先生はマラソンランナー!受験勉強とスポーツの共通点 〜運動部の君ならわかる!〜
2025/6/14
君だからこそ、わかる話がある
君は夏の暑さの中、誰よりも声を出して走ってきたよね。冬の朝、まだ暗いうちからグラウンドに立ち、厳しい練習に耐えてきたよね。そして試合で負けたら悔し涙を流して「また頑張ろう」と言ってきたよね。
私はマラソンランナーでした。20歳のときに初マラソンを5時間以上かけて完走して、以降は年に2ー3回のマラソンを走り、2019年にマラソン100回完走を果たしました。
今はもう60歳をこえマラソンを走ることもなくなってしまったけど、トレーニングは続けています。そして走るたびに思うことがあります。「スポーツに本気で向き合ってきた君には、受験勉強を乗り越えられる力が既にあるはずだ」ということです。
受験勉強ってよくマラソンに例えられるけど、運動部に打ち込んできた君ならこの例えをよく理解できるはずです。君はもう「勝つ力」を持っているのです。
この記事では、マラソンランナーだった私から、君の“勝つ力”をどう受験勉強に活かすか、そのヒントを伝えます。
ゴールは遠いけど確実に近づいている
マラソンは42.195km、スタートしてもゴールは見えません。でも進んでさえいれば確実にゴールへと近づいていくことはわかっています。
受験勉強も同じです。今日の30分、目の前の1問という小さな積み重ねが、やがて大きな成果になっていくのです。
「今やっていることが、ほんとに意味あるのかな…?」なんて思う日があっても大丈夫ですよ。部活でも、筋トレや基礎練習を繰り返すだけの日々があったでしょう。あの地道な努力で君自身が強くなったということを覚えていますよね。
苦しいときこそ成長している
マラソンで一番つらいのは「30kmの壁」と言われているけど、壁には個人差があります。私の場合は25kmに壁がありました。
「25kmも走ってきたのに、あとまだ17kmも残っている」という事実が私のメンタルに襲いかかってきました。それをきっかけに体も心も「もう無理」と言ってくるのです。このあたりでは10秒おきぐらいに「もういやだ、やめよう」という気持ちになりました。
でも不思議なことに、そこを我慢して32kmまでくると「残り10km、ゴールが見えた」という気持ちに切り替わり、また足が動き出すのです。
勉強も、成績が上がらない、集中できない、やる気が出ない、なんていう苦しい時期があるはずです。でもその苦しさの中にこそ成長できるタネがあるのです。
部活でスランプを乗り越えた経験がある君ならわかりますよね。いつも勝てるわけじゃないし、いつも楽しいわけでもない。肉体的にも精神的にもつらいときというのがあったでしょう。でもそこをどう過ごすかが勝負を決める大事な場面です。
計画とペース配分が大事
マラソンを最初から全力で飛ばす人はいません。レース戦略を練り、自分のペースを守り、エネルギーを残す、そうしないとゴールにはたどり着けません。
受験も同じです。夏にがんばりすぎたり、まわりをみて焦って無理をしたりすると、秋以降で必ず失速します。
大事なのは、自分に合ったペースで計画的に走り続けることです。受験は短距離勝負ではなく、何カ月にもわたる長距離走なんです。
通過点の順位は参考程度だ
受験生になれば定期テスト以外に模試も増えてきます。結果がよければうれしいし、悪ければ落ち込みますよね。
でもよく考えてください。マラソンで10km地点の順位で勝負が決まってしまいますか? 大事なのはゴール地点での成績ですよね。
5kmごとのチェックポイントでは自分の位置を再確認し、残り距離と自分の状態を冷静に判断して計算し、最後のゴール地点で勝つための戦略をそのつど見直して、次の5kmを走ります。
模試やテストは「今の自分の位置を知るための通過点」です。「A判定だからもう大丈夫」でもなければ「E判定だからもうダメ」でもないです。通過点での結果に振り回されず「ここから何をするか」を考える方がずっと大事だということがわかるでしょう。
応援が力になる
マラソンでは途中で何度も苦しい場面があります。でもそのとき沿道から「頑張って!」の声援を聞くと、苦しいはずの体が動き出し足が前に出ます。応援されると弱っていた心に火が灯るのです。
部活でも同じような経験があるでしょう。観客や仲間からの声援がどんなに力になることか、どんなに勇気づけられたか、覚えているでしょう。
受験勉強でも同じです。先生や家族、友だちの言葉が、ふとしたときに心を支えてくれるのです。
苦しいときは人に話してみましょう。応援をもらえれば力になるし、応援を返せば絆が深まります。君はひとりで走っているのではないのです。応援してくれる人がまわりにいることを忘れないでください。
最後は「自分との勝負」
マラソンでも受験でも、最後に試されるのは「自分自身との勝負」です。
周囲のスピードに惑わされて自分を見失ったら、ペースは乱れ、その後の戦略も思い通りにいかなくなります。そして無駄に体力や時間を使ってしまいます。それではゴールで勝つことはできませんよね。
自分にやや負けがこんでいるときは、周囲をみてあせりがちです。周囲の人が使っている参考書とかも読んだ方がいいのではと思いたくなるでしょう。
でも、たとえば君が野球部だったとして、イチローが使っているのと同じバットを入手してイチローのようにヒットが打てますか? そんなはずないですよね。
周囲と比べるのではなく昨日の自分と比べましょう。「昨日の自分より前へ」が大事です。それだけを考えて走れば、ちゃんと前に進みます。それがゴールで勝つための確実な道です。
おわりに:君はすでに強い
君がこれまで運動部で流してきた汗や涙は貴重なものです。君はその尊さを体で知っています。それこそが受験という勝負での最大の武器になります。
「苦しいときにあきらめない」
「途中経過に一喜一憂しない」
「一歩ずつでも前へ進む」
「応援を味方につける」
運動部で身につけたその姿勢は受験勉強でも必ず生きます。運動部で鍛えてきた君は、どんな場面でももう十分に戦える力を持っているのです。
さあ、「未来の自分のため」にスタートラインに立ちましょう。君なら勝てます!
この先生の他のブログ
「将来はエンジニアになりたい」と思っている高校生や「子どもには理工系の道もいいかも」と考える保護者の方へ。この記事シリーズでは北米で非常に重要なステータスとされる「Professional Engineer(略称:P.Eng.)」について紹介します。日本の「技術士」とはだいぶ違う?日本にも「技術士」...
はじめに:「成績が伸びる人」に共通すること「入試問題は正解があるからカンタン。でも世の中には正解のない問題ばかり。だから受験秀才の東大生は社会では使い物にならない」という声をどこかで聞いたことがあるでしょう。これまで多くの生徒を見てきて思うのは、成績が伸びる人が必ずしも最初から頭がいいわけではないと...
はじめに:それ、本当に「できる」って言える?「この問題、解けた!」それは本当にわかったと言えるでしょうか?私はカナダで機械系エンジニアおよび技術コンサルタントとして、耐圧容器の設計・製造・品質管理の仕事に長年携わってきました。計算通りに仕様を決めても設計現場では想定外のことが起きます。設計通りに図面...