オンライン家庭教師マナリンク
中学数学

「マイナス×マイナス=プラス」を考える

2022/4/5


マイナスにマイナスをかけるとプラスになる。

中学数学で学ぶことだがつまづく生徒は少なくない。

マイナスにマイナスをかけるということが身近な出来事に結びつきづらいというのも一因かもしれない。

世の中には色々と説明の仕方があるかと思うが、ここでは私なりの一つの考え方を書き連ねてみようと思う。


ただその前にいくつか段階を踏ませてほしい。

まずはかけ算そのものについて少し考えてみる。


いきなりだが2+2+2+2はいくつだろうか?

順番に足していけば8である。

では3+3+3+3+3+3+3+3はいくつだろうか?これも順番に足していけば24である。


上のような個数ならまだしも、例えば5を100回足したらいくつになるか、というのをひたすら足し算で求めるのは中々しんどいものがある。


そこでかけ算の出番である。5を100回足すというのは5が100個あると考えれば良いので5×100=500とすぐに答えを出せる。


このようにかけ算は同じものを複数回足す操作を簡単にしてくれていると言える。


2×4は「2を4回足す操作」をしていると考えることが出来る。

※「4を2回足す操作」と考えることも出来るがここではひとまず○×△を「○を△回足す操作」として捉える


この考え方に従うと(-2)×4は「-2を4回足す操作」を表していると考えることが出来る。

つまり(-2)+(-2)+(-2)+(-2)ということであり、答えは-8となる。


さて、それでは2×(-4)を考えてみる。これは「2を(-4)回足す」という事になるが、この(-4)回足す、という操作は身近な操作とは言い難い。これが何なのかを考えてみようと思う。


この事について考えるにあたって大事なことはプラスとマイナスの関係である。

プラスとマイナスというのはそれぞれが「逆・反対」の関係を表していると考えてみる。


何か「プラスの操作」があるとすれば、「マイナスの操作」というのは「プラスの操作」の「逆・反対」としてみる。


例えば「前に進む」がプラスの操作ならばマイナスの操作は「後ろに進む」である。

「上がる」がプラスならばマイナスは「下がる」である。

これを数式と見比べながら考えてみる。


5-3というのを「5歩進んで3歩戻る」と考えることも出来るし「5個貰って3個あげる」と考えることも出来る。

身近な例で考えるとプラスとマイナスはそれぞれ反対の意味を持っていることが実感しやすいかもしれない。


さて、ここで先程の(-4回)足すという操作に戻ってみる。マイナスはプラスとは反対の操作を表すと捉えることが出来る。とするならば、(-4回)足すというのは+4回引くというように捉え直すことも出来るはずである。


2×(-4)というのは「2を4回引く」という操作を表していると考えれば-2-2-2-2という計算を表すものであり、答えは-8となる。


いよいよマイナス×マイナスを考えてみようと思う。

(-2)×(-4)というのは「(-2)を(-4)回足す」という操作であり、これは「(-2)を4回引く」と捉え直すことが出来た。式にしてみれば

-(-2)-(-2)-(-2)-(-2)=2+2+2+2=8

となり、答えは8というプラスの答えを得ることが出来た。


マイナス×マイナスというのは「あるマイナスの数をある回数だけ引く操作」であり、その操作で得られる値は結局プラスになる、と考えることが出来る。


この考え方をもう少しだけ推し進めるために「マイナスの数を引く」ことにも目を向けてみたい。


考えてみれば「マイナスの数を引く」というのも何となく分かりはするものの実感としては湧きづらい。


これに関して「引く」、つまり「引き算」というものを見つめ直してみようと思う。


5-3というのは引き算として見れば(+5)-(+3)であり、5+(-3)のように足し算にして考えることも出来る。この時(+3)と(-3)という数の関係を眺めてみると「符号が反対」になっている。


上で考えたようにプラスとマイナスは反対の操作を表している。これは引き算を足し算にする場合においては「ある数を引く」→「符号を反対にした数を足す」というように考えることが出来る。

具体的な数字で言えば+2を引くというのは-2を足すと考えることが出来るし、-5を引くというのは+5を足すと考えることが出来る。

数を増やして考えてみよう。

+2+2+2は「+2を3回足す操作」であり、引き算で考えると-(-2)-(-2)-(-2)となり「-2を3回引く操作」となる。

一般化すると「aをb回足す」というのは「(-a)をb回引く」と言い換えられる。逆に言えば「(-a)をb回引く」というのは「aをb回足す」ことになり、マイナス× マイナスというのは最終的にはプラスの数の足し算となるので答えはプラスになる、と言える。


ここまで長くなってしまったが、マイナス×マイナス=プラスについて考えてきたことを改めてまとめてみると以下のようになる。


①「a×b」は「aをb回足す操作」として捉えられる。


②「a×(-b)」は「aを(-b)回足す操作」であり、言い換えれば「aをb回引く操作」である。


③引き算は「符号を反対にした数を足す操作」と言い換えられる。

「(-a)×(-b)」は「(-a)をb回引く操作」であり、これを「aをb回足す操作」と言い換えることが出来る。


④マイナス× マイナスは「プラスの数の足し算」に置き換わるので結局答えはプラスになる

このブログを書いた先生

中学数学のオンライン家庭教師一覧

中学数学のブログ

数学に「国境」はない。算数と高校数学で殴り勝つ中学数学

こんにちは、ヒロユキです。 神奈川で塾を経営しながら、オンラインでも生徒たちの指導にあたっています。「方程式」という万能な金槌中学生になると、皆一様に「x(エックス)」という武器を手にします。 方程式です。これは確かに便利な道具です。わからない数をとりあえず文字で置いてしまえば、あとは手順通りに式変形するだけで答えが出る。魔法のようなツールです。しかし、ここに落とし穴があります。 「方程式を使えば解ける」という安心感が、いつしか「方程式でなければ解いてはいけない」という強迫観念に変わってしまうのです。心理学に「ハンマーを持つ人には、すべてが釘に見える」という言葉があります。 方程式というハンマ...続きを見る
ヒロユキの写真
ヒロユキオンライン家庭教師
2025/12/13

「数学の赤点から15点アップ」は、正しい順番で勉強すれば誰でもできる ──きゅうご先生の“点が取れる数学”指導とは?

「数学の赤点から15点アップ」は、正しい順番で勉強すれば誰でもできる──きゅうご先生の“点が取れる数学”指導とは?■「努力しているのに点数が上がらない」中学生へ「提出物もやっているのに赤点…」「テストになると何を書けばいいかわからない…」「頑張っているのに結果が出ない…」このように悩む中学生はとても多いですが、それは “やり方が合っていない” だけです。30年以上、赤点の子・数学が苦手な子・不登校の子・発達特性のある子など本当に多くの生徒を指導してきましたが、その中で確信していることがあります。✔ **赤点は才能ではなく “方法” の問題。正しい順番で学び直せば、必ず10〜20点は上がる。**...続きを見る
きゅうごの写真
きゅうごオンライン家庭教師
2025/12/7

教えるのをやめた教師が見つけたもの──私が『学び合い』に魅せられた理由

はじめに「先生が教えない授業」を、  あなたは想像できますか?はじめまして。江見といいます。私は日本の公立中学校で数学を教えてきましたが、ある日を境に、黒板の前から姿を消しました。教えることを手放したのです。すると、教室の空気が少しずつ変わり始めました。静かだった子が声を出し、ヤンチャな子が誰かを助け、できないと思っていた子が誰かのヒーローになっていく。生徒の力は、私たちが思っているよりずっと大きい。そう気づくまでの私の道のりを、今日は少しだけお話しします。私は最初、“教える先生”でした。教員になりたての頃、私は「先生が教えるものだ」と信じきっていました。授業に集中しない生徒を見るとイライラし...続きを見る
江見の写真
江見オンライン家庭教師
2025/12/6

海外で学んだ“説明する力”~自分の言葉で伝えるってどういうこと?~

◆『マイナス×マイナス=プラス』になる理由は?この質問に答えられる中学生がどれほどいるでしょうか?もちろん「なるものはなる」と教わって、それを使える生徒はたくさんいます。しかし現代で問われる力は、「結果を出力する」から「思考過程を言語化する」に変化してきています。ただ計算結果を答えるだけではなく、過程を説明する。それを繰り返すことで「論理的思考の組み立て」や「未知の事柄を明白にしていく」など、社会で生き抜くのに必要なスキルが身についていきます。◆デンマークでの数学教育現在デンマークに在住し、子供たちを現地校に通わせていると、デンマークの数学教育は驚くほど覚える内容が少ないと感じます(例えば九九...続きを見る
江見の写真
江見オンライン家庭教師
2025/11/28

たった1ヶ月で数学18点アップ!感謝の声をいただきました

【生徒さんの感謝の声】中1男子:1ヶ月で23点→41点(+18点)計算ミスが激減し、文章題も正しく読めるように。自信まで戻りました。今日は、私のところに通ってくれている 中学1年生の男の子とお母さまからいただいた感謝の声をご紹介します。今回の結果は、わずか1ヶ月で23点→41点(+18点アップ)!ご本人もお母さまもとても驚かれていて、ぜひブログで紹介してほしいとのことで、了承をいただき掲載しています。■ 指導前の課題:計算ミスと文章題への苦手意識初めてお会いしたとき、彼は計算ミスの多さ文章題になると手が止まる勉強の仕方が分からないという状態でした。「やってもやっても点が伸びない」その悔しさは、...続きを見る
きゅうごの写真
きゅうごオンライン家庭教師
2025/11/18

🌟【中学受験】過去問の“正しい使い方”を知らないと合格は遠のく!?🌟

🌟【中学受験】過去問の“正しい使い方”を知らないと合格は遠のく!?🌟ーー最短で成果が出る「過去問ルーティン」を徹底解説ーー過去問を始める時期になると、「どこから解けばいいの?」「何回くらい解けばいい?」「点数が低いと不安…」そんな声が毎年たくさん届きます。ですが、安心してください🍀過去問には“正しい順番と使い方”があるだけなんです。今日は、中学受験生が最短で合格に近づくための✨過去問ガイド完全版✨をお届けします!◆ 🎯まずは「どの学校から解くか?」の順番が超重要!いきなり本命校から始めてはいけません。なぜなら…👉 出題形式に慣れない👉 難易度が高くて心が折れる👉 分析する余裕がなくなるだからで...続きを見る
キムの写真
キムオンライン家庭教師
2025/11/16

この先生の他のブログ