帰国子女の英語は中学受験で武器になるか|比較対象の罠
帰国子女の英語は中学受験で武器になる。この認識は正しく、そして同時に間違っています。厄介なのは、正しい部分があるせいで、間違っている部分に気づけないことです。今回は、多くのご家庭が陥っている比較対象の錯覚について書きます。
僕はena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきた中学受験算数の講師です。海外在住のご家庭をオンラインで指導しています。
その英語力は、誰と比べたときの評価ですか
まず、正しい部分から確認します。海外で数年を過ごしたお子さんの英語力は、日本に住む一般的な小学生と比べれば、圧倒的です。発音も、リスニングも、語彙の運用も比較になりません。一時帰国したときに親戚から驚かれた経験も、きっとおありでしょう。
ここに落とし穴があります。その驚きは、日本在住の日本人を比較対象にしたときの評価だからです。
ところが、帰国生入試の会場に日本在住の一般的な小学生はいません。そこにいるのは、同じように海外で数年を過ごした子たちです。ニューヨークから、ロンドンから、シンガポールから、上海から。数年の海外生活と、現地校やインターでの学習歴を持った子が集まります。
比較対象が、まるごと入れ替わるのです。
母集団が変われば、順位も変わる
これは実力が下がるという話ではありません。実力はそのままで、周囲が変わるという話です。
日本の小学校で英語が一番だった子が、帰国生入試の教室では平均かもしれない。それは能力の問題ではなく、母集団の問題です。むしろ英語圏に10年いた子や、両親のどちらかが英語話者という子も同じ試験を受けます。滞在年数も環境も、驚くほど幅があります。
そして学校側も、それを前提に選抜を設計します。英語ができる子が集まる前提で試験を作るのですから、英語だけで合否を決めるはずがありません。
では、どこで差がつくのか
算数です。
海外にいた期間、日本の受験算数に触れていなかった子が大半です。つるかめ算も、旅人算も、比の応用も習っていない。現地校では教えないのですから当然です。ところが試験には出る。
つまり英語は全員が持っている前提条件で、算数は持っている子と持っていない子に分かれる変数です。合否を分けるのは、共通項ではなく変数のほうです。
受験は相対評価だという当たり前の事実を、英語という得意分野があると、つい忘れてしまいます。
比較対象を正しく設定するために
ではどうするか。判断材料を、日本在住の親戚の驚きから、実際のデータに移してください。
具体的には、志望校の帰国生入試の倍率と、過去問の算数の難度を見ることです。渋渋、広尾学園、SFC、洗足学園。それぞれ求められる算数のレベルはまるで違いますし、英語の比重も違います。数字を見れば、我が子の位置が親戚の驚きよりも正確に把握できます。
そのうえで、限られた時間を配分し直します。すでに武器になっている英語をさらに磨くより、穴になっている算数を埋めるほうが、総合点は上がります。得意を伸ばすのは気持ちがいいのですが、気持ちよさは合格の条件ではありません。
明日から親がすべき、非情な決断
お子さんの英語を褒めるのをやめる必要はありません。ただ、その評価軸を受験の判断材料に使うのはやめてください。
「うちの子は英語ができる」は、家庭内では正しい。入試会場では、全員に当てはまる前提条件にすぎない。この二つを切り分けられたご家庭から、算数の準備が始まります。
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志望校ごとの算数の難度分析と、限られた時間での優先順位づけは、マナリンクのプロフィールにある「【帰国生入試】算数専門|渋渋・広尾・SFC・洗足対策」というコースで行っています。時差に合わせた時間帯をご用意していますので、無料相談からお気軽にどうぞ。
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