【中学受験理科】 過去問演習で成績を伸ばすための基本戦略
夏休みも終わりに近づき、いよいよ新学期が始まります。
まだ少し早いとお感じになる方もいらっしゃるかとは思いますが、中学受験生にとって、9月以降は志望校対策が本格化していく時期です。夏休みまでに基礎事項の確認や苦手分野の補強を進め、これから少しずつ志望校の過去問演習に取り組んでいくという方も出てくるのではないでしょうか。
この時期になると、
「過去問では何点くらい取れていればよいですか?」
「合格最低点に届かないのですが大丈夫でしょうか?」
「何年分くらいやればよいですか?」
といったご質問をいただくことも増えてきます。
もちろん、過去問で何点取れたかや、多くの問題にあたることは重要です。
ですが、より大切なことは、過去問を使って、自分がどこで点を落としているのかを明らかにし、その後の勉強につなげることです。
9月以降は、過去問を解くこと自体が目的になるのではなく、過去問から見つかった課題を普段の学習で克服していくことが重要になります。
今回は、中学受験理科の過去問演習を成績向上につなげるための基本的な考え方についてお話ししたいと思います。
①「何点だったか」だけを見ない
過去問を解くと、どうしても最初に気になるのは点数です。
「50点しか取れなかった」
「合格者平均点より10点低かった」
など、点数だけを見て落ち込んでしまうお子様も少なくありません。
特に9月ごろに初めて志望校の過去問を解いた場合、思っていた以上に点数が取れず、不安になることもあると思います。
ですが、この時期の過去問演習では、点数そのもの以上に、
なぜその点数になったのか
を見ることが重要です。
たとえば同じ50点でも、
・知識問題を大量に落としている
・計算問題でミスをしている
・問題文を読み違えている
・時間が足りず最後まで解けていない
・実験やグラフの問題で考え方が分からない
では、今後やるべき勉強がまったく違います。
過去問は自分の弱点を見つけるための材料として使うことが大切です。
②間違えた問題を分野ごとに整理する
理科の場合、過去問で間違えた問題については、できれば分野を意識して整理してみてください。
たとえば、
物理:てこ、電流、ばね、浮力
化学:水溶液、気体、燃焼
生物:植物、人体、昆虫
地学:天体、気象、地層
といった形です。
何年分か解いていくと、
「毎回、電流で落としている」
「天体になると正答率が急に下がる」
「生物の知識問題はかなり取れている」
といった傾向が見えてきます。
この傾向が分かれば、9月以降の勉強はかなりやりやすくなります。
たとえば電流が弱いのであれば、過去問をさらに1年分解くよりも、いったん電流の基本問題集に戻って復習した方がよい場合があります。
過去問で弱点を見つけ、
基本教材に戻る → 弱点を補強する → 再び過去問で確認する
という流れを作ることが重要です。
③「知識不足」と「考え方不足」を分ける
理科の間違いには、大きく分けると二つあります。
一つは、知識を知らなかったために解けなかった問題です。
たとえば、
「冬の大三角を構成する星を知らなかった」
「石灰水の反応を覚えていなかった」
という場合です。
これは覚え直せば比較的短期間で改善できます。
一方で、知識の覚え直しだけでは解決できないものもあります。
「グラフから必要な情報を読み取れなかった」
「実験結果から規則性を見つけられなかった」
「てこの条件を整理できなかった」
といった問題は、単純な暗記だけでは改善しません。
こちらは、問題の考え方や解き方そのものを練習する必要があります。
この二つを一緒にしてしまうと、「理科をもっと勉強しよう」という漠然とした対策になってしまいます。そうではなく、
知らなかったのか。
知っていたのに使えなかったのか。
ここを区別するだけでも、復習の効率はかなり変わってきます。
9月以降は時間も限られてきますので、何となく全範囲を復習するよりも、原因を分けて必要な対策を行う方が効果的です。
④解説を読んで「分かった」で終わらせない
過去問演習でよくあるのが、
問題を解く→丸つけをする→解説を読む→「なるほど」と思う→次の年度へ進む
という流れです。
ですが、単純にこれだけですませることは少し危険です。
解説を読めば、多くの問題は「分かった気」になります。
しかし、数日後に同じ問題を出されると解けない、ということは珍しくありません。
特に計算問題や実験考察問題では、
解説を見ずに、自分でもう一度解けるか
を確認してください。
解けなければ、まだ自分のものにはなっていません。
理科では、この「自力でもう一度解く」という作業が非常に重要です。
過去問をどんどん先へ進めるより、1問をきちんと理解して次に同じタイプの問題が出たときに解ける状態にする方が、最終的には得点につながります。
⑤時間配分も必ず確認する
入試本番では、問題が解けるかどうかだけでなく、制限時間内に処理できるかどうかも重要です。
たとえば、「前半の知識問題に時間をかけすぎて後半の計算問題にほとんど手をつけられなかった」という場合、知識不足ではなく時間配分に問題があります。
また、中学受験理科では、すべての問題を完璧に解く必要がない学校も多くあります。
難しい問題に5分、10分と粘ってしまうより、
「これはいったん飛ばす」
という判断ができた方が得点につながることもあります。
9月以降に過去問を何度か解いていく中で、
「この学校は最初に知識問題を確実に取る」
「計算問題で止まりすぎない」
「最後の大問まで必ず一度は見る」
といった、自分なりの時間の使い方も少しずつ作っていきましょう。
⑥合格最低点との差を冷静に見る
過去問を解くときには、学校が公表している場合、合格最低点や受験者平均点なども参考になります。
ただし、9月の段階で1回過去問を解いた結果だけを見て、「合格できる」とか「もう無理だ」
と判断する必要はありません。
問題との相性によって点数は変わりますし、これから数か月勉強を続ければ改善できる部分もあります。
大切なことは、「何点足りなかったのか」、して「その差をどこで縮められるのか」を考えることです。
たとえば合格ラインまであと10点だったとして、知識問題の取りこぼしが5問あったのであれば、かなり改善の余地があります。
逆に、基本問題はすべて取れていて、最難関の問題だけを落としているのであれば、無理にそこを取りにいく必要がない場合もあります。
過去問では、点数そのものより、あと何点を、どの問題で取りにいくのかという視点が重要です。
⑦過去問を「解きっぱなし」にしない
9月以降になると、塾の課題や模試、志望校対策なども増え、かなり忙しくなります。
すると、「今週は○○中の2023年度、来週は2022年度」というように、過去問を予定通り消化すること自体が目的になってしまうことがあります。
しかし、過去問演習で最ももったいないのは、たくさん解いているのに、その結果が普段の勉強に反映されていないケースです。
10年分解いたこと自体には、それほど大きな意味はありません。
5年分しか解いていなくても、
・「間違いを分析する」
・「弱点分野を復習する」
・「解き直す」
・「別の年度の問題で改善できているか確認する」
という流れができている方が、はるかに効果的です。
過去問は「消費するもの」ではありません。今後の勉強方針を決めるための教材です。ここを意識して取り組んでみてください。
まとめ
いよいよ新学期が始まり、中学受験生にとっては受験本番を意識した勉強が増えていく時期になります。
これから過去問を解き始めると、思うような点数が取れず、焦ることもあると思います。
ですが、9月の段階で重要なのは、過去問で完成した実力を示すことではありません。
過去問を通して現在の課題を見つけ、入試本番までに修正していくことです。
知識不足なのか、計算力なのか、問題文の読み取りなのか、時間配分なのか。
自分が解けない原因が分かれば、やるべきことも具体的になります。
一回一回の点数に振り回されるのではなく、「今回の過去問から何を学び、次に何を直すのか」という視点を持って取り組んでいきましょう。
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