中学数学

「見直しをしなさい」は正しい。でも、ずっと頼っていていいの?

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2025/5/24

◆ 見直しの時間、取れていますか?

試験のあと、こんな後悔をしたことはありませんか?

  • 「あと3分あれば、最後の問題まで解けたのに」
  • 「見直しをしたかったけれど、時間が全然足りなかった」
  • 「見直ししたけど、何も直せなかった」


先生や参考書は「見直しが大事」と教えてくれます。確かにそのとおり。けれど現実はどうでしょう。試験時間は限られ、見直しどころか解ききることすら難しい場面も少なくありません。

この記事では、「見直しの本当の役割」と、「それに頼らないための学習のあり方」について、20年以上の個別指導経験を通じて感じてきたことをお伝えします。


◆ 見直しが“役に立つ”のは、いつなのか?

まず誤解のないようにお伝えしたいのは、見直しを否定するわけではないということです。


特に、公式を覚えた直後や新しいタイプの問題に取り組み始めたときは、見直しが非常に効果的です。

計算の流れが身についていないうちは、「どこで間違えたのか」を自分で分析することが成長につながります。

ミスの傾向を知り、「次から気をつけよう」と意識できれば、習熟のスピードも格段に上がります。


言い換えると、見直しは「学習初期の加速装置」です。私の指導する生徒たちも、最初はミスの原因を一つひとつ見直す中で、着実に力をつけていきます。


◆ でも、その段階に“ずっと”いないことが大事

いつまでも「見直しありき」で問題を解いていると、次の壁にぶつかります。

  • 毎回、基本計算ですら不安で見直しが欠かせない
  • 解くことより“チェック”に時間を使いすぎている
  • 本番で見直す余裕がなく、点数に結びつかない

これでは、習った公式たちが目的地にたどり着くための“道具”ではなく、“足かせ”になってしまいます。


計算は、何かを考えるための「道具」。その道具がまだ不安定なうちは、難しい問題に取り組もうとしても、計算の段階で頭がいっぱいになってしまいます。


◆ 自転車にたとえるとわかりやすい

この状態を、自転車の乗り始めにたとえてみましょう。


初めて補助輪なしで乗るとき、人は「ペダルをどう踏むか」「体でどうバランスをとるか」で頭がいっぱいです。そんなときに「前を見て」「信号を確認して」と言われても、それどころではありません。


これは、計算に意識をすべて奪われている状態と同じです。目の前の数字をどう処理するかで精一杯になっていると、式の構造や問題の全体像が見えなくなります。信号も障害物も見えないまま、ただ走っているだけ。危険なのは当然です。


◆ 基本計算は“見直し不要”な状態を目指すべき

だからこそ目指すべきは、

「見直しをしなくても当たり前に正解できる状態」


  • いちいち確認しなくても正しい計算ができる
  • 他のことを考えながらでも、手元の計算は正確に進む
  • 計算に頭を使わないから、思考の余白が生まれる


このレベルまでくれば、数学の「式の先」が見えてきます。つまり、「この式はあとで何になるか」「どういう形に持っていけばいいか」が自然と見えるようになるのです。


◆ 見直しは“保険”、でも頼らない状態が理想

もちろん、見直しが不要になるわけではありません。誰でもミスはしますし、最終確認の意味では必要です。

ただし、「見直せばいいや」という前提で学習してしまうと、力はつきません。


大切なのは、「ミスしないつもりで」「一発で決めるつもりで」計算を仕上げること。その緊張感が、正確さを育てます。そしてそれが習慣化されれば、やがて見直しに頼らなくても済むようになるのです。


◆ 最後に──「見直しを卒業する」学び方へ

見直しは、学習の“はじめ”には必要な道具です。ですが、それはずっと使うものではありません。自転車の補助輪と同じで、ある程度慣れたら外していくものです。

目指すべきは、「見直しをしなくても正解できる自分」になること。

それが、時間に追われる試験の中で、自信を持って問題を解き進めるための一番の力になります。


◆ 今の学習で、計算に時間を取られていませんか?

私のオンライン指導では、こうした“計算の当たり前化”を丁寧にサポートしています。

一人ひとりのペースに合わせて、「正確に・速く・迷いなく解ける力」を段階的に育てていきます。


「何から直せばいいか分からない」

「基礎はやったつもりだけど点が伸びない」

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“ミスを恐れず、先を見通す数学”を、一緒に始めましょう。

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