明日から、今年の受験が始まります|本番直前に生徒へ伝えたいこと
今期も25名ほどの生徒を担当しています。
そのうち、受験生が10名ほど。
そして明日の防衛医科大学校の入試から、いよいよ今年の受験本番が始まります。
ここから春まで、毎年のことですが、少し落ち着かない日々が続きます。
授業をしていても、
「来週が本番です」
「明日、出発します」
「合格しました」
「ダメでした」
いろいろな報告が届く季節になります。
受験生本人はもちろんですが、教えている私にとっても、一年間一緒に考えてきたことが試される時期です。
でも、この時期になると、私はあまり新しいことを教えようとは思いません。
むしろ最後に確認したいのは、
「困ったとき、自分がどこに戻ればいいのか」
ということです。
現代文なら、本文に戻る
本番では、必ず迷う問題が出ます。
選択肢が二つ残る。
どちらも正しいように見える。
時間がなくなって焦る。
そんなときに、
「こっちな気がする」
で決めない。
本文に戻る。
この言葉は何を指しているのか。
何と何が対比されているのか。
この一文は前の一文とどうつながっているのか。
筆者はここで何を否定し、何を主張しているのか。
現代文で困ったら、本文の構造に戻る。
それを一年かけて練習してきました。
英語なら、単語ではなく構造に戻る
英語でも同じです。
本番で知らない単語が出てくるかもしれません。
長い一文が出てきて、一瞬意味が取れなくなるかもしれません。
でも、そこで、
「この単語を知らない。終わった」
とは考えない。
主語はどこか。
述語動詞はどれか。
何が何を修飾しているのか。
前の文とは、対比なのか、因果なのか、具体例なのか。
そして段落全体では何を言っているのか。
知らない単語があっても、構造は残っています。
そこから推論すればいい。
これも、普段の授業で何度もやってきたことです。
小論文なら、「なぜ?」に戻る
小論文も同じです。
本番で、予想していなかったテーマが出るかもしれません。
そんなときに、覚えてきた知識を無理やり当てはめようとすると、論が横に広がっていきます。
だから、
「私は何を主張するのか」
そして、
「なぜ、そう考えるのか」
に戻る。
問い。
主張。
根拠。
この三つを一本につなぐ。
難しい言葉を書く必要はありません。
自分がなぜそう考えたのかを、読み手が追えるように書けばいい。
総合型選抜なら、「自分の問い」に戻る
面接も同じです。
想定質問を100問覚えても、その100問以外の質問は必ず出てきます。
だから私は、一問一答を丸暗記することを目的にはしていません。
「なぜ、この大学なのか」
「なぜ、この学問なのか」
「なぜ、その問題があなたにとって重要なのか」
その根っこにある、
「私は何を知りたいのか/何を知らないのか」
がわかっていれば、初めて聞かれた質問にも自分で考えて答えることができます。
志望理由書も、小論文も、面接も、最後はここにつながっています。
本番で必要なのは、「自分で戻ってこられること」
こうして考えると、私が一年間教えていることは、教科によってそれほど違わないのかもしれません。
現代文なら、文章の構造へ。
英語なら、英文の構造へ。
小論文なら、問い・主張・根拠へ。
総合型選抜なら、自分自身の問いへ。
わからなくなったときに、
「自分は何を手がかりに、もう一度考えればいいのか」
を持っていること。
私は、それが受験本番でかなり大切な力だと思っています。
先生は試験会場には行けません。
本番では、隣に座って、
「そこ、もう一回読んでみようか」
「その根拠、どこ?」
「なぜそう思ったの?」
とは言えません。
だから授業の最終的な目的は、先生がいなくても考えられるようになることです。
「先生がいなくてもできる」が、授業のゴール
これは少し変な話かもしれません。
塾の先生なのだから、生徒から必要とされるほうがいいようにも思います。
でも、私は反対だと思っています。
最初は、
「先生、わかりません」
でいい。
一緒に文章を読む。
一緒に考える。
「なぜ?」と聞く。
また考える。
それを繰り返しているうちに、いつか、
「先生、ここはこういうことですよね」
と生徒のほうから言うようになる。
そして最後には、私が何も言わなくても、
自分で読み、自分で問い、自分で根拠を探し、自分で答えを出せるようになる。
先生がいなくてもできるようになること。
それが、私の授業のひとつのゴールです。
明日から受験が始まります
明日の防衛医科大学校を皮切りに、今年もそれぞれの生徒の受験が始まります。
ここまで来たら、私にできることはそれほど多くありません。
これまで一緒にやってきたことを確認すること。
困ったときに戻る場所を確認すること。
「今夜は早く寝るんだよ」と言って送り出すこと。
わからない問題が出てもいい。
知らない言葉が出てもいい。
予想していなかった質問をされてもいい。
そのときに、
「さて、何を手がかりに考えようか」
と考えてほしい。
それができるようになるために、これまで一緒に勉強してきたのですから。
今年も受験の季節が始まります。
受験生のみなさん。
いつもどおり、考えてきてください。
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