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【英語】語彙習得の文献案内

2023/9/2

語彙習得に際して必要とされる教材は大きく①単語帳、②辞書、そして何よりも③単語が実際の文脈の中で使われているテクスト、の3つでしょう。このうち③についてはここでは割愛し、①・②について簡単に文献案内をしたいと思います。辞書を選んだり、単語帳を使って実際にボキャブラリービルディングをする際の参考になれば幸いです。



①単語帳

A. (狭義の)単語帳

マイナーな言語の場合、未だに「book:本」のように目標言語の単語と日本語訳が一対一で記載されているだけの「単語リスト」のような単語帳もありますが、英語の場合は基本的に名の知れた単語帳に明確な「ハズレ」はありません(強いて言えば特定の大学の対策を謳った単語帳は避けるのが無難だと思います)。学校などで支給されたものが一冊あるなら基本的にはそれで十分でしょう。何を選ぶかよりは、選んだ一冊の単語帳をボロボロになるまで使い尽くし、例文を丸暗記するくらいのつもりで知識を吸収することの方が肝要です。以下、簡単にオススメの単語帳とその特色を述べておきます。


『システム英単語』(駿台文庫):徹底した効率主義に基づいた単語帳。「predict the future:未来を予言する」といった形の「ミニマルフレーズ」単位で用例が記載されているため、長い例文を覚えるのが苦手な人にオススメ。最後の章に受験頻出の多義語のリストが載っているのもgood。


『速読英単語』( Z会):文章の中で英単語を覚えたい人向け。簡単な文章の内容確認問題も付いているので、まずは日本語を見ずに文章の大体の内容を把握し、その後で知らない単語の意味を確認し、単語ごとの例文を読む、といった形で段階的に学習すると、高い効果を上げることができるはず。「上級編」もあるが、基本的には「必修編」で十分。


『DUO』(アイシーピー):単語1語ごとに1つの例文があるのではなく、1つの例文に学ぶべき単語が複数入っているのが特徴。しかも例文が内容的につながっており、読み進めていくとストーリーも楽しめる。文単位で覚えたい人向け。


また、単語の成り立ち(e.g. unpredictableは「否定の接頭辞un- + 接頭辞pre- + 語根dict + 接尾辞-able」)や語源に焦点を当てた単語帳も最近増えてきました。必須ではないですが、興味があれば一冊持っておくと良いでしょう。頭から読み通すと言うよりは、気になった単語を調べて、周りの単語を一緒に覚える、といった形で学習するのが良いと思います。文章中に出てきたaccompanyを索引から調べ、accompanyのcomはcoworkerやcoexistenceのcoと同じ語源であることを確認する、など。オススメは『システム英単語Premium<語源編>』(駿台文庫)。



B. 熟語帳

put off「〜を延期する」のように、簡単な単語の組み合わせから成る、意味が構成的でない(i.e. 全体の意味が各単語の意味の和ではない)熟語については、上述の(狭義の)単語帳だけでは十分に学べないので、専用の熟語帳があると良いです。以下にオススメの熟語帳を挙げます。


『システム英熟語』(駿台文庫):上述の『システム英単語』の熟語版。「takeでとらえるイディオム41」「inでつかむイディオム115」のように、特定の動詞や前置詞に焦点を当てた章立てになっており、熟語を一個一個バラバラに覚えるのではなくsystematicに把握することを目標としている(例えば、rob A of B「AからBを強奪する」、get rid of A「Aを取り除く」、cure A of B「AのBを治す」のofは何れも分離を表すofである)。


『解体英熟語』(Z会):ターゲットとなる熟語を使用した例文(多くの場合、入試問題からの流用)とその解説が脈絡なく並んでいるだけの構成ではあるものの、解説編で各熟語の構成について細かく言及があり、「何故この表現でこの意味になるのか」を理解しやすい。収録されている熟語の数がかなり多いので無理はしないこと。



②辞書

書店に並んでいる辞書を選ぶ際には、goでもbringでも何でも良いので、「知った気になっている基本語」を引いてみて、一番しっくり来る説明が書いてあったものを選ぶのが良いです。よく言われることですが、オンラインの辞書や電子辞書だけではなく、紙の辞書も一冊は家にあった方が良いです。引いた単語だけでなく、その周辺の情報(綴りが似た単語や派生語など)が一緒に目に入ってくるので、電子版で見るよりも豊かな知識を吸収することができるでしょう。また、多くの辞書には、各項目の単語がどれくらいの頻度で用いられているかの目安が表示されています。入試の英文に出てくる全ての単語を覚えるのは現実的ではないので、辞書を引いた際に★マークが付いているものを優先的に覚えるなど、語彙習得の際の目安にすると良いでしょう。



A. 英和辞典

英和辞典の中にも小辞典・中辞典・大辞典がありますが、基本的に大学受験レベルであれば「中辞典」レベルが必要です。「大辞典」になると収録語数が増え、専門的な内容の英語や少し古い時代の英語にも対応できるようになりますが、単語の使い分けや語法などの学習者向けの説明は少なくなる傾向があります。英文科を目指す人や、将来英語を使う職種に就きたいと考えている人は大辞典を買ってみても良いかも知れません(ただし、かさばるので普段使いには向きません笑)。


オススメの英和中辞典:

『ウィズダム英和辞典』(三省堂):中級学習者が求める単語の使い分けや語法に関する説明が豊富かつ比較的良質。


オススメの英和大辞典:

『新英和大辞典』(研究社):岡倉天心の弟である岡倉由三郎が編纂したものが元になっている、歴史ある大辞典。これに載っていなかったら諦めよう。



B. 英英辞典

単語ごとの細かいニュアンスは、日本語訳を見るよりは英英辞典の定義を見た方が良いことも多いです。電子辞書でも良いので、一冊手元にあると安心です。面倒臭ければオンライン版でもOK。以下にオススメの英英辞典を挙げます。


Cambridge Dictionary:ネット上で無料で使える英英辞典。クオリティーも十分で、大抵の場合はこれで事足りる。ただし、収録語数がそれほど多くなく、単語の第一義しか載っていない事も多いので、英和辞典と併せて参照されたい。


Oxford English Dictionary:OEDと略される。英国が世界に誇る、量・質ともに世界最高峰の辞書。シェイクスピアの詩に出てくるような古い用法や廃語(obsolete words)もバッチリ。フルバージョンは『日本国語大辞典』(日国)並みの分量だが、学習者向けの精選版が『オックスフォード現代英英辞典』として売られている。因みにOEDは多くの大学で電子書籍サービスが提供されているので、大学に入ったら是非引いてみよう。


C. その他の辞典

和英辞典:

なくても良いです。と言うより、和英辞典で引いた(あるいは、ネット上で「〇〇[日本語の単語] 英語で」などと検索して出てきた)未知の英単語をそのまま作文で使えるなどとは思わない方が良いです。単語ごとのニュアンスや語法は和英辞典だけで分かるものではありません。以下のような架空の事例からも、そのことは明白でしょう。


事例:「『助ける』って英語で何て言うんだろう?」と思って和英辞典を引き、helpと出てきたので、「私の宿題を手伝って」を"Help my homework."と訳した。


しかし、英作文の際に日本語で思い付いた内容を英語でどのように表現するのか知りたいという場面は実際問題多々あるので、その際には和英辞典を頼りましょう。ただし、和英辞典で出会った未知の英単語については必ず英和辞典を引いて用法を確認すること! そうしないと、上の事例のようなミスを犯すことになります。



類語辞典:

英語では文章中で同じ単語を何度も繰り返し用いるのは文体的に美しくないとされるので、まとまった英文を書く際には同じ内容を様々な英語で表現できる必要があります。その際、類語辞典が一冊あると良いでしょう。ただし、類語はあくまで「類」語であって、完全に意味・用法が同一な訳ではないという点に注意しましょう。和英辞典の場合と同様、類語辞典で出会った未知の英単語については英和辞典を引いて用法を確認するようにしましょう。また、We think that... ≒ It is supposed that... のように、類語辞典では出て来ないパラフレーズも存在します。この辺りは文法問題集などで学ぶのが良いでしょう。因みに、類語辞典を買うのが面倒臭ければ、ネット上で「〇〇[英単語] synonym」などと検索してみると、信頼度はやや下がるものの類語リストが見つかります。



その他:

語源辞典やコロケーション辞典、ことわざ辞典、熟語辞典など、欲しい辞書はいくらでもありますが、英文学を専攻しない限りは家にあっても持て余すだけかも知れません。使用頻度が低ければネット上の辞典で代用するか、図書館に所蔵されているものを使用するのも手です。勿論、興味があれば買ってみても良いでしょう。「辞書は高い」と言われることもありますが、編纂の手間を考えたら不当に安いくらいですし、5000円程度で紙版であれば買い切りで一生使えると考えれば、月額500円の漫画サブスクリプションよりもお得だと思いませんか?

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