【帰国子女の高校受験①】何から始める?帰国生入試の制度と受験準備を最初に整理しよう
■海外から帰国する前に知っておきたい「高校受験」の全体像
「海外から日本に帰国することになったけれど、高校受験は何から始めればいい?」
「帰国子女なので、一般入試とは別の入試を受けられるの?」
「帰国生入試なら、どの高校でも受験できるの?」
帰国に伴う高校受験については、こうした疑問を持つ保護者の方が少なくありません。
実は、帰国子女の高校受験を考えるときに最初に知っておきたいのは、
「帰国子女なら全国どこでも同じ入試を受けられるわけではない」
ということです。
高校入試は、都道府県の公立高校、国立高校、私立高校などで制度が異なります。
さらに、公立高校でも地域によって「海外帰国生徒を対象とした選抜」が設けられている場合と、一般入試を基本としながら海外在住歴などを踏まえた配慮が行われる場合があります。
そのため、帰国が決まったら、
「帰国子女だから帰国生入試を探す」
だけでは不十分です。
大切なのは、
「いつ帰国するのか」
「どこに住むのか」
「どの高校を目指すのか」
「その高校にはどのような選抜方法があるのか」
を順番に確認することです。
今回は、帰国子女の高校受験について、まず知っておきたい全体像を整理します。
1.まず知っておきたい「帰国生の高校受験は全国共通ではない」
帰国生の高校受験を考える際、最初に注意したいのが、
全国共通の「帰国子女高校入試」という1つの制度があるわけではない
という点です。
文部科学省は、外国人生徒等の高校進学に関して、特別定員枠の設定や、試験教科の軽減、問題文へのルビ振りなど、地域の実情に応じた取り組みを進めることを示しています。
一方、実際の入試制度は、各都道府県や学校によって異なります。
例えば東京都では、都立高校について「海外帰国生徒対象の選抜」が実施されています。
令和9年度入試では、海外帰国生徒対象4月入学生徒の選抜について、
出願:2027年1月29日~2月4日
検査:2027年2月15日
合格発表:2027年2月17日
と定められています。
つまり、
「帰国生だから一般入試しかない」わけでもなければ、
「帰国生ならどこでも特別な入試を受けられる」わけでもありません。
この違いを最初に理解しておくことが大切です。
2.高校受験では「公立・国立・私立」を分けて考える
帰国生の高校受験を考えるときは、まず志望校を大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。
① 公立高校
都道府県などが設置する高校です。
地域によって入試制度が大きく異なります。
海外帰国生徒を対象とした選抜が設けられている地域もあれば、一般選抜を中心に考える必要がある地域もあります。
また、出願資格や帰国時期、海外での在学期間などの条件も学校・自治体によって異なります。
② 国立大学附属高校
国立大学の附属高校にも、帰国生を対象とした選抜を実施する学校があります。
例えば筑波大学附属高等学校では、一般枠とは別に「海外帰国枠」が設定されています。令和8年度の海外帰国枠は出願8人、受検5人、合格3人でした。
国立高校については、
「自分が住む都道府県の公立高校」だけを探すのではなく、全国の国立附属高校も選択肢に入る場合がある
ことを知っておくとよいでしょう。
ただし、募集資格や居住条件などは学校ごとに確認が必要です。
③ 私立高校
私立高校は、学校ごとに入試制度を設定しています。
帰国生を対象とした入試を実施している学校もあり、一般入試とは異なる日程・科目・出願条件が設定される場合があります。
例えば2027年度の帰国生入試情報では、高校についても海外会場や国内会場での入試、英語を含む複数教科による選抜など、学校ごとにさまざまな方式が確認できます。
そのため私立高校の場合は、
「帰国生入試があるか」だけではなく、
「いつ・どこで・何を受験するのか」
まで確認することが重要です。
3.帰国生入試を調べるときは「名前」だけで判断しない
「帰国生入試」
「海外帰国生徒選抜」
「帰国生徒選抜」
など、学校によって呼び方は異なります。
さらに、帰国生向けの制度があっても、
学力検査
面接
作文
小論文
英語
国語
数学
調査書
海外の学校の成績
など、評価される内容はさまざまです。
したがって、
「帰国生入試がある=勉強しなくても受験できる」
という意味ではありません。
むしろ、学校によっては一般入試とは異なる対策が必要になる場合があります。
例えば英語を重視する学校であれば、海外で身につけた英語力を活かせる可能性があります。
一方で、日本の高校受験で必要になる国語や数学、日本の社会・理科などについては、海外の教育課程によって学習状況に差が出ることがあります。
ここが、帰国生の高校受験で早めに確認しておきたいポイントです。
4.最初に確認したいのは「帰国時期」
帰国子女の高校受験で非常に重要なのが、
「いつ日本に帰国するのか」
です。
例えば、
・中3の4月に帰国
・中3の9月に帰国
・中3の12月に帰国
・中3の1月に帰国
・入試直前に帰国
では、受験準備の方法が大きく変わります。
早く帰国できる場合は、日本の中学校に在籍して、
内申
定期テスト
日本の教科書
日本の入試形式
などに慣れる時間を確保しやすくなります。
一方、帰国が遅くなるほど、
「帰国してから日本の高校入試に合わせる」
時間が短くなります。
そのため、帰国日が決まった段階で、
「帰国後に何をするか」ではなく、「帰国前から何を準備するか」
を考えることが重要です。
5.次に確認するのが「海外での在学期間」
帰国生の入試では、学校によって海外での在学期間や海外滞在期間などについて条件が設定されている場合があります。
例えば愛知教育大学附属高等学校の令和8年度募集要項では、海外で引き続き2年以上の学校生活を送り、一定の帰国時期に該当することなどを海外帰国生徒選抜の出願資格として定めています。
このように、
「海外に住んでいたから帰国生入試を受けられる」
とは限りません。
確認するべきなのは、
・海外に何年間いたか?
・海外の学校に何年間在籍したか?
・帰国した時期
・出願時点でどこに住んでいるか?
・入学後の居住地に条件があるか?
などです。
そして、これらの条件は学校ごとに異なります。
6.「帰国後○年以内」という条件にも注意
帰国生入試を調べていると、
「帰国後○年以内」
という表現を見かけることがあります。
ここは非常に注意が必要です。
なぜなら、
「帰国後3年以内」
と書いてあっても、
◎いつを基準に3年なのか
は学校によって確認する必要があるからです。
また、
・出願時点
・入学時点
・3月31日時点
・帰国日
・海外在住期間の終了日
など、基準となる時点が異なる場合があります。
「だいたい3年以内だから大丈夫だろう」
と判断せず、必ずその年度の募集要項を確認しましょう。
この点については、今後の連載第4回で具体例を使って詳しく解説します。
7.「一般入試」も必ず候補に入れる
帰国生のご家庭では、
「帰国生なので、帰国生入試を受ける」
と最初から決めてしまうことがあります。
しかし、必ずしも帰国生入試だけに絞る必要はありません。
学校によっては、
帰国生向けの選抜と一般選抜の両方を検討できる
場合があります。
また、志望校によっては帰国生向けの特別な選抜がなく、一般入試を受けることになります。
そのため、
帰国生入試=第一選択
と決めるのではなく、
A:帰国生向け選抜
B:一般選抜
C:私立・国立の帰国生入試
というように複数の可能性を比較していくことが大切です。
8.「帰国する場所」も受験戦略に影響する
帰国後にどこへ住む予定なのかも重要です。
例えば、
東京に帰国する場合
東京都立高校の制度を調べることになります。
一方、
愛知県に帰国する場合
愛知県の公立高校制度を確認する必要があります。
愛知県では令和9年度について、海外現地校から県立高校へ出願する場合の案内や、県外・海外からの出願に関するQ&Aなどが用意されています。
大阪府に帰国する場合
府外からの公立高校受験について、入学日までに本人・保護者の住所が府内になることが確実な場合など、一定の条件のもとで応募資格審査を経て出願できる仕組みがあります。
つまり、
「帰国子女」という条件だけで受験できる学校が決まるわけではありません。
帰国先・居住予定地も、早い段階で確認しておきたいポイントです。
9.帰国子女の高校受験は「情報戦」になりやすい
ここまで読んで、
「思ったより確認することが多い……」
と感じた方もいるかもしれません。
実際、帰国生の高校受験では、
・帰国時期
・海外在住期間
・海外の学校での在学期間
・帰国先
・志望校
・出願資格
・試験科目
・面接・作文
・調査書
・出願時期
など、一般的な高校受験とは別に確認する項目があります。
しかも、これらは全国一律ではありません。
だからこそ、
「勉強を始める前に、受験できる学校を調べる」
ことが重要になります。
受験勉強と学校選びを別々に考えるのではなく、
「受験できる学校を確認する → 必要な科目を確認する → 現在の学力との差を確認する → 学習計画を作る」
という順番で進めると整理しやすくなります。
10.帰国が決まったら、まずこの5つを確認しましょう
帰国子女の高校受験を考え始めたら、最初に次の5項目を整理してみてください。
① 帰国予定日
「何月に日本へ帰国するのか」
↓
② 帰国後の居住地
「どの都道府県・地域に住むのか」
↓
③ 海外での学校歴
「どの学校に、何年間通っていたのか」
↓
④ 日本の中学校での在籍予定
「帰国後、日本の中学校にいつから在籍するのか」
↓
⑤ 志望校候補
「公立・国立・私立のどこを考えているのか」
この5つが整理できると、かなり具体的に受験制度を調べられるようになります。
11.帰国時期によって「準備の優先順位」も変わる
ここで簡単に、帰国時期による違いを見てみましょう。
中3の4~6月ごろに帰国
比較的、日本の中学校生活に慣れる時間があります。
そのため、
内申対策
日本の教科書の確認
定期テスト対策
模試
入試問題演習
を並行して進めやすくなります。
中3の7~9月ごろに帰国
夏以降の学習と受験準備を急いで整理する必要があります。
特に、
日本の入試形式に慣れること
が重要になります。
中3の10~12月ごろに帰国
帰国してから入試までの時間がかなり限られます。
そのため、
「帰国してから志望校を探す」
のではなく、
帰国前に候補校と必要な手続きを調べておく
ことが重要になります。
中3の1~2月ごろに帰国
一般的な公立高校の出願時期と重なる可能性があります。
この場合、
「帰国してから調べれば間に合う」
とは限りません。
出願資格や必要書類、海外の学校の成績証明書などを早い段階から確認しておく必要があります。
12.この連載では「制度」から「地域別の実践」まで解説
今回の第1回では、帰国子女の高校受験を考えるうえでの全体像を整理しました。
ここから先は、さらに具体的に、
「では、実際にどんな制度があるの?」
というところを掘り下げていきます。
今後は、
第2回
「特別措置」と「特別入学枠」は何が違うのか
帰国生向けの選抜と、一般入試における配慮・特別措置を整理します。
第3回
都道府県でこんなに違う!地域差の実態
東京・愛知・大阪などを例に、自治体ごとの制度の違いを確認します。
第4回
「在住○年以上・帰国後○年以内」の読み方
出願条件の典型例と注意点を整理します。
第5回
公立高校の帰国生入試、実際の試験内容は?
学力検査、面接、作文など、実際の選抜方法を見ていきます。
そして後半では、
制度がない地域での対応
国立大学附属高校
私立高校の帰国生入試
関東・関西・東海のモデルケース
帰国時期が早い・遅い場合の受験準備
まで、具体的に解説していきます。
まとめ|帰国子女の高校受験は「勉強」より先に「制度」を確認する
帰国子女の高校受験で最初にやっておきたいことは、
いきなり問題集を始めることではありません。
まず、
「自分はどの高校を受験できるのか」
を確認することです。
そのためには、
帰国予定日
帰国後の居住地
海外での学校歴
日本の中学校への在籍予定
志望校候補
を整理します。
そして、
公立・国立・私立
のそれぞれについて、
帰国生向け選抜があるか
一般入試を受けるのか
出願資格を満たしているか
試験科目は何か
面接・作文はあるか
必要書類は何か
出願時期はいつか
を確認していきます。
帰国生の高校受験は、一般的な高校受験と比べて「調べること」が多い受験です。
だからこそ、
早く情報を整理したご家庭ほど、その後の学習計画を立てやすくなります。
特に帰国時期が中3の後半になる場合は、出願時期との関係で準備期間が短くなる可能性があります。
「帰国は決まったけれど、どの高校を受験できるのか分からない」
「帰国生入試と一般入試のどちらを考えればいいのか分からない」
「海外にいる間に、何を勉強しておけばいいのか知りたい」
という場合は、まず帰国予定時期・帰国先・海外での学校歴を整理するところから始めてみてください。
この3つが分かれば、受験できる可能性のある学校と必要な準備を、かなり具体的に絞り込むことができます。
次回は、帰国生の高校受験で特に混乱しやすい、
「特別措置」と「特別入学枠は何が違うのか」
について、実際の制度を確認しながら整理していきます。
この先生のおすすめコース
- 数か月後〜数年以内に日本への帰国を予定している (日本の学校の授業についていけるか不安など)
- 家庭以外で日本語を使う機会が少ない(現地校に通っている、日本語学校が近くにないなど)
- 日本語は話せるが、読む・書くことに不安がある(漢字が苦手、長文を読むのが苦手など)
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海外子女におすすめの指導コース
- 幼少期を海外で過ごし、日本語や国語に苦手意識や不安があるお子様
- 国語の楽しさを感じたり、国語が好きになることを目指すお子様
- 個々のお子様に合わせた学習方法で指導でき、穏やかで安心できる先生を探している保護者様
- インターナショナルスクールで、数学が理解できず困っておられる方
- 理解はできているつもりだが問題が解けずに悩んでいる方
- 一定の理解はできたが、さらに実力をアップしたい方
- 自分のペースに合わせてくれる先生がいい!落ち着いた授業がいい!自主学習スケジュールも作ってほしい!
- やさしい授業がいい!基礎からじっくり学び、成績をアップさせたい!追加オプションは全て無料で付けたい!
- ひとつひとつていねいな解説を聞きたい!中学数学の復習もしたい!安心して受けられる授業がいい!
- 日本の中学に編入を考えている方
- 帰国前に日本の数学の基礎をしっかり身につけたい方
- 現地校の内容と日本の勉強を両立したい方
- 日本語を使う機会が少なくて困っている。
- 日本の文化や物語を楽しく学びたい。
- 国語の教科書にこだわらずに教えてほしい。