東京女学館 帰国生の算数 過去問5回分で見えた落とせない大問

東京女学館の帰国生入試の算数は、過去問を5回分そろえて全大問を並べると、驚くほど毎回同じ顔ぶれで出てきます。1年分だけ解いて「難しかった」「意外と解けた」と一喜一憂している親子は、情報戦の入口で足踏みしているのと同じです。
僕は2023年度から2026年度までの帰国生入試、全5回(2026年度はA日程とB日程)の算数をすべて解いて、大問ごとに型を分類しました。全部で25大問です。この記事は、その分類から見えた、落とせない大問と、後回しにしてよい大問の話です。
東京女学館の帰国生入試は、前半2題が固定で後半3題が入れ替わる
5回分を並べて最初に気づくのは、大問1と大問2が一度も動かないことです。
大問1は計算問題で、6〜7問が並ぶ
大問2は4問の小問集合
大問3〜5は、平面図形・進行グラフ・規則性・立体などが入れ替わりで出る
難易度を僕の基準で3段階に分けると、25大問のうち基礎が5つ、標準が15、応用が5つです。基礎の5つは大問1の計算5回分。標準は大問2と大問3の10題を中心にした15題。応用の5つは、大問4と大問5にしか出てきません。大問4と5の10題のうち、ちょうど半分が応用という計算です。
つまり、点を取りにいく場所と、差がつく場所がはっきり分かれています。大問1から3までは標準以下で組まれた取る場所で、ここを落とすと、後半の応用で粘っても取り返すのは大変です。
大問1の計算は、単位をそろえる問題が5回すべてに入っている
計算は6〜7問で、四則混合、分数と小数の混合、逆算が並びます。ここまでは普通の計算練習で足ります。要注意は、毎回1〜2問混ざる、単位をそろえてから計算する問題です。
2023年度は時間と分が混ざった比の□。2024年度と2025年度は、数キログラムを数百や数千でわってグラムで答える重さの問題と、時間の比の□。2026年度のA日程は、7時間台の時間を6等分して時間・分・秒で答える問題、B日程は、メートルとセンチメートルが混ざった長さの比を簡単にする問題でした。
どれも、単位をそろえれば小学校の計算で終わる問題です。ところが、答えの単位を見落とす、時間と分を混ぜたままわり算を始める、といった失点は、計算力とは無関係なところで起きます。大問1は満点が前提と考えて、答えを書く前に問題文の単位へ線を引く習慣をつける。これが一番費用対効果の高い対策です。
大問2の小問集合は、同じ型が2回ずつ顔を出す
小問集合は毎回4問。5回分の20問を並べると、型がきれいに重複します。
損益算:2023年度と2025年度。割引率の違う2つの売り方で、一方は利益、もう一方は損失が出るときの原価を求める、同じ構造
過不足算:2023年度と2026年度B日程
年齢算:2025年度と2026年度B日程
濃度:2023年度と2024年度
約束記号:2023年度と2025年度
この5つの型だけで20問のうち10問を占めます。残りは、つるかめ算、流水算、追いつき算、平均算、植木算、カードの並べ方が1回ずつで、上位校の小問集合としては素直な顔ぶれです。損益、過不足、年齢、濃度、約束記号を人に説明できるレベルまで固めれば、小問集合は半分取れる計算になります。
平面図形は5回すべてで出る。円と半円がらみが4回
平面図形は、どの年度にも1大問、小問2つの形で出ています。2024年度から2026年度は大問3、2023年度だけは大問5に置かれていました。
2023年度は、平行四辺形の内部の点でつくる三角形の面積と、半円の中のおうぎ形の面積。2024年度は、直角三角形に正方形をはめこむ相似と、半円4つでつくる花びら形の面積。2025年度は、線分の比と、正十角形の角度。2026年度のA日程は星形の角度とおうぎ形の面積、B日程は面積比から辺の比を出す問題と、三角形に円が内接した図の面積でした。
円・半円・おうぎ形が絡むのが4回、角度が2回、相似や面積比、線分の比が3回。平面図形は、円まわりの面積、多角形の角度、相似と面積比の三本柱を、それぞれ数問ずつ解けば網羅できる範囲です。
差がつく大問は、進行グラフと規則性の二本柱
大問3〜5の15大問を型で数えると、平面図形が5、進行グラフが3、規則性が3、立体が2、割合と集合算が1つずつです。平面図形を除けば、進行グラフと規則性で6題。後半の応用問題を狙い撃ちするなら、ここです。
進行グラフは2024年度、2025年度、2026年度B日程の3回で、いずれも大問5、いずれも応用でした。急行と普通電車が停車しながら往復する図、駅と公園を行き来する2人が途中で休む図、姉と妹が往復する図と、設定は毎回違います。ただ、グラフの折れ点が、出会い、到着、出発、休けいのどれにあたるかを読む、という核は同じです。
規則性は、2023年度が回文数(左右対称の数)の個数、2025年度が三角形を3つずつ組んで大きくしていく図形、2026年度A日程が7の倍数の一の位がつくる数列。決まりを見つけて大きな数に当てはめる問題と、数え上げの問題が混ざります。
立体は、2023年度の水槽に四角柱を入れる水位の問題と、2026年度A日程の正方形を折ってつくる三角すい。どちらも標準で、取りにいける問題です。
東京女学館の帰国生算数の過去問は、解く順番を変えるだけで効率が変わる
5回分を年度順に1回ずつ通して解くのは、一番普通で、一番もったいない進め方です。僕なら次の順番で解かせます。
最初に、大問1と大問2だけを5回分まとめて解きます。計算34問と小問集合20問で、合計54問。ここで、単位の見落としと、損益・過不足・年齢・濃度・約束記号の型の抜けを洗い出します。制限時間は短めにして、満点を狙う練習にします。
次に、平面図形の5大問を並べて、円、角度、相似と面積比に仕分けます。年度順に解くより、同じ型を続けて解いたほうが、補助線の引き方が体に入ります。
最後に、進行グラフの3大問を1セットにして、グラフの読み方だけを練習します。ここは1回目から満点を狙わず、折れ点が何を表すかを書き込めれば合格です。
大問4と大問5は、全部取りにいかないという決断
応用の5題は、5回分の大問4と大問5にしか出てきません。逆にいえば、残りの20大問が土台です。この土台を固めるほうが、応用の5題に時間をかけるより先です。応用の大問も、小問が順に難しくなる並びなので、最初の小問だけを確実に拾いにいく練習は無駄になりません。
5年分の過去問を1年ずつ丁寧に解いて、採点して、反省会をして満足する。美しい習慣ですが、それは過去問を点数を測る道具として使っているだけです。解き終えた25大問を型ごとに並べ替えた瞬間に、過去問は設計図に変わります。明日から親がやるべき非情な決断は、1年ずつ解いて一喜一憂する習慣を、静かに手放すことです。
東京女学館の帰国生入試の算数は、大問1から3で取る問題を取り切り、後半は進行グラフと規則性に絞って応用を拾う。これが5回分の過去問から見えた結論です。
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