【帰国子女の高校受験②】「特別措置」と「特別入学枠」は何が違う?帰国生が知っておきたい2つの仕組み
■「帰国生だから特別な入試を受けられる」とは限らない?制度の違いを整理します
「帰国子女なので、一般入試とは違う試験を受けられますか?」
「帰国生の特別枠がある高校なら、一般入試よりも受験しやすいのでしょうか?」
帰国子女の高校受験について調べていると、
「帰国生入試」
「海外帰国生徒選抜」
「特別措置」
「特別入学枠」
といった言葉が出てきます。
しかし、これらは必ずしも同じ意味ではありません。
ここを混同すると、
「帰国生だからこの高校を受験できると思っていた」
「特別措置があるから、帰国生用の試験を受けられると思っていた」
といった行き違いが起こることがあります。
そこで今回は、帰国子女の高校受験を考える際に知っておきたい、
「特別入学枠」と「特別措置」の違い
について整理します。
なお、これらの呼び方や制度の内容は、全国で統一されているわけではありません。
そのため、この記事では便宜上、
「特別入学枠」=帰国生などを対象として、一般選抜とは別に設定された選抜
「特別措置」=一般の選抜を受ける際に、帰国などの事情を考慮して行われる配慮
という整理で説明します。
実際の出願では、必ずその年度の自治体・学校の募集要項を確認してください。
1.まず結論。「別の選抜」なのか「受験上の配慮」なのか
一番分かりやすい違いはここです。
特別入学枠・帰国生選抜
帰国生などを対象とした、独立した選抜として設定されているもの
です。
例えば東京都では、令和9年度の都立高校入試に「海外帰国生徒対象の選抜」が設定されています。
令和9年度は、
出願受付:2027年1月29日~2月4日
検査:2027年2月15日
合格発表:2027年2月17日
という別日程で実施されます。
大阪府でも「海外から帰国した生徒の入学者選抜」が一般選抜とは別に設定されています。大阪府の令和8年度の実施要項では、「海外から帰国した生徒の入学者選抜」が独立した項目として設けられています。
つまり、このタイプは、
「一般選抜の中で少し配慮してもらう」
というより、
「帰国生を対象とした別の選抜に出願する」
という仕組みです。
2.一方、「特別措置」は何を意味するのか?
こちらは少し注意が必要です。
「特別措置」という言葉は、全国共通の1つの制度名ではありません。
自治体や学校によって、具体的な内容が異なるからです。
例えば、
・試験時間に関する配慮
・問題文への配慮
・受験方法に関する配慮
・出願資格についての個別確認
・調査書等についての取り扱い
・海外の学校での学習歴を踏まえた手続き
など、さまざまな形があります。
したがって、
「特別措置がある=帰国生専用の入試問題になる」
とは限りません。
ここは非常に重要です。
「特別措置」という言葉を見つけたら、
「具体的に何が変わるのか?」まで募集要項で確認する必要があります。
3.「特別入学枠」は実際にはどのようなもの?
実例を見てみましょう。
東京都の場合
東京都立高校では、令和9年度に「海外帰国生徒対象4月入学生徒の選抜」が設定されています。
これは一般選抜とは別に実施される選抜です。
令和9年度は、
海外帰国生徒対象選抜
↓
2027年2月15日
に検査が行われます。
つまり、
「一般選抜を受ける際に少し考慮される」
というだけではありません。
帰国生を対象とした独立した選抜が設定されている
ということです。
4.愛知県にも「海外帰国生徒選抜」がある
愛知県も、帰国生向けの選抜を明確に設けている地域の一つです。
愛知県では、県立昭和高校、県立中村高校、県立豊田西高校、県立岡崎西高校、県立豊橋東高校などで、海外帰国生徒にかかる入学者選抜が実施されています。
また、愛知県の入試資料では、
「海外帰国生徒選抜」
が一般選抜などとは別の選抜として位置付けられています。
さらに、愛知県では海外帰国生徒選抜について、出願資格として、
・原則として継続して2年以上海外に保護者とともに在住
・その期間に一定の学校教育を修めている
・一定の時期以降に海外から帰国している
などの条件が設定されています。
ここから分かるのは、
「帰国生なら誰でも自動的に特別枠を利用できる」わけではない
ということです。
5.大阪府では「帰国生選抜」と「一般選抜」が明確に分かれている
大阪府も非常に分かりやすい例です。
大阪府の公立高校入試では、
2月
海外から帰国した生徒の入学者選抜
↓
3月
一般入学者選抜
という形で、別の選抜として設定されています。
つまり、
「帰国生だから一般入試の問題を少し簡単にしてもらう」
という制度ではありません。
帰国生を対象とする独立した選抜が用意されています。
また、過去の大阪府の募集要項では、帰国生選抜の対象について、原則として、
外国において継続して2年以上在留し、帰国後2年以内
という条件が示されています。
このように、帰国生選抜には、
「誰が対象なのか」
という出願資格が設定されています。
6.では「特別入学枠」なら合格しやすいの?
ここは、保護者の方から非常によく出る疑問です。
ただし、
「特別枠だから一般入試より合格しやすい」
と単純に考えることはできません。
なぜなら、特別枠では、
・募集人数
・応募資格
・試験科目
・面接
・作文
・調査書
・合否判定方法
などが一般選抜とは異なる場合があるからです。
例えば愛知県では、海外帰国生徒選抜について、普通科は募集人員の一部を定員として実施し、専門学科では別の割合が設定されています。さらに、海外帰国生徒選抜に出願する場合は、その高校・学科を第1志望とし、一般選抜にも出願する仕組みになっています。
したがって、
「枠がある」
という事実だけを見るのではなく、
「何人募集し、何人が受験し、どのような方法で選抜されるのか」
を見る必要があります。
7.「特別措置」と「特別枠」は、合否への影響の仕方が違う
ここは整理しておきましょう。
特別入学枠・帰国生選抜の場合
帰国生を対象とした別の選抜が設定されるため、
「どの選抜を受けるか」そのものが変わります。
例えば東京都の「海外帰国生徒対象の選抜」や、大阪府の「海外から帰国した生徒の入学者選抜」は、このタイプです。
特別措置の場合
一般選抜などの受験そのものは維持しながら、
「受験上の条件・手続きなどについて、一定の配慮が行われる」
という形になる場合があります。
そのため、
「特別措置=別枠」ではありません。
ここを区別することが大切です。
8.実は「出願資格」の確認が最も重要
帰国生の高校受験では、
「どの学校に帰国生枠があるか」
だけを調べてしまいがちです。
しかし、その前に、
「自分がその枠に出願できるのか?」
を確認しなければなりません。
例えば、
・海外在住期間
・海外の学校での在学期間
・帰国時期
・帰国後の期間
・保護者との同居
・現在の住所
・入学時の住所
などが条件になる場合があります。
愛知県では、海外帰国生徒選抜について、海外在住期間や学校教育歴、帰国時期などの条件が明記されています。
筑波大学附属高校でも、令和9年度の募集要項に「海外帰国枠」を設けている一方、海外帰国枠での出願には出願資格の事前確認が必要としています。
つまり、
「帰国生枠がある学校を見つけた」だけでは、まだ受験できるとは限りません。
9.「一般入試」との関係も必ず確認する
もう一つ注意したいのが、
帰国生選抜と一般選抜の関係
です。
学校・自治体によって、
・帰国生選抜だけを受ける
・帰国生選抜と一般選抜の両方に関係する
・帰国生選抜と一般選抜で出願方法が異なる
・帰国生選抜に不合格だった場合の扱いが異なる
など、仕組みが違います。
例えば愛知県では、海外帰国生徒選抜に出願する場合、その高校・学科を第1志望とし、一般選抜にも出願することとされています。
このように、
「帰国生枠があるから、一般入試のことは考えなくていい」
とは限りません。
むしろ、
帰国生選抜と一般選抜をどう組み合わせるのか
まで確認する必要があります。
10.「特別措置」と聞いたら、この5つを確認する
募集要項などで「特別措置」という言葉を見つけたら、次の5点を確認してみてください。
① 誰が対象なのか
帰国生全員なのか。
一定期間以上海外にいた人なのか。
特定の条件を満たす人なのか。
② 何が変わるのか
試験科目なのか。
試験時間なのか。
書類なのか。
出願方法なのか。
それとも単なる相談・手続き上の配慮なのか。
③ 合否判定はどう行われるのか
一般選抜と同じなのか。
帰国生だけで判定するのか。
別の評価方法なのか。
④ 出願資格は何か
「帰国生だからOK」ではなく、
海外在住期間や帰国時期などを確認します。
⑤ いつまでに手続きが必要なのか
これも非常に重要です。
出願期間だけではなく、
事前相談・資格確認・必要書類の準備
などに期限が設定されている場合があります。
筑波大学附属高校の海外帰国枠でも、出願資格について事前確認が必要とされています。
11.保護者の方が特に注意したい「言葉の落とし穴」
帰国生の高校受験を調べていると、
「特別」
「帰国」
「海外」
「配慮」
といった言葉がたくさん出てきます。
しかし、
言葉が似ている=制度が同じ
ではありません。
例えば、
「海外帰国生徒選抜」
→ 帰国生を対象とした独立した選抜
「特別措置」
→ 受験上の何らかの配慮を指す場合がある
「特別入学者選抜」
→ 自治体によっては特定の学科・学校などを対象とする別の選抜であり、帰国生とは限らない
というように、言葉の意味を確認する必要があります。
実際、大阪府の公立高校入試でも、「特別入学者選抜」と「海外から帰国した生徒の入学者選抜」は別の項目として整理されています。
12.「帰国生だから受験方法が変わる」とは限らない
ここまでの話をまとめると、
帰国生の高校受験では、
A:帰国生を対象とした独立した選抜がある
場合と、
B:一般選抜を受けながら、一定の配慮・特別な取り扱いがある
場合があります。
さらに、
C:帰国生向けの独立した選抜がなく、一般選抜を基本として考える
ケースもあります。
つまり、
「帰国子女だから、必ず帰国生入試を受ける」
という考え方ではなく、
「自分の条件で、どの選抜制度を利用できるのか」
を確認することが重要です。
13.では、帰国生は何から調べればいい?
おすすめは、次の順番です。
STEP1 帰国時期を確認
「いつ日本に帰国するのか」
↓
STEP2 帰国先を確認
「どの都道府県に住むのか」
↓
STEP3 海外在住・在学期間を確認
「何年間海外にいたのか」
「どの学校に通っていたのか」
↓
STEP4 候補校を探す
公立・国立・私立をそれぞれ確認。
↓
STEP5 募集要項を見る
「帰国生選抜があるか」だけでなく、
出願資格・試験科目・日程・必要書類
を確認。
↓
STEP6 一般選抜との関係を確認
帰国生選抜だけでなく、一般選抜も含めて受験方法を考える。
この順番なら、
「帰国生だからこの学校」
という探し方ではなく、
「自分の条件から受験可能な学校を探す」
ことができます。
まとめ|「特別枠があるか」だけでなく「何が特別なのか」を確認する
今回のポイントを整理します。
「特別入学枠・帰国生選抜」
帰国生などを対象として、一般選抜とは別に設定された選抜です。
東京都の海外帰国生徒対象選抜、大阪府の海外から帰国した生徒の入学者選抜、愛知県の海外帰国生徒選抜などがその例です。
「特別措置」
全国共通の一つの制度名ではありません。
受験上の配慮や手続き上の特別な取り扱いなど、具体的な内容を募集要項で確認する必要があります。
そして最も大切なのは、
「帰国生枠があるか」だけを見るのではなく、
「自分が出願できるのか」
「何を受験するのか」
「一般選抜とどう関係するのか」
まで確認することです。
帰国子女の高校受験では、制度の名前だけを見ると分かりにくいことがあります。
しかし、
①誰が対象か
②どの選抜なのか
③何が変わるのか
④どのような条件があるのか
の4点に分けて考えると、かなり整理しやすくなります。
特に、帰国時期が中学3年生の後半になる場合は、資格確認や必要書類の準備に時間がかかることもあります。
「帰国生入試があるから、まだ大丈夫」
と考えるのではなく、
帰国が決まった段階で、志望地域・志望校・出願資格を確認しておく
ことをおすすめします。
次回は、さらに一歩進んで、
「都道府県でこんなに違う!帰国生の高校受験における地域差」
をテーマに、東京都・愛知県・大阪府などを例にしながら、
「どの地域にどのような帰国生向け選抜があるのか」
「なぜ地域によって制度が違うのか」
を具体的に整理していきます。
この先生のおすすめコース
- 数か月後〜数年以内に日本への帰国を予定している (日本の学校の授業についていけるか不安など)
- 家庭以外で日本語を使う機会が少ない(現地校に通っている、日本語学校が近くにないなど)
- 日本語は話せるが、読む・書くことに不安がある(漢字が苦手、長文を読むのが苦手など)
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- 日本語以外を第一言語とし、日本語が苦手な生徒様
- 海外在住もしくはインターナショナルスクールに通っており、日本語・国語が苦手な生徒様
- 日本語での会話・日本での就学などを目指す生徒様
- 日本への帰国が迫ってきている
- 日常会話は問題ないけれど
- 何をどこまで準備すれば良いかわからない
- 海外在住だが、日本のカリキュラムに合わせて勉強したい
- 海外在住だが、日本の高校を受験する
- 日本時間 午前〜夕方までの時間帯に授業を受けたい(夜も可能です)
- 海外在住の小学生で、日本の学校と同じ教材・カリキュラムで算数を教えてほしい方
- 小学校教員経験のある先生に、基礎から応用まで丁寧に教えてほしい方
- 家庭学習もしっかりとサポートしてほしい方
- 早稲田渋谷シンガポール校に在籍もしくは編入希望
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- 数学の授業についていくのが少し大変になってきた