算数で黙り込む子の対処法|間違いを歓迎する親の技術
算数の問題を前にして黙り込む子は、実は間違える子よりも扱いが難しい存在です。間違いは情報になりますが、沈黙は情報になりません。今日は、この違いと、親にできる現実的な手当てをお話しします。
沈黙は、間違いよりも高くつく
授業で質問を投げると、子どもの反応は二種類に分かれます。外れた答えを言う子と、固まって何も言わない子です。講師として歓迎するのは、前者です。外れ方を見れば、どこで道を踏み外したかが一目でわかるからです。僕は間違いのことを、診察材料と呼んでいます。
後者はそうはいきません。わからないのか、考えているのか、自信がないのか、外から見分けがつきません。診察できない患者に、処方箋は書けないという事情です。
昔のテレビゲームで言えば、敵にぶつかって倒れるのと、制限時間が切れて倒れるのとの違いです。前者は原因がはっきりしています。後者は、何もしないまま終わってしまいます。勉強で言う後者が、黙り込みです。
黙り込む子の頭の中では、何が起きているのか
僕が見てきた範囲では、黙り込む子の多くは、わからないのではなく、間違えることを避けています。外すくらいなら出さない、という損得勘定が働いているわけです。合理的ではありますが、受験では最も損な戦略です。
黙っていれば、間違えた回数はゼロにできます。ただし、正解した回数もゼロです。しかも、間違えた回数がゼロの子は、直す材料もゼロなので、成績の上がる余地がありません。勉強ができる子は、たいてい間違えた回数も多いものです。外した数が、そのまま試行錯誤の数になっているからです。
家庭でできる三つの手当て
外れた答えを、叱らずに診察材料として受け取る
黙るより、外れたほうが得をすると子どもに伝える
間違えたら、その日と翌日に解き直させて、一組で終わらせる
一つめは、態度の問題です。外れた答えに、なんでこんなこともわからないの、と返した瞬間に、子どもは次から黙ります。親が出した反応は、子どもにとって、次に何を出すかの採点基準になります。
二つめは、言葉にして教えることです。黙るのが一番損で、外れた答えは情報として歓迎される。この取り決めを、はっきり口に出してください。子どもは、言われていないルールを守れません。
三つめは、解き直しです。間違えて終わりではなく、もう一度解けるようにするところまでを一組と考えます。間違える、直す、また間違える、また直す。この往復が試行錯誤で、苦労して見つけた解き方ほど記憶に残ります。
親が明日からやるべき、ささやかな非情な決断
答えを急いで聞かないことです。子どもが黙ったら、正解を求めず、途中まででいいから考えたことを聞かせて、と頼みます。答えではなく途中の考えを聞かれると、間違えるリスクが消えるので、子どもは口を開きやすくなります。親の側が正解を待つ癖を手放せるかどうかが、実は勝負どころです。
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