オンライン家庭教師マナリンク
算数

中学受験の算数で点数が安定しない理由|解き方がバラバラだから

2026/7/18

中学受験の算数で点数が安定しない。偏差値が55と45を行ったり来たりする。この相談を受けたとき、僕はまず、お子さんの実力を疑いません。疑うのは、解き方に型があるかどうかです。

同じ単元、同じレベルの問題で、取れる日と取れない日がある。これは実力の波ではありません。毎回ちがうやり方で解いているから、毎回ちがう結果が出ている。ただそれだけです。

僕自身、子どもの頃は算数が得意ではありませんでした。ひらめかないと解けない科目だと思っていたからです。あれは全部、勘違いでした。

「先生と一緒だとできるのに、一人だとできない」の正体

先日の授業で、こういうことがありました。

つるかめ算の面積図を、その子は自力で書きました。書けてはいるんです。ただ、合計金額を書く場所が、前回とちがう。単価を書く位置も、前回とちがう。図としては成立しているのに、途中で本人が迷子になりました。

「あれ、この数字どこに書いたんだっけ」

これです。中学受験の算数で点数が安定しない子は、ほぼ例外なくこれをやっています。

僕はその子に言いました。僕が書いたのと同じ場所に、同じ数字を書きなさい、と。内容の話は一切していません。位置の話だけです。

すると、次の一問から安定しました。本人がこう言いました。

「先生に言われた通りのことを書いたら、できたよ」

理解が深まったわけではありません。前の授業から一ミリも賢くなっていない。ただ、書く場所を固定しただけです。それだけで、解けなかった問題が解けるようになった。

人間は、微妙に配置が変わるだけでわからなくなる生き物です。大人でもそうです。いつものスーパーで陳列が変わると、探せなくなる。あれと同じことが、答案の中で起きているだけなんです。

中学受験の算数で点数が安定しない子に足りないのは、理解ではなく型

多くの家庭が、点数が安定しないと聞くと「理解が浅いのでは」と考えます。そして、もう一度解説を読ませる。もう一度授業を受け直させる。映像授業を追加する。

残念ながら、たいてい効きません。効かないどころか、頭の中の解き方のバリエーションが増えて、余計に安定しなくなります。

安定とは、同じ入力に同じ出力を返すことです。それを実現するのは理解ではなく、手続きです。

僕が生徒に固定させているのは、この三つだけです。

  • 書く場所(どの数字を、紙のどこに置くか)

  • 書く順番(どの計算から手をつけるか)

  • 書く量(何を省略しないか)

内容ではありません。全部、形式の話です。そして形式は、才能とは無関係に、今日から真似できます。

手順に番号を振ると、算数は再現できるようになる

具体的な方法を書きます。

一問、面積図でつるかめ算が解けたとします。その直後に、こう聞いてください。

「いま、どういう順番でやった?」

そして、答案の余白に番号を振らせます。実際に僕がやらせたのは、こうです。

① 全部が鶴だとして、足の本数を出す(2 × 18 = 36)
② 実際の本数から引く(66 − 36 = 30)
③ 一匹あたりの差を出す(4 − 2 = 2)
④ 割る(30 ÷ 2 = 15)
⑤ 残りを引き算で出す(18 − 15 = 3)

たったこれだけです。そして僕は言いました。

この丸1から丸5の順番を、ずっと続けていけば解ける。算数って、そういうもんですよ。

すると、その子は次の問題でこう言いました。

「鶴亀算って、面積図だと五個の計算で全部できるんだね」

その通りです。五個です。ひらめきはゼロです。

点数が安定しない子は、この五個を毎回ちがう順番でやっています。だから毎回、ちがう場所で事故る。順番を固定すれば、事故る場所も固定されます。事故る場所が固定されれば、そこだけ潰せばいい。

書かない子が、いちばん損をしている

もう一つ、型がない子に共通する症状があります。書かないんです。

暗算で一発当てにいく。途中式を残さない。だから、間違えたときに、どこで間違えたのかが本人にもわからない。

別の授業で、生徒が方程式の符号を何度も落としていました。同じミスを五回繰り返した。僕は言いました。頭の中でやるのはやめた方がいい、絶対にそっちの方が面倒くさいぞ、と。

書かないのは、めんどくさいからです。気持ちはわかります。僕もそうでした。でも、算数において、書くことは作業ではなく保険です。

  • 書かなければ、直せない

  • 直せなければ、同じミスが再発する

  • 再発すれば、点数は永遠に安定しない

場合の数などは、その極みです。書き出しを一つ落として43通りと書いたら、正解が44通りでも、点数はゼロです。丁寧にやって44通り。雑にやってゼロ点。同じ十分を使って、この差です。

だから僕は生徒にこう言っています。場合の数は、丁寧にやるか、飛ばすかの二択です。雑にやるのが一番無駄なんです、と。

これは場合の数に限った話ではありません。すべての単元がそうです。

一度解けた問題は、答えではなく型を保存する

家庭でできる、たった一つの実効的な作業を書きます。

丸つけをして、正解だった問題。ここに、宝が埋まっています。

正解した問題の答案を、そのままノートの見開きに残してください。答えではなく、書き方を残す。数字の位置、式の順番、番号。それを次に同じ単元をやるとき、横に置いて、同じ形で書かせる。

多くの家庭は逆をやっています。間違えた問題ばかり集めて、正解した問題は捨てる。だから、うまくいったときの型が手元に残らない。うまくいった再現方法を持たないまま、失敗だけを集めている。これでは安定しようがありません。

僕が独学で算数を人並みにできるようになったのは、頭が良くなったからではありません。うまくいったやり方を、次も同じようにやっただけです。それを型と呼ぶことに、後から気づいたというだけの話です。

明日、親がすべき非情な決断

解き直しのやり方を、今日で変えてください。

これまでは、間違えた問題をもう一度解かせていたと思います。やめてください。もう一度解いたところで、たいてい二度目も同じやり方でやります。

代わりに、こう聞いてください。

「これ、前に解けたときと同じ書き方になってる?」

答えが合っているかどうかは、聞かない。書き方が同じかどうかだけを聞く。

冷たく聞こえますか。でも、内容に踏み込んだ瞬間、親子の算数はケンカになります。二十年、いろんな家庭を見てきましたが、例外はほとんどありません。位置と順番の確認だけなら、感情が入る余地がない。だから続きます。続くから、効きます。

なお、書き出しの順番そのものが崩壊している場合は、単元固有の話になります。とくに場合の数は事故率が高いので、そちらは「場合の数の数え漏れ」というテーマで別に書いています。あわせてどうぞ。

お子さんの答案を実際に見て、どこの型が崩れているのかを一緒に特定したい方は、こちらから僕に相談できます。

このブログを書いた先生

このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら

算数対策におすすめの指導コース

算数月額コース
【中学受験】受験算数「基礎から応用」強化特訓(60分週2回)
三者面談あり
タイプ別
無料体験あり
【中学受験】受験算数「基礎から応用」強化特訓(60分週2回)
40,000/月
1回60(月8回(週2回目安))
小学5・6年生
  • 受験に向けて基礎から応用力を身に付けたい人
  • 弱点分野を見つけ出し、集中的に克服していきたい人
  • ケアレスミスの克服と答案作成の力量を引き上げたい人
コースの詳細を見る
算数月額コース
英語対応可、算数・数学コース
無料体験あり
英語対応可、算数・数学コース
24,000/月
1回60(月1回)
小学1〜6年生
  • 英語が母国語で、日本語に自信のない生徒さん
  • 基礎から算数・数学を伸ばしたい生徒さん
  • 日本語力も上げたい生徒さん
コースの詳細を見る
34,000/月
1回60(月4回(週1回目安))
小学4〜6年生
  • 進学塾の学習のペースについていけないと感じている方
  • 塾でクラスアップをめざす方
  • 志望校合格に向けて学習のペースを上げていきたい方
コースの詳細を見る
算数単発/短期コース
【ギフテッド才能開花】 脳科学で「算数」の力が一気に伸びる!
タイプ別
無料体験あり
【ギフテッド才能開花】 脳科学で「算数」の力が一気に伸びる!
19,800
45(全4回)
小学1〜6年生
  • ギフテッド(高度で特別な才能を持つお子さん)の可能性があるので、経験豊富な先生に見てほしい。
  • ギフテッドに合った勉強方法や進路選択、直面する課題についていろいろ教えてほしい。
  • ギフテッドかもしれないが、どう伸ばしたらいいか、どう才能や潜在能力を開花させたらよいか相談したい。
コースの詳細を見る
24,000/月
1回60(月4回(週1回目安))
小学1〜6年生
  • 算数が苦手で勉強のやる気がなかなか出ない方
  • 初見問題でも得点できるようになりたい方
  • 自分のペースを大切に楽しく勉強したい方
コースの詳細を見る

算数のブログ

世界一の算数教育「シンガポール式算数」とは?日本との違いを元教員が解説

世界一の算数教育「シンガポール式算数」とは?日本との違いを元教員が解説「世界一の算数教育」と聞くと、どこの国を思い浮かべますか?実は、シンガポールです。国際学力調査(TIMSS)では、シンガポールは長年にわたり世界トップレベルの数学力を維持しています。私は約25年前、シンガポールとマレーシアの学校を訪問し、現地の授業を見学する機会がありました。そこで驚いたのは、子どもたちが答えを急ぐのではなく、「なぜそう考えたのか」を大切にしていたことです。日本との違い日本の算数は、とても丁寧に基礎を積み重ねる優れた教育です。一方、シンガポールでは、・図を使って考える・考え方を説明する・一つの問題を深く考える...続きを見る
きゅうごの写真
きゅうごオンライン家庭教師
2026/8/2

塾の大量演習より、たった1問の「徹底的な言語化」。算数が苦手な子を救う究極の引き算学習

「塾の宿題が多すぎて、毎日こなすだけで精一杯…」 「何十問もプリントを解かせているのに、テストになると全く点数が取れない」算数が苦手なお子様を持つご家庭から、このような悲痛な声をご相談いただくことがよくあります。成績が上がらないと、親御さんは不安になり「もっと演習量を増やさなければ」「もっと多くのパターンの問題を解かせなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、プロの目線からはっきりと申し上げます。算数が苦手な子に必要なのは、これ以上の「大量演習」ではありません。 今すぐやるべきことは、勇気を持って解く問題数を減らし、たった1問に対して「徹底的な言語化」を行う「引き算の学習」へ切り替えることです...続きを見る
木村の写真
木村オンライン家庭教師
2026/7/30

「先生が教えればできるようになる」は幻想です。算数が伸びない子に共通する“受け身”の授業態度

「有名な塾に通わせているから」「プロの家庭教師をつけているから」、きっと先生が分かりやすく教えてくれて、うちの子も算数ができるようになるはずだ。もし、心のどこかでそう期待しているのだとしたら、少し厳しい事実をお伝えしなければなりません。 「先生が教えれば、自動的に算数ができるようになる」というのは、完全な幻想です。算数(数学)という科目は、他人の説明を聞いて「ふむふむ、なるほど」と頷いているだけでは、絶対に成績は上がりません。本記事では、算数が伸び悩む生徒に共通する「受け身の授業態度」の恐ろしさと、そこから脱却して本物の学力を手に入れるための方法をお伝えします。1. 宿題は「こなすもの」という...続きを見る
木村の写真
木村オンライン家庭教師
2026/7/29

📝 「『うちの子、やる気がない…』そう思ったときに知ってほしいこと

こんにちは。澪耶です。保護者の方から、「うちの子、やる気がなくて…」というご相談をいただくことがあります。でも、お話を聞いてみると、本当に「やる気がない」わけではないことがほとんどです。🌱 やる気が出ない理由は、人それぞれです例えば…・問題が難しくて何から始めればいいか分からない・以前できなかった経験があり、自信をなくしている・勉強のやり方が分からないこのような理由で、一歩踏み出せなくなっているお子さまも少なくありません。💡 「できた!」が増えると、自然と前向きになります私は授業で、いきなり難しい問題に挑戦することはあまりありません。まずは、「これならできそう!」という問題から始めます。すると...続きを見る
澪耶の写真
澪耶オンライン家庭教師
2026/7/23

夏期講習のテキストで伸びる子、潰れる子。圧倒的な差を生む「家庭学習の引き算」

中学受験の天王山と呼ばれる夏休み。塾の夏期講習が始まると、連日長時間の授業に加え、辞書のように分厚いテキストと膨大な宿題が課されます。 この過酷な環境下で、秋以降に成績を大きく伸ばす子と、算数への自信を失い潰れてしまう子。両者を分ける決定的な違いは、勉強の「量」ではありません。家庭学習において、勇気を持って「引き算(捨てること)」ができているかどうかです。1. 「全部やらせなきゃ」という親の焦りが子を潰す夏期講習のテキストは、最難関校から中堅校まで幅広い層に対応するため、あらゆる難易度の問題が詰め込まれた「幕の内弁当」です。 真面目なご家庭ほど「塾から出された宿題はすべて完璧にこなさなければ」...続きを見る
木村の写真
木村オンライン家庭教師
2026/7/12

この先生の他のブログ

ヒロユキの写真

グノーブル クラスが上下する|グノレブが安定しない理由

2026/8/8
グノーブルに通っていて、グノレブのたびにクラスが上下する。授業は面白いと言っているのに、テストの点数だけが安定しない。この相談を受けるとき、僕はまず、ご家庭に教材の使い方をうかがいます。原因はほとんどそこにあります。僕はena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきた中学受験算数の講師で、現在も...
続きを読む
ヒロユキの写真

四谷大塚 組分けテスト対策|9月のコースアップは捨て問で決まる

2026/8/8
四谷大塚の組分けテスト対策として、夏期講習のテキストを最初から全部やり直そうとしていませんか。9月の組分けでコースアップする子とそうでない子を分けているのは、勉強量ではありません。捨て問の判断です。僕は四谷大塚で最上位クラスを担当し、予習シリーズの指導を専門としてきました。その経験から言うと、組分け...
続きを読む
ヒロユキの写真

中学受験 夏休み後半の算数|8月はやることを絞るだけ

2026/8/4
中学受験の夏休みも後半戦です。夏期講習の宿題が積み上がり、7月に作った計画表が崩壊しはじめる時期でもあります。ここから9月の成績を分けるのは、追加の課題ではありません。「やらないことを決める」判断です。僕はena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきましたが、夏休み後半の相談内容は、首都圏でも...
続きを読む
ヒロユキの写真

SAPIXマンスリー対策|デイリーサポートの捨て問の決め方

2026/8/4
SAPIXのマンスリー対策として、デイリーサポートを全部やり直そうとしていませんか。その真面目さこそが、マンスリーで点が取れない最大の原因です。今回は、テスト前の3週間で「何を捨てるか」を決める話をします。僕はこれまでena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきましたが、SAPIX生の答案を分...
続きを読む