第3回:理系女子 in 秋葉原!【第3回】ロボット作りとショッピングの直列・並列な関係
第1部:秋葉原到着!異文化ショッピングの幕開け
アヤカ:「ミリー、今日は絶対寄り道禁止よ。バッテリーと制御基板と、予備の抵抗だけ買って帰るんだから。」
ミリー:「OK、OK〜!…って、アヤカ、なんか声がもう先生っぽいよ?ここ、放課後の自由時間だよ?」
アヤカ:「自由時間でも、目的は達成しないと意味ないの。掛け持ちのロボット研究部の未来がかかってるのよ!」
ミリー:「ロボットの未来もいいけど…わぁっ!見てあれ!巨大スクリーンでアニメのオープニング流してる!」
(もう足は看板の方向へ半歩動いている)
秋葉原駅を出た瞬間、二人を包み込むのはカラフルなネオンと看板の洪水。
外国から来たミリーは目を輝かせ、まるでテーマパークに来た子どものようにあちこちを見回している。
通りには、電子部品の店が軒を連ねる細い路地と、アニメグッズ専門店の大きなビルが混在。
マニアックなパーツショップの前には、抵抗やコンデンサが詰まった謎のジャンク箱が山積み。
一歩奥に進めば、メイド服の呼び込みやBGMに混じって「最新型半田ごてセール中!」という店員の声も聞こえてくる。
アヤカ:「ここが日本の電子部品の聖地・秋葉原。今日はバッテリーと基板を…」
ミリー:「あー!待って!こっちのカフェ、ロボットがオーダー取ってくれるって!」
(すでに視線は別方向)
アヤカ:「…ミリー、私たちはロボットを作るために来たの。遊ぶためじゃないの。」
ミリー:「作るためには、まずロボットに会ってインスピレーションをもらわないと!」
アヤカ:「そんなフィールドワーク聞いたことないわよ!」
秋葉原の雑踏の中、アヤカはまっすぐ電子部品街に向かおうとするが、ミリーはあらゆる誘惑に反応して軌道を外れていく。
そのたびにアヤカが「戻って!」と声をかけるも、ミリーは「ちょっとだけ!」と笑顔で返す。
二人の歩調は全く合わないが、どこか楽しそうでもある。
この時点では、アヤカはまだ知らなかった。
この「寄り道の女王」が、後にバッテリーの接続方法について名言を残すことになるなんて——。
第2部:寄り道から学ぶ電気回路
ミリー:「ねぇアヤカ、これって何?電池ケース?カワイイ色してる〜!」
(両手に抱えているのは、ピンクや水色の電池ボックス。しかもサイズ違いで5個も)
アヤカ:「それ電池ホルダーね…。色よりも、まずは何本繋げるかを考えて。」
ミリー:「じゃあ全部繋げれば、めっちゃ強くなるってことだよね?」
アヤカ:「…それが“直列”の考え方よ。直列は電池のプラスを次のマイナスにつなぐ。そうすると電圧が足し算されて、パワーが上がるの。」
ミリー:「ほほぅ。つまり…『エナジードリンクを何本も一気飲み』みたいな感じ?」
アヤカ:「まあ…体には悪そうだけど、例えとしては正しいかも。」
アヤカは持っていたメモ帳に、簡単なイラストを描き始めた。
小さな電池を縦に並べ、+から−、+から−へと線を繋ぐ図。
その横には「V(ボルト)= 足し算」とメモされている。
ミリー:「じゃあ並列は?逆に弱くなるの?」
アヤカ:「違うわ。並列は電池のプラス同士、マイナス同士をつなぐ。そうすると電圧はそのままだけど、電流をたくさん流せるの。」
ミリー:「おお〜、それって『ドリンクバーで同じジュースを何杯も置いとく』みたいな感じ?」
アヤカ:「…例えが全部カフェ基準なのはなぜ?」
ミリー:「私の生活の基盤だから。」
そこへ、近くの店員が「バッテリー、2本直列で動作確認できますよ」と声をかけてきた。
ミリーは「お試し!お試し!」とテンションMAXでブースに駆け寄る。
そして説明を聞きもせずにケーブルを繋ごうとして——
アヤカ:「違う違う!それ、+と+をつなぐのは並列でしょ!いまは直列で試すの!」
(慌ててケーブルを持ち直させる)
ミリー:「ふぅ〜、危ない危ない。…っていうか私、今ので直列と並列、ほぼマスターしたかも!」
アヤカ:「…それはたぶん過信よ。」
アヤカは心の中で、今日のミッション「寄り道禁止」をそっと諦めた。
代わりに、「どうせなら、この寄り道の勢いを回路の実験にぶつけてもらおう」と考え始める。
このあと二人は、ジャンクパーツ店で謎のLEDセットを見つけ、さらに混沌とした買い物リストを完成させることになる——。
【第3部】直列・並列つなぎの世界へようこそ
(秋葉原のカフェで、買い物袋を山積みにして休憩中)
ミリー:「あー、歩き疲れた〜。で、さっきから“直列”とか“並列”って言ってたけど、それってショッピング袋の並べ方のこと?」
アヤカ:(ずずず、とアイスコーヒーを飲みながら)
「違うってば。それはただの物理的な並べ方でしょ。電気の“直列”と“並列”は、回路のつなぎ方のことなの」
ミリー:「ふーん、でもどう違うの?」
アヤカ:「じゃあ分かりやすく説明するね。イメージは水道管」
直列つなぎ(Series Circuit)
◉ 水道管を一本に繋いで、その間にいくつも水車を並べるイメージ
◉ 電流(A)はどこでも同じ流れになる
◉ 電圧(V)は、使う場所ごとに分け合う
アヤカ:「例えば懐中電灯の中の豆電球が2つ直列になってるとするよ。電池の力(電圧)は半分ずつ分け合うから、2つの電球は少し暗めになるの」
ミリー:「あー、だから一個外れると全部消えちゃうのね!クリスマスツリーのライトであった!」
アヤカ:「そうそう、それが直列の弱点。一つ切れると回路が途切れて全部消えちゃう」
並列つなぎ(Parallel Circuit)
◉ 水道管を枝分かれさせて、それぞれに水車をつけるイメージ
◉ 電圧(V)はどこでも同じ
◉ 電流(A)は枝ごとに分かれる
アヤカ:「これだと一つ壊れても他はちゃんと動くの。家の電気はほとんど並列だよ。ドライヤー使ってても、冷蔵庫は止まらないでしょ?」
ミリー:「うわー、文明って偉大…。じゃあ私の部屋も並列だね」
アヤカ:「まあ、コンセントは全部そうだよ(笑)」
アヤカ(真剣モード):「中学レベルでは“直列は電流一定・電圧分け合い、並列は電圧一定・電流分け合い”って覚えるといいよ」
ミリー:「なるほど〜。これで今日から私も“並列女子”って言えるわね」
アヤカ:「いや、それは意味わからないからやめなさい」
【第4部】今日のまとめ&ちょっと応用
(夕暮れの秋葉原、袋いっぱいの部品を抱えながら帰路へ)
ミリー:「ふぅ…今日だけで、なんか理科のテスト半分は点数アップできそう」
アヤカ:「じゃあ今日のおさらい行くよ!」
直列つなぎ(Series Circuit)
◉ 電流(A)は全ての部品で同じ
◉ 電圧(V)は部品ごとに分け合う
◉ 一つ壊れると全体が止まる
並列つなぎ(Parallel Circuit)
◉ 電圧(V)は全ての部品で同じ
◉ 電流(A)は枝分かれして流れる
◉ 一つ壊れても他は動く
覚え方のコツ
◉ 直列は「一本道」→全員同じペースで進む
◉ 並列は「複数レーン」→それぞれのペースで進む
◉ 水の流れや水圧のイメージで考えると分かりやすい
アヤカ:「これさえ分かれば、家のイルミネーションも自分で配線できちゃうかもよ」
ミリー:「あ、じゃあ次はクリスマスライトで実験しよう!」
アヤカ:「…あれ、うち理科研究部だったよね?」
(夕日の中、二人は笑いながら駅へ向かって歩き出した…)