つるかめ算がわからない子へ|条件が3つあっても平均で1本化
つるかめ算がわからない、と相談を受ける子の多くは、解き方を知らないのではありません。問題文の条件が多すぎて、そもそもつるかめ算の形に見えていないのです。
つるとかめだけなら解ける。ところが、勝ち・あいこ・負けの3種類が出てくるじゃんけんの問題になった途端、手が止まる。これは学力の問題というより、「条件の整理」という作業を飛ばしているだけです。今日は、その整理の型を一つだけ渡します。
つるかめ算がわからない子は、教科書の形しか知らない
つるかめ算の基本形は、2種類のものが合わせていくつ、合計いくら、という問題です。ここまでは多くの子が解けます。
ところが入試に近づくほど、出題者は見た目を変えてきます。鶴と亀は、買い物になり、階段ゲームになり、点数計算になる。種類が3つ、4つに増えることも珍しくありません。
このとき「つるかめ算は2種類の問題」と丸暗記している子は、3種類を見ただけで別の単元だと思い込みます。実際には、3種類のうち2種類を「ひとまとまり」にすれば、2種類の問題に戻せることが多いのです。
条件が3つになると手が止まる理由
手が止まる理由は単純で、頭の中の作業スペースが足りなくなるからです。勝ちが7段、あいこが1段、負けが2段下がる。この3つを同時に持ちながら、回数の比まで考えるのは、大人でも面倒です。
ここで真面目な子ほど、全部を表に書き出して力技で押し切ろうとします。僕はこれを、良質な養分と呼んでいます。努力の方向が惜しいだけで、才能の問題ではありません。力技の前に、条件を減らす。これが得点設計の第一歩です。
戦術:比でつながった種類を「平均」にして1本化する
次の例題で型を示します。
例題
40回勝負のじゃんけんで階段を上ります。勝つと7段上がり、あいこだと1段上がり、負けると2段下がります。40回終えたとき、スタートからちょうど70段上にいました。勝ちとあいこの回数の比は1対2でした。負けは何回ですか。
手順は3つです。
・比でつながっている種類を、セットにして平均を出す
・「負けが0回だったら」と仮定して、合計の差を出す
・差を、1回あたりのズレで割る
まず、勝ちとあいこは回数の比が1対2です。勝ち1回とあいこ2回をセットにすると、3回で 7 + 1 + 1 = 9段。1回あたりの平均は 9 ÷ 3 = 3段です。
これで「勝ちとあいこ」は、1回3段上がる1種類になりました。残りは「負け」だけ。つまり2種類のつるかめ算です。
もし負けが1回もなかったら、40回で 3 × 40 = 120段上がります。実際は70段なので、差は 120 − 70 = 50段です。
負けを1回入れると、3段上がるはずが2段下がるので、1回あたり 3 + 2 = 5段ずれます。よって負けの回数は 50 ÷ 5 = 10回です。
検算もしておきます。負け10回なら、残り30回が勝ちとあいこ。比が1対2なので、勝ち10回、あいこ20回。7 × 10 + 1 × 20 = 90段。負けで 2 × 10 = 20段下がるので、90 − 20 = 70段。条件と一致します。
捨てていい手順、捨ててはいけない手順
この解き方で捨ててよいのは、表を全部書き出す作業です。時間を食う割に、見直しも効きません。
逆に捨ててはいけないのは、最後の検算です。平均を作る問題は、比の読み違いが一番多い。勝ちとあいこの比を、全体の比と勘違いしていないか。30回を1対2に分けられているか。この確認に10秒かけるだけで、失点がかなり減ります。
実際の授業でも、平均にまとめて説明すると「こっちのほうが分かりやすい」と生徒が納得してくれる場面が多くあります。説明を増やすより、条件を減らすほうが効く。これは単元を問わず使える考え方です。
明日から親がすべき非情な決断
明日から、つるかめ算の宿題を見るとき、答えが合っているかを見るのはやめてください。見るのは一点だけ、「何種類の条件があって、それを何種類に減らしたか」です。
解答の横に一行、「3種類→2種類」と書かせる。これだけで、子どもは条件を減らすことを習慣にします。親が横で計算を教え込むほうが、よほど非効率な愛情表現ですよ。
つるかめ算がわからない原因は、才能ではなく条件の整理です。そこを直せば、点は意外なほど素直に動きます。
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