学校の英語授業編第3回:じゃあどう自分で学ぶか(実践編)
2025/9/6
📚 はじめに
これまでの記事でお伝えしてきたように、今の中学校の英語授業は「なんとなく英語」に陥りやすい傾向があります。また、公立と中高一貫の間には授業時間や構成の差があり、そのまま理解度や学力の差につながってしまう現実もあります。
では、そうした環境の中で 生徒が自分でできる工夫 はどんなものがあるのでしょうか。
今回は家庭教師として実際に指導してきた経験をもとに、「具体的な勉強の仕方」をお伝えします。
✏️ 1. 品詞の整理
中学生にとって、最初の大きな壁は 「品詞」 です。特に形容詞と副詞の違いが分かりづらく、多くの生徒が混乱します。
結論だけ言えばシンプルです。
◉ 名詞を修飾するのが形容詞
◉ 名詞以外を修飾するのが副詞
ただ、英語が苦手な生徒にとっては「なぜ日本語の文法みたいなことをやらなきゃいけないの?」と疑問に感じる場面も多いのです。
そこで僕は、まず 身近な日本語の例文 を使って品詞の役割を説明するようにしています。例えば「赤いリンゴを食べる」なら「赤い」が形容詞、「ゆっくり食べる」なら「ゆっくり」が副詞。このように実感できる形で示すと、ぐっと理解しやすくなります。
さらに、拒否反応が強い場合はあえて「形容詞」「副詞」という言葉を出さずに、文の構造を示しながら「ここに来る言葉はこういう役割だよ」と伝えることもあります。名前よりも役割を理解させることを優先するのです。
📐 2. 文型の理解
英語の文章は原則として 5文型しかない。
この一言を伝えると、生徒は「え、たった5種類?」と驚き、ぐっと興味を持ってくれます。
もちろん「目的語」「補語」といった用語が出てきますが、理解が早い生徒にはここで品詞の知識と結びつけて教えることで、文章の構造が一気に見えるようになります。
逆に英語が苦手な生徒には、まずは日本語の例文を用いて「主語+動詞」「主語+動詞+目的語」といったシンプルな形を示します。いきなり難しい専門用語で固めるのではなく、自分の生活に近い例で文型を体感させることを意識しています。
📖 3. 教科書の活用法
「教科書は一度読んで終わり」になってしまう生徒は多いですが、それでは力はつきません。そこで僕が提案しているのは、“分解”と“要約”のセット学習です。
具体的には次の4ステップです。
◉ ① とにかく一度読む(音読できるとベスト)
◉ ② 「なぜ?」を自分に問いかけながら読む(なぜこの単語?なぜこの語順?)
◉ ③ 赤字・太字の部分をピックアップし、その解説文までしっかり確認する
◉ ④ 読み終えたら、ページ全体の内容を自分の言葉で要約する(字数を決めてトレーニングすると効果的)
こうすると、ただの「暗記」ではなく 理解→整理→表現 までを一連でこなせるため、授業の知識が自分のものになります。
📒 4. ノート術との連動
英語には日本語と違う独自ルールが多いため、それをノートに「自分用のミニ辞典」として残すのがおすすめです。
例えば:
◉ 「三単現のs」や「時制の一致」など、日本語にはないルールをメモしておく
◉ 品詞ごとに色を分けて書く(名詞=青、動詞=赤など)
◉ ページ下に「今日のルールまとめ欄」を作り、授業のポイントを一言で書き残す
こうすることで、ただ写すだけのノートから 「見返すだけで理解がよみがえるノート」 に変わります。前回の記事で紹介した「ノートの再現性」ともつながる部分です。
🌟 5. 成功体験
このやり方を実践した生徒の中に、英語が大の苦手で「長文なんて絶対無理」と言っていた子がいました。
まずは「単語」と「文法」の基礎だけを徹底的に固めました。するとどうなったか。
それまで英文を見ても「単語の羅列」にしか思えなかったのが、ある日突然「文章の流れ」として見えるようになったのです。
その後は、リーディングや英作文の伸びがまるで違いました。文章を読むスピードも上がり、模試では以前より30点以上点数が伸びたこともあります。
英語が嫌いだったその子が、「文法が分かるとちょっと楽しい」と言ってくれたのは、僕にとっても印象的な瞬間でした。
📝 一言まとめ
英語の学び方は「丸暗記」ではなく、
品詞で整理 → 文型で骨格を掴む → 教科書を分解して要約 → ノートで独自ルールを整理 → 成功体験につなげる
という流れで初めて本物になります。
一つひとつは地味ですが、確実に積み重ねることで「なんとなく英語」から抜け出せるのです。
この先生の他のブログ
📚 はじめにこれまでの3回でお伝えしてきた内容を振り返ります。◉ 第1回:「なんとなく英語」の授業の実態◉ 第2回:公立と中高一貫の差◉ 第3回:生徒自身ができる具体的な勉強法そして今回の第4回は、シリーズの締めくくりとして 「保護者がどう関われば良いか」 に焦点を当てます。家庭...
📚 はじめに「公立と中高一貫って、やっぱり差があるんですか?」家庭教師をしていると、保護者の方から必ずと言っていいほど聞かれる質問です。僕自身、公立中学の生徒さんも、中高一貫校の生徒さんも両方教えてきました。もちろん学校ごとの方針や生徒さん自身の努力によって差はあります。ただ、それでも 全...
📚 はじめに「英語の授業って、今は随分変わったんだなぁ」今の、生徒さんを見ていて僕自身が感じる気持ちです。僕自身が中学生だった頃、授業は基本的に「文法の説明」や「訳読」が中心。ところが今の中学校では、グループワークやスピーチ、CD音源を使ったリスニングなど、当時にはなかった活動型の授業が取り入れられ...