【高校英語】中学英語との違いで80%がつまずく原因と大学受験に勝つ本質的勉強法
高校英語でつまずく80%の生徒が知らない「本質的理解」の重要性

なぜ中学まで取れていた点数が高校で取れなくなるのか
中学英語では良い点数が取れていたのに、高校に入ってから急に英語が分からなくなった――そんな経験をしている高校生は決して少なくありません。実際、全体の8割以上の生徒が、高校英語への移行期に大きな困難を感じていると言われています。
この問題は、決してあなたの能力や努力不足が原因ではありません。中学英語と高校英語では、求められる学習アプローチが根本的に異なるのです。
中学英語で「成功」できた理由
中学までの英語学習範囲は、高校英語と比べると非常に限定的です。中学3年間で学ぶ単語数は約1,000語程度で、文法事項も基礎的なものが中心です。この限られた範囲であれば、学校の教科書を中心に暗記してしまえば、ある程度の点数を取ることができました。
多くの生徒が採用していた学習法は以下のようなものでした:
英文を一語一語日本語に訳す
日本語の語順に並び替えて理解する
文法規則を丸暗記する
教科書の英文をそのまま覚える
このアプローチは、中学レベルの限定的な内容であれば十分に機能します。実際、テストでも良い成績を収めることができたでしょう。しかし、ここに大きな落とし穴があったのです。
高校英語で直面する「壁」の正体
高校に入ると、英語学習の環境は劇的に変化します。高校で新たに学ぶ単語は約2,000語ですが、大学受験を見据えると、さらに厳しい現実が待っています。難関大学を受験するなら7,000~8,000語、中堅大学でさえ4,000語の習得が必要とされています。文法事項も複雑化します。しかし、本当の問題はそこではありません。
抽象的で広範な内容への対応
高校英語では、扱う内容がより広く、より抽象的になります。日常会話レベルの具体的な話題から、社会問題、科学、文化、歴史など、幅広いテーマを英語で理解することが求められます。
日本語訳への依存が限界に達する
中学時代に日本語訳に頼って得点してきた生徒は、高校の長文読解で大きな壁にぶつかります。一語一語を日本語に訳していては時間が足りず、しかも訳しても全体の意味が掴めないという事態に陥ります。
研究によると、日本の高校生の多くは「単語は読めるが文章の意味が理解できない」という状態に陥っています。これは、表面的な暗記に頼り、英語の本質的な構造を理解していないことが原因です。
複雑な文構造の出現
高校英語では、関係代名詞、分詞構文、仮定法など、複雑な文法構造が頻繁に登場します。これらを日本語訳の技術だけで処理しようとすると、混乱は避けられません。
問題の本質:「暗記」から「理解」へのシフトができない
この問題を解消するためには、まず英語の本質を理解することが重要です。それは何でしょうか?
英語の本質とは「全体の構造」と「大枠の流れ」
英語という言語には、固有の構造とルールがあります。それは単なる単語の羅列ではなく、意味を伝えるための体系的なシステムです。
英語の構造を理解するとは:
SVOCの基本構造(主語・動詞・目的語・補語)を正確に把握すること
形容詞的修飾(名詞を修飾する要素)と副詞的修飾(動詞や文全体を修飾する要素)を理解すること
これらの修飾要素が基本構造にどのように付加されるかを見極めること
主語・動詞・目的語という語順が意味を決定すること
文と文がどのようにつながって全体の意味を作るか
冠詞や前置詞が果たす重要な役割
英語特有の論理展開のパターン
大枠の流れを掴むとは:
文章全体で何を伝えようとしているか
各段落がどのような役割を果たしているか
主張と根拠の関係性
具体例と抽象概念のつながり
これらの「英文解釈の基礎」を理解せずに、細かい文法規則や単語の意味だけを覚えても、実際の読解では役に立ちません。
効果的な学習アプローチ:構造から細部へ
英語の本質を理解するための効果的なアプローチは、「全体から細部へ」という順序で学ぶことです。これは、中学時代の「細部を積み重ねる」学習法とは真逆のアプローチです。
ステップ1:基本的な文構造を完全に理解する
まず、英語の基本的な文構造を徹底的に理解しましょう。これには以下が含まれます:
英語の基本文型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOC)
各要素がどのような情報を伝えるか
日本語とどのように異なるか
基本文型の変形パターン
この段階では、難しい単語や複雑な文法は必要ありません。シンプルな文で構造を理解することが目標です。
ステップ2:訳さずに「英語のまま」理解する訓練
日本語に訳さず、英語の語順のまま意味を理解する訓練を始めましょう。これは最初は難しく感じるかもしれませんが、必須のスキルです。
練習方法:
簡単な文から始める
前から順に意味を取っていく
全体の意味が掴めたら次へ進む
徐々に文の長さと複雑さを増やす
研究によれば、理解可能な内容(90-98%が理解できる内容)を大量に読むことで、生徒は1時間あたりTOEICスコア0.5点分の実力向上を達成できることが示されています。
ステップ3:文法を「使い方」として学ぶ
文法規則を暗記するのではなく、「なぜその文法が使われるのか」「どんな意味を伝えるのか」という観点から学びましょう。
例えば、現在完了形を学ぶ際:
なぜ過去形ではなく現在完了を使うのか
話し手がどんなニュアンスを伝えたいのか
どのような文脈で自然に使われるか
このような理解があれば、文法は障害ではなく、意味を正確に理解するためのツールになります。
ステップ4:段階的に細部へ深める
基本構造と大枠の流れが理解できたら、徐々に細かい部分へと学習を深めていきます:
より複雑な文構造
専門的な語彙
微妙なニュアンスの違い
文化的背景知識
この順序で学ぶことで、理解が飛躍的に早まります。土台がしっかりしているため、新しい知識が既存の知識体系にスムーズに統合されるのです。
「読める楽しさ」を実感する瞬間
この学習アプローチを実践した生徒たちは、ある時点で大きな変化を経験します。それは、英語が「分かる」ようになる瞬間です。
長文を読むのが苦痛ではなくなる
辞書を引く回数が減る
全体の意味がすっと頭に入ってくる
英語を読むこと自体が楽しくなる
この「読める楽しさ」は、単なる感情的な満足ではありません。真の理解に基づく楽しさは、学習意欲を高め、さらなる上達を促す好循環を生み出します。
大学入試での「大きな武器」になる理由
構造的理解に基づく英語力は、大学入試において決定的なアドバンテージとなります。
現代の入試が求める能力
最近の大学入試では、以下のような能力が重視されています:
長文の主旨を素早く把握する力
段落間の論理関係を理解する力
筆者の意図や態度を読み取る力
限られた時間で正確に情報を処理する力
これらは全て、英語の構造的理解があってこそ発揮できる能力です。
暗記型学習の限界
一方、暗記中心の学習をしてきた生徒は、入試で以下のような困難に直面します:
時間内に長文を読み切れない
選択肢の微妙な違いが判断できない
複雑な文構造で混乱する
知らない単語が出ると思考が止まる
構造を理解している生徒は、未知の単語があっても文脈から意味を推測でき、複雑な文も論理的に分解して理解できます。結果として、同じ学習時間でも圧倒的に高いパフォーマンスを発揮できるのです。
教師や指導者に求めるべきこと
この学習法を実践する上で、教師や塾の講師に以下のようなサポートを求めることができます:
単なる日本語訳ではなく、構造の説明を求める
自分のレベルに合った教材の推薦を依頼する
理解度をチェックするための質問をしてもらう
効果的な学習方法についてアドバイスをもらう
遠慮せずに質問し、自分の学習プロセスを共有することで、より効果的な指導を受けられます。
長期的な視点:大学、そしてその先へ

高校での英語学習は、単に大学入試のためだけではありません。構造的理解に基づく英語力は、大学での学び、そして社会人としてのキャリアにおいても重要な資産となります。
大学での学び
英語の専門書や論文を読む力
留学や国際交流の基礎
アカデミックな議論に参加する能力
キャリアでの活用
グローバルな仕事環境への対応
最新の海外情報へのアクセス
国際的なコミュニケーション能力
今、高校で身につける「本質的な理解」は、生涯にわたって価値を持ち続けます。
まとめ:今日から変わる英語学習
高校英語でつまずいている8割以上の生徒は、決して能力が足りないわけではありません。ただ、学習アプローチを変える必要があるだけなのです。
重要なポイント:
暗記と日本語訳に頼る学習から脱却する
英語の構造と大枠の流れをまず理解する
全体から細部へと段階的に学習を深める
「読める楽しさ」を実感しながら学ぶ
大学入試、そして将来を見据えた英語力を養う
この変化は一夜にして起こるものではありません。しかし、正しい方向で努力を続ければ、必ず結果は現れます。英語が「分からない科目」から「得意科目」へ、さらには「将来の武器」へと変わる――その可能性は、今この瞬間から始まります。
明日からではなく、今日から。次に英語の教科書を開くとき、日本語に訳すことを一度やめて、全体の構造を見てみましょう。その小さな一歩が、あなたの英語学習を根本から変える第一歩となるはずです。