作文の文字数が足りない|伸ばすな、3個書いて1個捨てろ
作文の文字数が足りないという相談を受けるたびに、僕は同じことを言います。伸ばそうとしているから足りないんです、と。
三百六十字以上四百字以内。この手の指定に対して、子どもは書きたいことを一つ思いついて、書き始めて、二百五十字あたりで止まる。そこから絞り出すように、無理やり百字を足す。この足された百字が、答案を壊します。
「一つ以上書きましょう」は、二つか三つ用意しろの合図
先日の授業でのことです。設問にはこうありました。
「日本の自然が持つ特色を一つ以上、具体的に書きましょう」
生徒は、一つ書きました。素直で、正しい読み方です。そして案の定、字数が足りなくなり、後半で内容を無理に膨らませました。
一つ以上、というのは、最低ラインの提示であって、推奨量ではありません。ここを読み違えると、毎回、字数の帳尻合わせに追われることになります。
だから僕はこう指導しています。一つ以上と書いてあったら、二つか三つ用意して書き始めなさい、と。
そして、二つ書き終えた時点で残りマス目が少なければ、三つ目を書かなければいい。それだけです。
削るのは簡単、伸ばすのは地獄
ここが本質です。
書きたいことが三つあって、そのうち一つを書かない。これは簡単です。何も苦しくない。ただ書かないだけですから。
一方、書きたいことがもう何もない状態から百字を伸ばす。これは地獄です。頭の中に材料がないのに、口だけ動かせと言われているようなものです。
だから子どもは、同じことを言い換えて水増ししたり、関係のない話を接ぎ木したりする。そして、文章がねじれる。
無理に伸ばした百字が、答案を壊す
実際に起きたことを書きます。
その生徒は、虫の鳴き声がうるさいから静かにしてほしい、という主張を書いていました。ここまでは筋が通っています。ところが、字数を稼ぐために、こう足しました。
「一人暮らしの人は寂しくならないし」
静かにしろ、と言っておきながら、鳴き声にはプラスの効果もある、と足してしまった。しかも、それを「それに」でつないでいる。「それに」は、同じ方向の話を重ねるときの接続語です。マイナスの主張にプラスの話を「それに」で足したら、読み手は何が言いたいのかわからなくなります。
意見が間違っているのではありません。筋が通っていない。それだけで減点されます。
そして、この事故はほぼ百パーセント、字数を伸ばそうとした場所で起きます。伸ばすという行為そのものが、答案の最大のリスク要因なんです。
作文の文字数が足りない子に、明日から渡す手順
やることは三つです。
設問に「一つ以上」とあったら、書き始める前に候補を三つメモする
一つ目、二つ目を書く
残りのマス目を見て、三つ目を書くか捨てるかを決める
書き始める前のメモに、三十秒使ってください。この三十秒が、後半の十分を救います。
僕は昔、書くことが何も思い浮かばないまま原稿用紙の前に座って、時間だけが過ぎていく子どもでした。あのとき誰かが「先に三つ書き出せ」と教えてくれていたら、あの時間は全部いらなかった。才能の話ではなかったんです。順番の話でした。
明日、親がすべきこと
作文の練習をするとき、時間を計ってください。四百字なら十八分。キッチンタイマーで十分です。
そして、内容には触れないでください。触れるのは一点だけ。
「書き始める前に、三つメモした?」
メモしていなければ、その答案は読まなくていい。もう一度、メモから書かせる。冷たいようですが、これが一番早い。内容の添削は、この習慣がついてからで間に合います。
なお、そもそも設問が何を聞いているのかを捉え損ねている場合は、字数以前の問題です。「公立中高一貫の作文の書き方」で書いた設問分解の手順を、先にお読みください。
時間を計った実戦形式で、書き始める前の設計から一緒に組み立てたい方は、こちらから僕に相談できます。
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