個別指導 成績上がらない|質問対応型授業が再現性ゼロである理由
個別指導に通っているのに成績が上がらない、という相談は後を絶たない。理由は単純で、質問対応型の授業は、構造的に成績を上げにくい。
これは講師の能力の問題ではない。方式の問題だ。
質問対応型個別指導で成績が上がらない理由
質問対応型の授業はこういう流れになる。子どもが解けなかった問題を持ってくる。講師が解説する。子どもが「わかった」と言う。次の週に似た問題が出ると、また解けない。
この繰り返しだ。
なぜ解けないかというと、「その場でわかった」と「自分で再現できる」は全く別物だからだ。講師の解説を聞いてわかった気になることは、自転車に乗れるようになることとは違う。自転車は自分でペダルを踏んで転んで、はじめて体が覚える。算数も同じで、自分の頭で手順を再現するプロセスを省略すると、記憶に残らない。
さらに問題がある。質問対応では、子どもが「わからなかった問題」しか扱わない。しかし本当に必要なのは、その問題が解けない背景にある単元全体の理解だ。
鶴亀算の応用問題が解けなかったとする。質問対応型の授業では、その問題の解き方を教えて終わりになる。しかし入試に同じ問題は出ない。必要なのは、鶴亀算という考え方の全体を再整理することだ。一問解説しても、その周辺が抜けていれば類題に対応できない。
再現性のある授業とは何か
僕が授業で実践していることを書く。
まず、子どもが持ってくる質問からは入らない。こちらが選んだ問題を、その場で解かせる。事前に解かせない。授業中に、初見の状態で解いてもらう。
なぜ事前に解かせないかというと、解くプロセスを見たいからだ。問題を渡してから鉛筆が動くまでに何秒かかるか。どこで詰まるか。式をどの順番で立てるか。答えが違う時、どこで間違えているか。これは授業中にリアルタイムで見ないと分からない。事前に解いてきてもらっても、その情報は得られない。
丸付けは1問ごとにする。10問解いてから一括で丸付けするのではなく、1問解いたら即座に確認する。間違いは記憶が鮮明なうちに直す。10分前に解いた問題をバツと言われて「どこで間違えたか」を追跡できる子はほとんどいない。
ヒントの出し方にも原則がある。詰まった時にすぐ解説を入れない。「図を書いてみて」「この部分の文章をもう一度読んで」という最小限の声かけだけを入れ、子ども自身の思考を動かし続ける。答えを出す経験ではなく、考え続ける経験を積ませることが目的だからだ。
個別指導を選ぶなら確認すべきこと
個別指導を検討している保護者の方に、一点だけ確認してほしいことがある。
体験授業で、講師が問題を選んで子どもに解かせる授業をしているか、それとも子どもの質問に答える授業をしているか。
後者なら、その授業に成績を上げる機能はほぼない。再現性が生まれる条件は、問題を解くプロセスを講師が直接見ていること、そしてその場で修正のフィードバックが入ることだ。この二点が揃わない授業は、子どもにとって「わかった気になる時間」を週に一度提供しているだけになる。
費用対効果という観点で言えば、質問対応型の個別指導は、集団授業のコスト数倍を払いながら、集団授業以下の成果しか出ないケースが多い。集団授業では講師が問題を選び、子どもが解き、その場で丸付けが入る。この流れの方が、質問対応型の個別授業より再現性が高い。
個別指導の値段を払うなら、その時間に子どもが問題を解いている時間が、説明を聞いている時間より長い授業を選んでほしい。
成績が上がる授業とは、子どもが考えている時間が長い授業のことだ。講師が話している時間が長い授業ではない。
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