算数が苦手な子にこそ伝えたい、途中式の大切さ
算数の授業をしていると、頭の中で一生懸命計算しようとしているお子さんに出会うことがあります。考え方は合っているのに、途中で数字を取り違えてしまったり、計算の順序がわからなくなってしまったり。答え合わせをしてみると、ほんの小さな計算ミスで正解を逃していることも少なくありません。
そんなとき、私は「もう少し手を動かしてみようか」と声をかけることがあります。
途中式を書くことは、単に計算の過程を残すためだけではありません。
頭の中にある考えを整理し、次に何をすればよいのかを確認するための、大切な手助けになるからです。
例えば、いくつもの計算を頭の中だけで進めようとすると、最初に出した数字を覚えながら、次の計算も考えなければなりません。
大人でも、買い物の合計金額を暗算している途中で「あれ、今いくらだったかな?」となることがありますよね。算数も同じです。
途中の計算を紙に書いておけば、その数字を覚えておく必要がなくなり、次に考えることに集中できます。つまり、途中式は先生に見せるために書くものではなく、自分の頭を整理するために書くものなのです。
また、途中式にはもう一つ、大切な役割があります。
それは、間違えたときに、どこでつまずいたのかがわかることです。
答えだけが書かれている場合、間違いの原因が計算なのか、考え方なのかを見つけるのは難しいものです。一方、途中式が残っていれば、「ここまでは合っていたね」「この計算だけ、もう一度確認してみよう」と、一つずつ振り返ることができます。自分ができていた部分を確認できることは、算数に苦手意識のあるお子さんにとっても、大切なことだと思います。
もちろん、すべての計算を細かく書く必要はありませんし、途中式を書いたからといって、すぐに計算ミスがなくなるわけでもありません。でも、自分が考えやすくなるように、必要なところで手を動かす習慣を身につけることは大事なことです。
最初は少し面倒に感じるかもしれません。それでも書くことに慣れてくると、複雑な問題でも落ち着いて考えられるようになっていきます。
算数が苦手なお子さんほど、「頭の中だけで全部考えなくてもいいんだよ」と伝えてあげたいと思っています。紙と鉛筆は、答えを書くためだけの道具ではありません。考えることを助けてくれる、心強い味方でもあります。
計算ミスを減らすための第一歩として、まずは少しだけ、手を動かすことから始めてみてはいかがでしょうか。
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