【第1回】「オームって誰? 〜理科研究部の夏〜」
2025/8/11
(放課後、蝉の声が遠くで響く中、理科室の窓から差し込む夕日がガラス器具を照らしている)
ミサキ:「……で、なんで私、呼び出されたの?」
(ドアを開けると、白衣姿で試験管を片付けているアヤカが振り返る)
アヤカ:「あ、来た来た! ミサキ、今日から電気の単元やるでしょ? オームの法則、先取りしとくと楽だよ」
ミサキ:「え、オームって人の名前? あの……えっと……物理界のアイドル?」
アヤカ:「ぶっ(吹き出し)……アイドルじゃなくて物理学者だよ。電気抵抗を研究した偉人!」
ミサキ:「抵抗……あー、あれか。夏休みの宿題に全力で抵抗してた、あの私の気持ちみたいなやつ?」
アヤカ:「その“抵抗”じゃない! こっちは“電気が流れにくくなる性質”のこと」
(アヤカはホワイトボードに素早く式を書き始める)
アヤカ:「はい、これがオームの法則。 I = V ÷ R 。Iは電流(アンペア)、Vは電圧(ボルト)、Rは抵抗(オーム)」
ミサキ:「……え、なんか分数? 数学始まっちゃった?」
アヤカ:「いやいや、式はシンプル。例えばね、水道のホースを思い浮かべて。水の量が“電流”、水圧が“電圧”、ホースの細さが“抵抗”」
ミサキ:「あー! じゃあホースが細いと水の量が減るから……抵抗が大きいと電流も減るってこと?」
アヤカ:「そうそう! で、水圧(電圧)が上がれば、もっと水(電流)が流れるよね。これがVとIの関係」
ミサキ:「なるほど……でもさ、これってなんで“オーム”って単位なの?」
アヤカ:「そこはオームさんに感謝しつつ、単位に名前を残したってわけ」
(アヤカはニヤリと笑って、机の上のミニ回路キットを手に取る)
アヤカ:「次回は実際に回路をつないで、“明るさがどう変わるか”実験してみよっか」
ミサキ:「え、ちょっと待って、爆発しないよね? 夏休み前に髪チリチリは嫌なんだけど」
アヤカ:「しないしない!(たぶん)」
(ミサキの顔が引きつったところで、場面は切り替わる)
理科室の机の上に、乾電池・導線・抵抗・LEDランプが整然と並ぶ。
ミサキ:「なんか本格的なんだけど……。あやか、これほんとに安全なの?」
アヤカ:「もちろん。理科研究部の実験は安全第一! ほら、まずこの回路を見て」
(アヤカはスイスイと導線をつなぎ、回路図を描く)
アヤカ:「今は抵抗が100Ωだから、この電圧(3V)なら流れる電流は……」
ミサキ:「I = V ÷ Rだから…… 3 ÷ 100……0.03A?」
アヤカ:「正解! 0.03アンペア。LEDにとってちょうどいいくらいの電流だね」
(スイッチON、LEDがやわらかく光る)
ミサキ:「おー、ついた! ……っていうか、これ暗くない?」
アヤカ:「じゃあ抵抗を小さいのに変えてみよう」
(抵抗を50Ωに交換、再びスイッチON)
ミサキ:「わ! 明るくなった!」
アヤカ:「でしょ? 抵抗が小さくなったから、同じ電圧でも流れる電流が増えたんだよ」
ミサキ:「……これって、抵抗なしにしたらめっちゃ明るくなるってこと?」
アヤカ:「なるけど……そうすると電流が流れすぎてLEDが壊れちゃう。だから安全のために抵抗が必要なの」
ミサキ:「あー、だからオームの法則って“光らせるため”だけじゃなくて“壊さないため”にも大事なんだ!」
アヤカ:「その通り。安全設計の基礎だよ」
(ここでミサキ、つないだ導線をうっかり引っ掛けて回路がバラバラに)
ミサキ:「あっ……! ごめん!」
アヤカ:「大丈夫。……でもこの瞬間、私の心の抵抗値はゼロになったかも」
ミサキ:「それって電流流れすぎってことじゃない?(笑)」
(2人、笑いながら回路を元に戻す)
今日のまとめ(アヤカのホワイトボード)
◉ オームの法則:I=V÷R
◉ 電圧↑ → 電流↑
◉ 抵抗↑ → 電流↓
◉ 抵抗は部品を守る役割もある
◉ 実験は安全第一!
次回予告
アヤカ:「次は“電流と電圧の正体”をもっと詳しく!」
ミサキ:「また理科室集合ってことね!」
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