お寺の門で立ち止まった理由 - 偏差値40から早慶100%の奇跡を生んだ恩師へ
2025/5/29
缶コーヒーと共に語った時間 - 恩師への想いを胸に
あの人がいない世界で
2年前、私の人生を大きく変えてくれた恩師が旅立った。がんという病魔に侵されながらも、最後まで教育への情熱を燃やし続けた塾長先生。塾長歴35年という長いキャリアの中で、その影響力は計り知れないものだった。
奇跡を生み出した小さな塾
あの塾は決して大きくはなかった。たかが毎年卒業生が7-8人!しかし、そこには本物の教育があった。塾長先生は全科目に精通し、すべてを深く知る真の教育者だった。特に国語、英語、算数、一般教養のスペシャリストとして、言葉の美しさと力強さを生徒たちに伝えていた。私は英語スペシャリスト、それも実学と受験において生徒たちの多様な学習ニーズに応えていた。チーム一丸となって挑んだ早慶合格率100%という驚異的な実績。偏差値40台からのスタート、中には学習障害を抱えた生徒もいた。それでも私たちは諦めなかった。
「基礎が全て」- これが塾長先生の口癖だった。文系の生徒にも容赦なく算数・数学の基礎を叩き込む。一見厳しく見えるその指導法の裏には、生徒一人ひとりの可能性を心から信じる温かな眼差しがあった。
再会の日
あの日、私は重い足取りで墓地の石段を上っていた。1年ぶりの再会。手には塾長先生が生前愛していた缶コーヒーを握りしめていた。いつも職員室で「これが一番うまいんだ」と笑いながら飲んでいた、あの銘柄。
墓石の前に座り込み、缶コーヒーのプルタブを開ける音が静寂を破った。「先生、お疲れさまでした」。そう呟きながら、もう一本の缶コーヒーを墓石の前に置いた。
30分間の対話
時間が止まったような静けさの中で、私は先生に語りかけた。現在の仕事のこと、教育への想い、そして日々の小さな愚痴まで。缶コーヒーをすすりながら、まるで生前と同じように会話を続けた。
「先生、今の教育現場は大変です。でも、先生が教えてくれた『基礎の大切さ』を忘れずに頑張っています」
風が頬を撫でていく。まるで先生が「そうか、頑張っているな」と微笑んでいるかのように感じられた。
不思議な気配
30分ほど経っただろうか。缶コーヒーを飲み干し、立ち上がる時が来た。「また来ますね」と声をかけ、墓石に手を合わせる。重い足取りでお寺の門へと向かった。
ふと、門の前で振り返った瞬間だった。確かに感じたのだ。あの懐かしい気配を。塾長先生がそこに立っているような、そんな錯覚に包まれた。
「先生...」
思わず呟いた声は、夕暮れの空気に溶けていく。
続く想い
「また来るね」。その言葉を残して、私は帰路についた。心の中に、先生との思い出が温かく蘇る。基礎を大切にする姿勢、生徒への愛情、教育への情熱。すべてが今も私の中に生き続けている。
あの日墓前で交わした約束は、単なる言葉ではない。先生から受け継いだ教育への想いを、これからも大切に育んでいく。それが、恩師への最高の恩返しなのだと、私は信じている。
缶コーヒーの味が、今でも口の中に残っている。それは先生との絆の証なのかもしれない。
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