オンライン家庭教師マナリンク

「小4の自分ならどう感じる?」——怒れない講師が見つけた、生徒が伸びる唯一の視点

2026/5/30

中学受験の指導をしていると、「なぜこんな簡単なことが分からないんだ」という感情が頭をよぎる瞬間がある。

分かる。その気持ちは分かる。でも、そのもどかしさが出た瞬間、指導の質は静かに下がっている。

僕がそれに気づいたのは、一つの問いを持つようになってからだ。

「この子と同じ年の頃、自分はどうだったか」

指導者が陥る「逆算の罠」

多くの講師や親は、「今の自分」から子どもを見る。

既に解法を知っている視点から、知らない子どもを見下ろす。当然、もどかしい。「なぜこんなことに気づかないのか」と感じる。

しかしこれは、フルマラソンを完走した人間が、5キロ地点でへたり込んでいるビギナーを見て「なぜ走り続けられないのか」と首をかしげているのと構造が同じだ。

問いの立て方が、そもそも間違っている。

正しい問いはこうだ。「自分が小学4年生だったとき、何ができて、何ができなかったか」

「過去の自分」を召喚すると、何が起きるか

試しにやってみると分かる。

小4の自分を思い出すと、たいていの生徒は「僕よりよく頑張っている」と感じるようになる。これは励ましでも建て前でもない。冷静に比較すれば、塾に通い、テキストをこなし、週に何度も模試を受けている今の小学4年生は、かつての自分よりずっと負荷の高い環境にいる。

そう気づくと、褒め言葉が変わる。

「よくできたね」という評価の言葉ではなく、「それ、なかなかできないよ」という認識の言葉になる。無理に褒めようとする必要がない。実際にそう思うから、自然に口から出る。生徒はその違いを、思った以上に正確に感じ取る。

そして、もう一つ。

「至らない部分」への見方も変わる。

図がうまく書けない。変なところで計算ミスをする。同じ間違いを繰り返す。

過去の自分と照らせば、「まあ、小4ならそうだよな」という感覚が素直に出てくる。イライラの手前で、「自分もそうだった」という記憶がブレーキをかける。

これが、指導の継続性を保つ上で、地味に効く。

「自分だったら、どんな声掛けをしてほしかったか」

もう一段深めると、問いはこうなる。

かつての自分に、もし家庭教師がついていたとしたら、どんな言葉をかけてほしかったか。

この問いは強い。なぜなら、指導者自身の経験値を、そのまま目の前の生徒へのアドバイスに変換できるからだ。

自分が詰まっていた場所、なかなか突破できなかったパターン、誰かに言われて初めて腑に落ちた一言。そういう記憶は、テキストに書いていない。しかし、生徒が本当に必要としているのは、そういう言葉だったりする。

マニュアル通りの「解説」ではなく、同じ場所でつまずいた人間から来る「声掛け」。

その違いが、指導の温度を決める。

成績が上がり出した、本当の理由

この考えを持つようになってから、担当した生徒の成績が上がり始めたと、僕は感じている。

理由は単純ではないかもしれない。ただ、確かに言えることがある。

生徒が「この先生は自分のことを分かっている」と感じたとき、初めて指示に従うようになる。信頼のない場所では、どんな正しい指導も素通りする。信頼は、正論では作れない。

「あなたと同じ場所にいたことがある」という事実が、言葉の重さを変える。

指導とは情報の転送ではなく、関係性の中で起きるプロセスだ。その関係性を作る最短ルートが、「過去の自分を鏡にする」ということなのだと、今は思っている。

親御さんへ

もし今、お子さんの成績が伸び悩んでいて、なぜ伸びないのかが分からないのであれば、一度問い直してほしいことがある。

指導している大人は、「今の自分」から子どもを見ているか。それとも、「かつての同じ年齢の自分」と並べて見ているか。

その違いが、同じ説明をしたときに生徒の顔に浮かぶ表情を、全く別のものにする。

偏差値は、テクニックだけでは上がらない。生徒が「この人の言うことなら信じてみよう」と思った瞬間から、初めて動き出す。

個別に指導の方針や戦略を組みたい方は、マナリンクのプロフィールページからご連絡ください。

このブログを書いた先生

このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら

中学受験におすすめの指導コース

25,000
60(全5回)
小学5・6年生
  • 念仏のように単語を暗記しているだけ
  • 実社会でどう使われているのかイメージできない
  • 最難関まで対応可能
コースの詳細を見る
算数月額コース
【元早稲アカ講師が指導!】算数徹底対策コース【残り1枠】
三者面談あり
無料体験あり
【元早稲アカ講師が指導!】算数徹底対策コース【残り1枠】
19,600/月
1回60(月4回(週1回目安))
小学4〜6年生
  • 「四谷大塚やSAPIXに通っているけれど、なかなか成績が伸びなくて心配…」
  • 「偏差値がなかなか上がらない。このままでは第一志望に間に合わないかも…」
  • 中学受験を経験したことのある先生に教えてもらいたい!
コースの詳細を見る
算数月額コース
【算数】SAPIX生向け マンスリー組分けテスト対策講座
三者面談あり
無料体験あり
【算数】SAPIX生向け マンスリー組分けテスト対策講座
33,000/月
1回45(月4回(週1回目安))
小学4〜6年生
  • マンスリーテストで思うように得点できなくてお悩みの生徒さん
  • プラス30点を目標としている生徒さん
  • わかりやすく丁寧に教えて欲しい生徒さん
コースの詳細を見る
国語(小学生)月額コース
【中学受験・国語】進学塾のサポートをします
三者面談あり
無料体験あり
【中学受験・国語】進学塾のサポートをします
13,000/月
1回60(月2回(隔週1回目安))
小学4〜6年生
  • 中学受験国語のサポートが必要な方
  • 文法・漢字などの習得に悩んでいる方
  • 記述問題を特に強化していきたい方
コースの詳細を見る
5,500
45(全1回)
小学1〜6年生
  • 塾などの直近授業のわからない箇所だけを確認したい生徒さん
  • 単発受講で、長期休暇やすきま時間を有効活用したい生徒さん
  • 先生との相性を確かめたいので単発授業から始めてみたい生徒さん
コースの詳細を見る

この先生の他のブログ

ヒロユキの写真

中学受験 算数 ノートの書き方|綺麗な子は伸びない〈算数の設計図⑬〉

2026/9/2
中学受験の算数で、ノートを綺麗に書くように言っていませんか。僕は逆のことを言っています。綺麗に書くな、と。ノートは作品ではなく、思考の作業場です。今回は、書くことの全てを一本にまとめます。このシリーズでは、算数をひらめきに任せません。経営工学を学んだ講師が、解法を設計の問題として扱ったらどうなるか。...
続きを読む
ヒロユキの写真

中学受験 算数 解くのが遅い|原因は全部処理速度〈算数の設計図⑫〉

2026/9/2
うちの子、算数を解くのが遅くて。この相談を受けたとき、僕はほぼ例外なく同じ答えを返します。原因は処理速度です。理解力でも、才能でも、集中力でもない。そして処理速度は、中学受験に必要な能力の中で最も短期間で伸びます。このシリーズでは、算数をひらめきに任せません。経営工学を学んだ講師が、解法を設計の問題...
続きを読む
ヒロユキの写真

小6 9月 算数|夏の穴は2週間で埋める〈算数の設計図⑪〉

2026/9/2
小6の9月。夏期講習が終わって、算数の穴がはっきり見えてきた時期です。ここで全部を埋め直そうとすると、確実に破綻します。9月にやるべきは、穴を全部埋めることではなく、どの穴を埋めるかを決めることです。このシリーズでは、算数をひらめきに任せません。経営工学を学んだ講師が、解法を設計の問題として扱ったら...
続きを読む
ヒロユキの写真

小4算数「楽しく」の中身は本格派

2026/8/26
小4の算数は楽しく学ばせたい。その一方で、このまま楽しいだけで終わって将来困らないだろうか。この二つの間で揺れている保護者の方に、よくお会いします。結論から言うと、僕はこの二つを両立できると考えていますし、両立させない指導のほうが問題だと思っています。「楽しく」と「本格的」を対立させてしまうのは、指...
続きを読む