
それは、珍しいことではありません
まず最初にお伝えしたいのは、これはよくあることだということです。
「子どもが自分で言い出したのだから、自分でやるべきだ」という考え方は、間違ってはいません。
ただ、その正しさが、かえって保護者を苦しめることがあります。
「本人が決めたのに、なぜ動けないんだろう」
「私が焦っているのがいけないのかもしれない」
そうやって、自分を責めてしまう方も多いです。
でも、子どもが動かないことと、保護者の関わり方が間違っていることは、必ずしもイコールではありません。
まずはそこから、少し整理していきたいと思います。
🔷「動かない子」の正体🔷
「動かない子は、やる気がない子」
そう見えてしまいがちですが、実際はそう単純ではないことが多いです。
やる気があっても、
何から手をつければいいのかわからない
書き始めた瞬間に「これで合っているのか」という不安に襲われる
そもそも自分が何を伝えたいのか、本人もまだ言葉にできていない
という状態であれば、外からは「動いていない」ようにしか見えません。
本人の中では、止まっているというより、詰まっている。
そういうケースが、実際にはかなり多いというのが、指導を続けてきた実感です。
ここで「やる気の問題」として叱ってしまうと、本人はますます話しづらくなり、詰まりの原因はそのまま置き去りになってしまいます。
🔷「動けない」を2つに分けて考える🔷
私は「動けない」という状態を、大きく2つの要因に分けて見るようにしています。
ひとつは、情報不足による停止です。
志望理由書を書くにも、何をどう書けばいいのかという地図がないまま「書いてみよう」と言われても、動きようがありません。
ゴールまでの手順が見えていない状態は、意志の強さとは関係なく、誰でも足が止まります。
もうひとつは、感情の負荷による停止です。
こちらの方が、実は見落とされがちです。
「立派なことを書かなきゃいけない」
「間違ったことを書いたら恥ずかしい」
というプレッシャーが、書くこと自体を怖くさせてしまう。
本人にも、自分がなぜ書けないのか、うまく説明できないことが多いです。
この2つは、対処の仕方がまったく違います。
情報不足であれば、手順を一緒に整理すればいい。
しかし感情の負荷が原因の場合、手順を教えても状況は変わりません。
まずその子が抱えている重さに、こちらが気づく必要があります。
🔷なぜ、いきなり「志望理由」を聞かないのか🔷
「志望理由書、まだ全然書けていなくて」
そう相談されたとき、私は「じゃあ、まず書いてみよう」とは言いません。
まず聞くのは、「最近、何かに時間を忘れて夢中になったことはある?」という質問です。
部活でも、ゲームでも、推し活でも構いません。
そこから、その子がどんなことにこだわりを持つタイプなのか、何を大事にしているのかを、一緒に探っていきます。
いきなり「志望理由」を聞かれても、言葉が出てこない子は少なくありません。
でも、好きなことについてなら話せる。
その話の中に、その子らしい動機のかけらが、たいてい隠れています。
以前、志望理由書が3ヶ月間、一文字も進まない生徒がいました。
保護者は「やる気がないんです」と心配していましたが、本人と話してみると、理由は違いました。
「立派なことを書かなきゃいけない気がして、書けない」
その子は、やる気がなかったのではなく、「正解を書かなければ」というプレッシャーで固まっていたんです。
「別に、立派じゃなくていいよ。今思っていることでいい」
そう伝えた翌週、その子は初めて2行だけ書いてきました。
たった2行でしたが、そこから少しずつ、言葉が動き始めました。
こうした場面に何度も立ち会ってきて感じるのは、「動けない理由」は、本人に問い詰めて聞き出すものではなく、こちらが観察しながら一緒に見つけていくものだということです。
🔷保護者にできること🔷
もし今、お子さんが総合型選抜を「やりたい」と言ったまま動かずにいるなら、まず試していただきたいのは、問いかけの向きを少し変えてみることです。
「いつやるの?」の代わりに、「今、どこで止まってる?」と聞いてみてください。
同じ「進んでいないよね」という事実を指しているのに、問い方ひとつで、子どもに伝わる印象は変わります。前者は責められているように聞こえ、後者は一緒に考えようとしているように聞こえます。
すぐに答えが返ってこなくても構いません。
「聞いてくれた」という事実だけで、子どもの中の何かが少し軽くなることがあります。
もうひとつ、意識していただきたいのが、焦りの伝え方です。
焦りを完全に隠すのは、正直難しいものです。
無理に隠そうとするより、「早くしなさい」ではなく「私も少し心配になっちゃうんだけど、今どんな感じ?」というように、心配していることは隠さずに、責める言葉にはしない、という伝え方を試してみてください。
この違いだけで、子どもが身構えずに話せるようになることがあります。
🔷まとめ🔷
「本人が言い出したのに動かない」
これは、実はとてもよくあることです。
言い出した瞬間の気持ちと、実際に手を動かす段階の気持ちは、別物だからです。
決意と行動の間には、「どう進めばいいかわからない」という不安の壁があることが多く、その壁の場所や大きさは、子どもによってまったく違います。
だからこそ大切なのは、「やる気を出させる」ことではなく、「その子の壁がどこにあるかを、一緒に見つける」ことだと、私は考えています。
本人が「受験したい」と言った以上、やる気自体はあるんです。
ただ、壁があって、うまくいった未来ややるべきことを見えなくしているだけなんです。
壁が小さくなれば、自ずと動き出します。
そうやって動き出した生徒たちを、たくさん見てきました。
もし、親子だけではその壁がどこにあるのか整理しきれないと感じたら、一度誰かに話してみるのも、ひとつの方法です。
ひとりで悩まない受験を、一緒に。
話だけでも構いません。もしよかったらお話しさせてください。
お問い合わせ、お待ちしております。
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