学校の英語授業編第4回:保護者へのメッセージ
2025/9/6
📚 はじめに
これまでの3回でお伝えしてきた内容を振り返ります。
◉ 第1回:「なんとなく英語」の授業の実態
◉ 第2回:公立と中高一貫の差
◉ 第3回:生徒自身ができる具体的な勉強法
そして今回の第4回は、シリーズの締めくくりとして 「保護者がどう関われば良いか」 に焦点を当てます。
家庭教師として多くの生徒さんと向き合ってきましたが、保護者にとって大切なのは「英語が詳しいかどうか」ではありません。大事なのは、お子さんとどう関わり、どう理解を確認してあげるか という姿勢です。これが学習の支えとなり、モチベーションの後押しになります。
👀 ノートチェックは「教えてもらう」姿勢で
英語が苦手な保護者の方からよく聞かれるのが、
「ノートを見ても内容がわからない。これでは何も確認できないのでは?」という声です。
でも実は、その「わからない」が大きな武器になります。
◉ 子どもに「ここどういう意味?教えて」と聞く
◉ ノートを開き「この授業をお母さんに説明してみて」とお願いする
◉ 赤線やまとめ部分を指差して「ここってどういうこと?」と質問する
こうした声かけは、子どもに「アウトプットの機会」を与えます。説明できれば理解は深まりますし、説明できなければ「復習すべきポイント」が見えてきます。
大切なのは、「ダメ出し」ではなく「教えてもらう」姿勢。
過干渉にならずに理解者として関わることが、英語学習を前に進めるサポートになります。
🏠 家庭でできるシンプルな工夫
家庭でのサポートは「一緒に音読」や「毎日小テスト」といった定番の方法もありますが、それだと負担になって長続きしないこともあります。そこでおすすめしたいのは、もっとシンプルで柔らかい工夫です。
◉ 週に一度だけ「英語タイム」を作る
◉ 教科書の赤字や太字を一緒に眺める
◉ 1ページ分を子どもが要約し、保護者が聞き役になる
◉ 苦手そうな単元を見つけたら「どこがわかりにくい?」と声をかける
わずか10分でも十分です。
毎日ガッツリ関わるよりも、短時間でも継続的に確認する時間 を設けるほうが効果的だと感じます。
💡 誤解を解きたいポイント💡
保護者の方が持ちやすい誤解を、ここで整理しておきます。
◉ 「文法は古い」 → 実際には、文法と語彙力(単語・熟語)は英語学習の土台。どんなに教育改革が進んでも、この基礎を飛ばすことはできません。
◉ 「学校に任せておけば大丈夫」 → 学校の授業はもちろん大切ですが、その進め方や重点は学校ごとに異なります。お子さんがその流れに合っているかどうかを確認することが必要です。
大切なのは、学校任せにするのではなく、「家庭でも学びが定着しているか」を軽くチェックしてあげること。それが後々の二度手間を防ぐことにつながります。
🌟 実際の成功事例
ある中学生の例を紹介します。
英語が苦手で、ノートもただの写経になっていた生徒さんがいました。そこで保護者の方にお願いしたのは「授業を3行でまとめて説明してもらうように声をかける」こと。
最初は戸惑っていましたが、回数を重ねるうちに自分の言葉で授業内容を整理できるようになり、文法の理解が一気に深まりました。その結果、定期テストでは以前よりも安定して高得点を取れるようになりました。
このとき保護者が担ったのは「教える人」ではなく「確認してもらう人」。その小さな関わりが、大きな変化を生みました。
📝 シリーズまとめ
4回にわたって「学校の英語授業をどう活かすか」をテーマにお話ししてきました。
◉ 第1回:「なんとなく英語」の実態を知る
◉ 第2回:公立と中高一貫の差を理解する
◉ 第3回:生徒自身ができる工夫を実践する
◉ 第4回:保護者が適切に関わり、理解を確認する
ここで強調したいのは、英語学習は「学校だけ」「家庭だけ」では完結しないということです。
子どもが「なんとなく」から抜け出すためには、本人の工夫と同時に、保護者の温かいサポートが欠かせません。
最後に一言でまとめるなら、
「保護者は先生になる必要はない。理解者として一緒に歩むことが、最大のサポートになる」
これこそが、僕が家庭教師として多くの生徒・保護者と接してきて感じた結論です。
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