合格する小論文。合格しない小論文。その違いとは?
2024/8/4
例えば、大妻女子大学の小論文の過去問に「AIが与える心理的影響を多角的に論じなさい」というものがあります。高校生が思いつく限りの心的影響を、あるていど型どおりの書き方で書けばよいというのは誰でもわかると思います。
しかし、それでは不合格になる大学もあります。もちろん合格する大学もあるでしょう。どのレベルで論じられているものを合格とするのかは、大学によってそれぞれ基準が違いますから。
しかし、関西であれば関関同立レベル、関東であればマーチレベル以上の大学は、それでは落ちるように私は思います。多角的に論じろというのは、いくつもの視点を取りなさい、ということです。あるいは、1つの視点で切り取ったものを2つ以上の見方で論じるか。
前者の方法を採るなら、例えば、 AIと人間の尊厳という視点からその心的影響を論じる。あるいは。 AIが人間の情緒という言葉や数値では完全に割り切れないものに与える影響について論じる。はたまた、AIが人間の習慣的行動に与える心的影響について論じるなど、あるていど学術論文になりうるような視点を複数とっていかないと合格が厳しい場合もあります。
小論文の模範解答は掲載してくれている大学とそうではない大学があり、掲載してくれていない大学に関しては「どのレベルで視点をとれば合格できるのか」が判然としません。したがって安全を見るのであれば、視点の取り方と、その視点にもとづく論じ方くらいは勉強しておいた方がいいのではないかと思います。
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