立教大学大学院文学研究科教育学専攻に合格しました|私自身も「問い」を持って学び続けます
このたび、立教大学大学院文学研究科教育学専攻に合格しました。
来春から、授業を続けながら大学院で教育学を学ぶことになります。
こう書くと、単なる合格報告のように見えるかもしれません。
でも、今回このことをブログに書こうと思ったのは、「大学院に合格しました」とお伝えしたかったからだけではありません。
私が普段、生徒のみなさんに伝えていることを、今度は私自身が実践することになったからです。
「あなたは、何を知りたいのですか?」
総合型選抜の指導をしていると、生徒からさまざまな言葉が出てきます。
「地域創生について学びたいです」
「異文化理解に興味があります」
「教育格差をなくしたいです」
「自己肯定感について研究したいです」
もちろん、どれも大切なテーマです。
でも、私はそこで終わらせません。
「なぜ、それが気になるの?」
「いつからそう思っていたの?」
「何かきっかけがあった?」
「あなたが本当にわからないと思っていることは何?」
何度も話しているうちに、その生徒自身の経験から出てきた「問い」が少しずつ見えてきます。
私は、総合型選抜で最も大切なことのひとつが、ここにあると考えています。
立派な言葉を並べることではありません。
自分は何を不思議に思い、何を知りたくて、そのためになぜ大学で学びたいのか。
そこまで自分の言葉で語れるようになることです。
今回は、私自身がそれを問われました
大学院を受験するにあたって、当然ながら私自身も、
「何を研究したいのか」
「なぜそれを研究したいのか」
「これまでどのようなことを考えてきたのか」
「なぜ大学院で学ぶ必要があるのか」
「なぜ、この大学なのか」
を考えることになりました。
つまり、普段私が総合型選抜を受験する生徒に問いかけていることを、今度は自分自身が問われたわけです。
これは、とてもよい経験でした。
志望理由を考えることの難しさもわかる。
自分の問題意識を言葉にする難しさもわかる。
自分ではつながっていると思っていることが、他者から見れば十分につながっていないこともある。
そして、自分の経験から生まれた素朴な疑問を、研究可能な「問い」へ変えていく難しさもあります。
実際に受験する側に立ったことで、総合型選抜を受験する生徒たちが直面していることを、私自身もあらためて経験することになりました。
「合格した先生だから有利」という意味
では、大学院に合格したことが生徒のみなさんにとって何か役に立つのでしょうか。
私は、役に立つと思います。
ただし、「合格した先生だから合格させられる」という意味ではありません。
入試に絶対はありません。
そうではなく、
問いを立て、自分の経験と結びつけ、先行する議論を調べ、なぜその大学で学ぶのかを考え、それを他者に伝わる言葉にする。
そのプロセスを、私自身が直近の受験者として経験したことに意味があると思っています。
総合型選抜でも、
「私は○○に興味があります」
だけでは十分ではありません。
なぜ興味があるのか。
そこにどんな問いがあるのか。
大学で何を学べば、その問いを深められるのか。
その大学の先生や授業、研究環境と自分の問いはどうつながるのか。
卒業後、その学びをどう社会や自分の人生につなげたいのか。
これらを一本につなげていく必要があります。
私自身が今回、受験生としてその作業を経験しました。
その経験は、これからの総合型選抜指導にも還元していきたいと思っています。
私が大学院で考えたいのも、「問い」についてです
そもそも、私が教育について考えるようになったのは、長く生徒を教えてきた経験と無関係ではありません。
授業をしていると、生徒は最初から立派な「問い」を持ってやってくるわけではありません。
むしろ、
「なんか変」
「なんか嫌だ」
「なんでだろう」
「うまく言えないけど気になる」
そんなところから始まることが多い。
私は、この「なんか」をとても大切にしています。
なぜなら、そのまだ言葉になっていない違和感のなかに、その生徒自身の問いの芽があることがあるからです。
ところが教育では、ときに「正しい答え」を早く出すことが優先されます。
すると、せっかく本人のなかに生まれていた「なんか」が、問いになる前に消えてしまう。
私は、
問いをどう作らせるか、ということよりも、問いになる以前の違和感を、教育が消さないためにはどうすればよいのか。
ということを考えています。
大学院では、これまで授業のなかで考えてきたことを、教育学や哲学の研究と往復しながら、より深く考えていきたいと思っています。
「正解を教える」だけの授業にはしたくない
これは、私の普段の授業ともつながっています。
もちろん、入試には正解があります。
現代文にも、英語にも、共通テストにも、正答を導くための方法があります。
文法も教えます。
文章構造も教えます。
設問の見方も教えます。
小論文なら、問い・主張・根拠の組み立て方も教えます。
ただ、それだけで授業を終わらせたくはありません。
「先生、この文章って、結局どういうことなんですか?」
「なぜ筆者はこんなことを言うんですか?」
「私はこの意見には納得できないんですけど」
そんな言葉が生徒から出てきたとき、
「入試には関係ないから」
と切ってしまうのではなく、
「それ、面白いね。一緒に考えてみよう」
と言える先生でありたいと思っています。
正解があるところでは、正解に至る方法をきちんと教える。
正解がひとつではないところでは、一緒に考える。
それが私の授業の基本的な姿勢です。
これまでお世話になった先生方に合格の報告をしました
合格が決まってから、私が日ごろからおおいにお世話になっている大学関係の先生方にも報告しました。
中島義道先生、福田肇先生、江川晃先生、そして中ちゃん(67歳)です。
振り返ってみると、私自身の学びは半ば独学であったもののしかし、けっして一人でつくってきたものではありませんでした。
以前、中島義道先生に、自分がこれからどのような哲学をやっていきたいのかをお話ししたことがあります。
そのとき中島先生から、キルケゴールを学んだあとは、福田肇先生のもとでフランス現代哲学を学ぶとよい、と言っていただきました。
その言葉をきっかけに福田先生のもとで学ぶようになり、福田先生には本当に熱心に教えていただきました。このことが直接的に、今回の大学院入試につながっています。
江川晃先生にも、多くのことを教えていただきました。とりわけ、アカデミックイングリッシュの読解について。
そして、「おめでとう」なしに「また飲みに行くか」と1行だけの返信がきた中ちゃん! 私にとっては先生であり、いまでは飲み友達の「中ちゃん」でもあります。
こうして振り返ると、自分が何かを学ぶとき、そこにはいつも師がいました。
ある先生から問いを渡され、別の先生のところへ行く。
そこでまた新しい思想や言葉に出会い、自分が考えていたことが少し変わる。
そして、また次の問いが生まれる。
学ぶということは、知識を一人で積み上げていくことだけではなく、こうして人から人へと手渡されていくものなのかもしれません。
今回、立教大学大学院で教育学を学ぶことになったことも、私にとってはその続きです。
だからこそ、今度は教える立場にいる自分が、生徒に何を手渡せるのかを考えます。
答えを渡すだけではなく、
「それ、面白いね」
「なぜそう思ったんだろう」
「もう少し一緒に考えてみよう」
と、その生徒のなかに生まれた問いを次の学びへつなぐこと。
私自身が先生方にしていただいたように、生徒がまだ知らない世界へ向かうためのきっかけを渡すこと。
それもまた、私が考える「教える」という仕事のひとつです。
教える人間も、学び続ける
私はこれまで長く、生徒を教えてきました。
それでも、教育についてわからないことはたくさんあります。
むしろ教えれば教えるほど、
「なぜ、この生徒はここで立ち止まるのだろう」
「なぜ、同じ説明をしても理解の仕方が違うのだろう」
「問いは、どこから生まれるのだろう」
「教育とは、そもそも何をすることなのだろう」
と、わからないことが増えてきました。
だから、もう一度大学院で学びます。
教える側だから、すでに答えを持っている。
私はそうは思っていません。
教える人間自身が、問いを持って学び続ける。
その姿を生徒にも見てもらえたらと思っています。
そして大学院で学んだことを、研究のためだけに閉じるのではなく、現代文、英語、小論文、総合型選抜など、日々の授業へ少しずつ還元していきます。
高校生のみなさんへ
総合型選抜を考えている人のなかには、
「自分には立派な経験がない」
「研究したいことなんて、まだわからない」
「志望理由書に書けることがない」
と思っている人もいるでしょう。
でも、最初から完成した問いを持っている必要はありません。
「なんか気になる」
「どうしてこうなんだろう」
そのくらいから始めていい。
そこから一緒に話し、調べ、考えながら、
自分は何を知りたいのか。
を少しずつ言葉にしていけばいいのです。
私自身もまた、新しい問いを持って大学院へ行きます。
先生と生徒という立場は違いますが、
わからないことを、わからないままにせず、一緒に考える。自分にとことん誠実に考え続ける。
これからも、そんな授業を続けていきたいと思っています。
この先生のおすすめコース
- 小論文の書き方がわからない!勉強法もわからない!
- 総合型選抜・学校推薦型で推薦合格したい!
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- 慶応義塾大学に興味があるが、学力的に今の自分よりレベルが高くて悩んでいる
- 慶応義塾大学SFCに入るために様々な活動をしてきたが、うまく表現できない
- 今の自分の実力に自信が持てずに、志望校のレベルを落とそうとしている
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