「受験はまだ先」——その油断が、二年後の明暗を分ける|高1・高2の英語は、この夏の英単語で決まる
「勉強しているようだが、成果があるのか分からない」——親の直感は、たいてい正しい

夏休みも半ばを過ぎました。部屋にこもってはいるものの、机に向かっているのか、ただ時間をやり過ごしているのか。あるいはリビングでスマートフォンを手放さない我が子を眺めながら、言葉にならない不安を抱えている——高校1年生、2年生のお子さんを持つ親御さんに、そんな方は少なくないはずです。
「勉強しているように見える。けれど、本当に力になっているのか」
その直感は、残念ながら、たいてい正しい。そして厄介なのは、この学年には「受験はまだ先」という空気が漂っていることです。部活に行事に、青春のただ中。焦る理由はどこにもないように見えます。けれど——難関大の合否は、高校3年生の一年ではなく、この高1・高2の過ごし方で、静かに、しかし決定的に分かれていくのです。
差がつくのは高3ではない。「今」である
多くの家庭が誤解しています。勝負は受験学年の一年間だ、と。違います。高3の夏、周囲が一斉に走り出したとき、そこからの伸びしろを決めているのは、それまでに積み上げてきた「土台」の厚みです。土台の薄い受験生は、いくら高3で頑張っても、土台の厚い同級生に最後まで追いつけない。
その土台の中核をなすもの——それが、英語における語彙力です。
結論から申し上げます。英語は、文法よりも、読解よりも、英作文よりも、リスニングよりも、まず「英単語」を覚えること。これがすべての出発点であり、高1・高2のうちに手をつけるべき、最優先事項です。
なぜ、語彙がすべてに先立つのか

早慶・MARCH・医学部を志す生徒を長く指導してきて、揺らいだことのない確信があります。英語の得点は、語彙力にほぼ正比例する、ということです。
理屈は単純です。単語の意味が分からなければ、どれほど精緻な文法知識も宙に浮く。読解の技術を磨いても、目の前に並ぶのが未知の語の羅列であれば、一文字も像を結ばない。英作文もリスニングも同じで、語彙という土台を欠いたまま何を積んでも、それは砂上の楼閣にすぎません。
とりわけお伝えしたいのは、国語が苦手で、読解力に不安のあるお子さんほど、語彙こそが逆転の鍵になるという事実です。行間を読む力、文脈から意味を手繰り寄せる勘——そうした才に恵まれずとも、知っている単語の数が多ければ、それだけで正解の岸へたどり着ける。センスで戦えないのなら、努力が決して裏切らない「知識量」で戦えばいい。これは、受験という戦いにおける最大の福音です。
私が「活字」から授かったもの
少しだけ、私自身の話をさせてください。
私は英検1級を持っていますが、そのための対策も、特別な英語学習も、一度もしたことがありません。ではなぜ手が届いたのか。答えは、ただ一つ——活字です。
高校時代から新聞をこよなく愛し、当時はまだ珍しかった英字新聞を購読していました。その習慣は、五十歳をとうに越えた今も途切れていません。外資系企業に身を置いた十七年間は、英国のフィナンシャル・タイムズをはじめとする経済紙を、週末には必ず、ほぼ全紙面を数時間かけて読み込んできました。活字は、語彙のみならず、世界の輪郭を、人の思考の筋道を、静かに教えてくれます。そして語彙が豊かに育つと、教養に裏打ちされた文章の「型」が見え、最後まで読まずとも書き手の次の一手が読めるようになる。この力は、入試の長文読解でそのまま武器に変わります。
とはいえ、高校生がいきなり英字新聞に挑むのは現実的ではありません。だからこそ、まず踏み出すべき一歩は、たった一つに絞られます——英単語を、覚えること。
志望校別・目指すべき語彙の到達点

指導者として、迷いのない指針を示します。
早慶・私立医学部を狙うなら——英検1級レベルの語彙を。 トップ層がしのぎを削る難関大の英文は、平易な語彙では歯が立ちません。1級水準の語を血肉とした受験生だけが、本番で「読めない」という恐怖から解き放たれます。
MARCH・関関同立が目標なら——英検準1級レベルの語彙を。 ここを完成させれば、合格に要する英語力の土台は揺るがない。裏を返せば、これが中途半端なままでは、他教科でどれほど盛り返しても、英語が最後まで足を引っ張り続けます。
語彙には「締め切り」がある——学年別・逆算のタイムリミット
そして、ここが本稿の核心です。英単語には、覚え終えるべき「期限」がある。 難関大合格から逆算すれば、理想のスケジュールはおのずと一本の線になります。高1・高2のご家庭にこそ、この時間割を知っていただきたい。
受験標準レベルの単語帳は、高校1年が終わるまでに。 いわゆる大学受験の基礎単語帳です。ここを高1のうちに固め切れるかどうかが、その後二年間の伸びしろを決めます。
英検準1級レベルの語彙は、高校2年が終わるまでに。 MARCH・関関同立を射程に入れるための水準。高2の春休みまでに完成していれば、高3のスタートは、周囲とまるで違う景色から始まります。
英検1級レベルの語彙は、高校3年の10月までに。 早慶・医学部を狙うなら、ここが最終防衛ラインです。なぜ10月か——それ以降は、過去問演習と実戦形式の総仕上げに全神経を注ぐべき時期だから。語彙のインプットは10月できっぱりと店じまいにする。この時期にまだ単語帳を回している状態は、致命的に出遅れているサインなのです。
この時間割を見て、気づかれたはずです。高1・高2のこの夏こそが、スケジュールの出発点だと。まとまった時間が取れる四十日間で単語帳をどこまで進められるか。その一点が、二年後の春を静かに分けていきます。
「覚えたつもり」という、最も静かな落とし穴
覚え方にも、勝敗を分ける鉄則があります。多くの生徒が足をすくわれるのは、単語帳を「眺めているだけ」で覚えた気になる錯覚です。赤シートで隠しては答えを確かめ、ページを繰って満足する。それでは記憶に根は張りません。
鉄則は、一冊を、何周も、高速で。一周目から完璧を求め、最初の百語に何時間も費やして力尽きる——これが最悪の道筋です。分からなくて当然と割り切り、数秒で出てこなければ即座に答えを見て次へ。軽やかに何周も回すうちに、脳はやがて「これは手放せない情報だ」と判断し、語は静かに定着します。そして武器は一冊に絞ること。 不安から新しい単語帳を買い足すのは、典型的な失敗です。一冊を完全に我がものとした生徒は、本番でどんな長文が来ようと微動だにしません。
なお、「文法や読解はやらなくていいのか」とよく問われますが、これは要不要ではなく順番の問題です。語彙という地盤の上でこそ、文法も読解も本当の意味で伸び始める。高1・高2で語彙を固め、高3でその土台の上に一気に積み上げる——この順序が、王道にして最短距離です。
親として、いま差し出せる一言

厳しいことを申し上げます。英単語を覚えるという最も基本的な努力から逃げ続ける生徒が、一流大学の門をくぐるのは至難です。これは才の問題ではない。暗記はセンスではなく、行動の領域だからです。ここから目を背け続けるのなら、注がれる時間も費用も、正直に言って報われにくい。
けれど裏を返せば——「まだ先」と誰もが油断するこの高1・高2の時期に語彙を積み始めた子は、それだけで大きく抜きん出るということです。親御さんに託されているのは、難しい勉強を教えることではありません。「単語帳を一冊、最後まで覚え切ろう」——その一点へ、お子さんの視線を静かに向けてあげること。それだけで、二年後の景色は確かに変わります。
我が子の可能性を、「なんとなく過ぎていく夏」の連なりで終わらせないために。始まりは、今日の英単語です。
早慶・MARCH・医学部を目指すお子さんの英語に、本気で伴走します。
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- 大学受験英語・英語長文読解が苦手で、「単語は分かるのに内容が理解できない」「何度も読み返してしまう」
- 難関大学対策として、感覚ではなく英文構造を正確に把握する読解力を身につけたい生徒さん
- 共通テスト・私大入試で時間が足りないと悩んでおり、英語の読解スピードと正答率を同時に伸ばしたい
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