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中学受験 国語 塾技|100を10に絞る〈算数屋の国語⑤〉

2026/8/22

中学受験の国語の参考書には、100個の技が載っています。よくできた本です。ただ、100個を本番で使い分けられる小学生を、僕は見たことがありません。そこで自分の指導用に、10個まで絞りました。今回はその全部を公開します。

僕は算数を専門とする講師です。国語も指導していますが、感性を鍛えるのではなく、判断の手順を減らすという方針で教えています。

なぜ100個では使えないのか

技が多いこと自体は悪くありません。問題は、本番で選べないことです。

試験中、お子さんの頭の中では文章を読む、設問を理解する、根拠を探す、答案を組み立てるという作業が同時に走っています。そこに「100個のうちどれを使うか」という判断まで加えたら、処理が破綻します。

持っている道具が多いほど強い、というのは大人の発想です。子どもにとっては、道具が多いほど迷います。だから減らします。10個なら覚えられるし、迷いません。

読むときに使う5つ

まず、文章を読んでいる最中に使うものです。

1つ目、キーワードを探す。何度も出てくる言葉や、同じ意味で言い換えられている言葉に丸をつけます。繰り返されているということは、筆者がそれを重要だと思っているということです。

2つ目、「しかし」「とは」「こそ」の直後に線を引く。しかしの後には筆者の本音が来ます。とはの後には言葉の定義が来ます。こそが付く部分は一番伝えたいことです。この3語の後ろだけ拾えば、主張の骨格がつかめます。

3つ目、天気やモノから気持ちを読む。物語文で天気や景色が描かれたら、それは人物の心情です。特別なモノが出てきたら、思い出や誓いのあらわれです。風景描写を飛ばして読む子は、ここで点を落とします。

4つ目、セリフと本心のズレに注意する。口で言っていることが本心とは限りません。表情、動作、心の中の描写。そちらに本当の気持ちが出ます。むしろセリフと逆であることのほうが多い。

5つ目、具体例を飛ばして、まとめを読む。たとえば、で始まる部分は主張そのものではありません。読み飛ばして、その前後にある筆者のまとめを拾います。時間の節約にもなります。

解くときに使う5つ

次に、設問に答えるときに使うものです。

6つ目、選択肢を区切って、ウソと言いすぎを消す。長い選択肢は短く区切ります。本文に書かれていないことが混ざっていればウソ。絶対に、必ず、といった強すぎる言葉があれば言いすぎ。どちらもバツです。正解を探すより、確実に消せます。

7つ目、心情の変化は3つ揃えて書く。変化前の気持ち、きっかけ、変化後の気持ち。この3点セットで答えます。どれか欠けると減点されます。

8つ目、どういうことか、は分けて言い換える。傍線部を細かく区切り、難しい言葉やたとえを普通の言葉に直してから、つなぎ直します。丸ごと言い換えようとすると手が止まります。

9つ目、比べる記述は形を揃える。二つを対比する問題は、Aは〜だが、Bは〜、という形に揃えてから書きます。形が決まれば、あとは中身を入れるだけです。

10個目、記述で使ってはいけない3つを直す。これ、それ、といった指示語。〜と言った、というセリフの引用。〜のような、という比喩。この3つは答案に残さず、普通の言葉に直します。採点者に伝わらない答案は、内容が合っていても点になりません。

10個に絞ると、何が起きるか

覚える量が減るのは副次的な効果です。本質は、迷う時間が消えることです。

読んでいるときは5つの作業をするだけ。解くときは5つの型に当てはめるだけ。判断の分岐が減れば、そのぶん本文を読むことに頭を使えます。

これは算数でやっていることと同じです。僕は生徒に、解法を100個覚えろとは言いません。面積図、線分図、ダイヤグラム。使える型を絞って、それを確実に運用させます。手数の多さではなく、判断の速さが得点を決めるからです。

明日から親がすべき、非情な決断

参考書の技を全部やらせるのをやめてください。

網羅されている本ほど、全部やらなければという気持ちになります。ですが、100個を薄く撫でた子より、10個を確実に使える子のほうが点を取ります。参考書は網羅するためではなく、そこから絞るために使うものです。

絞る勇気が、得点に変わります。

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