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算数

割り算を禁止せよ。中学受験算数の分数変換術

2026/6/14

単位換算の宿題を前にして、消しゴムの粉だらけになっているノートを見たことがあるでしょうか。1900立方センチメートルを何デシリットルに直すか、というだけの問題で、子どもは筆算の途中で迷子になっています。

桁を数え間違える。小数点をどこに打てばいいかわからなくなる。ゼロを一つ消し忘れて、答えが百倍ずれる。

これを子どもの能力の問題だと思っていませんか。違います。やり方が間違っているだけです。今日は、その間違ったやり方を一つ、禁止します。

単位換算は地味な得点源である

中学受験の算数で、単位換算そのものが大問になることは多くありません。しかし図形問題や水量の問題、速さの問題の中には、当然のように単位換算が組み込まれています。

ここでつまずくと、解法そのものは正しいのに答えだけが合わない、という現象が起きます。方針は合っているのに、最後の変換でゼロを一つ間違えて不正解。逆転合格を目指す家庭がいちばん悔しがる失点が、これです。偏差値60の壁の手前にいる子は、実はこの種の失点を相当な数、積み重ねています。

大きい単位、小さい単位、そして罰ゲーム

単位換算のルールはシンプルです。大きい単位から小さい単位に直すときはかける。小さい単位から大きい単位に直すときは割る。これだけです。

問題は、この割る、という言葉です。

1立方メートルは1000000立方センチメートルです。ゼロが六個。では2700000立方センチメートルを立方メートルに直してください、と言われたとき、多くの子は素直に2700000を1000000で割る筆算を始めます。

ここからが地獄です。商に小数点をどこで打つのか。ゼロをいくつ消せばいいのか。途中で混乱して、最初に戻って計算をやり直す。これを毎回繰り返しているのです。真面目に割り算をやろうとするほど、時間と正答率を失っていく。良質な養分の生産工程としては優秀ですが、得点には一切つながりません。

割らない。分数にする。

ここで僕が教えるのは、割り算を一切しない、という選択です。

2700000 ÷ 1000000 という式を見た瞬間に、これを分数の形に書き直してください。

2700000/1000000

これで、割り算はもう終わったようなものです。あとは、分子と分母に共通して並んでいるゼロを、同じ数だけ消していくだけです。

分子のゼロは五個、分母のゼロは六個。共通する五個を両方から消します。

27/10

これは2.7です。筆算も、小数点の位置の悩みも、一切必要ありません。ゼロを数えて、同じ数だけ線を引いて消す。それだけの作業です。

もう一つ見てみましょう。1デシリットルは100立方センチメートルです。1900立方センチメートルをデシリットルに直したいとき、式は1900 ÷ 100ですが、これも分数にします。

1900/100

ゼロを二個ずつ消して、

19/1

つまり19デシリットル。割り算という工程を一度も通っていません。

なぜこれが効くのか

この方法の本質は、計算を作業に変換していることです。割り算は、商がいくつになるか、小数点がどこに来るかという判断を毎回求められます。判断にはコストがかかり、そのコストの中にミスが入り込む。

一方、ゼロを数えて消す作業には判断がほとんどありません。ゼロの数を数える。少ない方の数だけ両方から消す。残った数字を読む。これは算数というより視力検査です。

ゲーム理論的に言えば、割り算という不確実な選択肢を、最初から選択肢の一覧から消してしまう。これが情報戦としての中学受験算数です。偏差値60を超えていく子たちは、こうした作業領域に頭を使っていません。頭は、図形をどう分割するか、どの条件から手をつけるかという、本当に考えるべき場面のために残してあるのです。

親がすべき、たった一つの非情な決断

今日から家庭でできることは一つです。単位換算の宿題で割り算の筆算を見つけたら、その場で止めてください。そして分数の形で書き直させてください。

最初は時間がかかります。子どもは、なぜ習ったやり方を使わせてもらえないのか、と不満そうな顔をするでしょう。それでいいのです。正しいやり方に慣れるまでの数日間、効率が落ちて見えるのは当然のことです。

ここで親がすべきなのは、励ますことではありません。割り算の筆算を見たら、問答無用でやり直させる。その非情さだけが、子どものノートから消しゴムの粉を減らしていきます。

こうした作業レベルの解法を一つひとつ標準装備として組み込んでいく戦略については、マナリンクの僕のページから個別にご相談いただけます。今のやり方のどこに無駄があるのか、一緒に洗い出していきましょう。

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