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作文・小論文 指導|音読して詰まったら聞く〈算数屋の国語⑩〉

2026/8/22

作文や小論文の指導で、赤ペンを入れて返していませんか。僕はやりません。生徒が書いた文章を、本人の目の前で音読します。そして詰まったところで止まって、聞きます。これが僕の作文指導のすべてです。

僕は算数を専門とする講師です。作文と小論文も指導していますが、良い文章の書き方を教えることは、ほとんどしていません。

音読すると、どこがおかしいか一発で分かる

やり方は単純です。生徒が書いた作文を、僕がその場で声に出して読みます。

理解できる部分は、すらすら読めます。ところが途中で必ず、読むのが止まる箇所が出てきます。意味が取れない、話が飛んでいる、主語が消えている。そういう箇所に来ると、音読は物理的に詰まります。

そこで止めて、聞きます。これ、どういう意味。何が言いたいの。

赤ペンで直すより、はるかに正確です。読み手が詰まった場所こそ、伝わっていない場所だからです。しかも生徒は、自分の文章が他人に読まれる体験を、その場でしています。

納得するまで、説明させる

聞かれた生徒は、口で説明しようとします。ここはこういうことで、と。

その説明を聞いて、僕が納得できればよし。納得できなければ、もっと分からせて、と返します。もっと僕を納得させてよ、と。

そして最後にこう言います。いま口で説明したことを、そのまま書いて。

不思議なもので、口では説明できるのに書けていない子が大半です。頭の中には内容があるのに、紙の上で落としている。だから僕は、書き方を教えるのではなく、本人の中にあるものを引き出して書かせます。

説明はしません。ひたすら聞きます

良い例文を見せることも、ほとんどありません。模範解答のような文章を渡せば、生徒はそれを真似します。真似た文章は上手く見えますが、本人のものにはなりません。

だから僕がやるのは、質問だけです。これはどういう意味。ここと、ここはどうつながっているの。この主張とこの例の関係は。この段落は何のためにあるの。

説明をせず、聞き続ける。生徒からすれば厄介な講師だと思います。良い文章を書き写す練習にも効果はありますし、長い目で見れば確実に力になります。ただ、身につくまでに時間がかかる。受験までの限られた期間で仕上げるなら、本人の中にある言葉を引き出すほうが早いというのが、僕の判断です。

5回でも10回でも書き直させます

そして僕は、諦めません。分かるまで、必ず書き直させます。

一つの課題で5回書き直させたことも、10回書き直させたこともあります。生徒はつらいです。正直、僕も大変です。ですが、ここで妥協すると、次も同じ文章を書きます。

書き直しの過程で起きているのは、文章を直す作業ではありません。自分の考えを、他人に伝わる形に組み替える作業です。この訓練を繰り返した子は、確実に書けるようになります。例外を見たことがありません。

最後に、全体の論理を確認する

細かい部分が直ったら、最後に全文を通して読み、大きな構造を確認します。

ここでも質問です。全体の論理はどうなっているの。この段落とこの段落の関係は。ここで言ったことと、最後の結論は矛盾していないか。

部分が正しくても、全体で矛盾している文章は珍しくありません。細部を直すことに集中すると、大局を見失うからです。だから最後に、必ず引いて見ます。

これは国語の読解で、まず全体をつかんでから細部に入るのと同じ順序です。書くときも読むときも、大局と細部を行き来します。

技術的なコツは、1回か2回で終わります

もちろん技術もあります。アイデアは常に3つ出す。文章を長くしたいならアイデアの数を増やす。接続語で論理をつなぐ。メモやマインドマップで材料を整理してから書き始める。

ですが、こうした技術を教える時間は、全体のほんの一部です。授業でいえば1回か2回話せば終わってしまいます。

残りの時間はすべて、書かせて、音読して、聞いて、書き直させる。この繰り返しです。地味で、退屈で、そして確実に効きます。

明日から親がすべき、非情な決断

お子さんの作文に、赤ペンを入れるのをやめてください。かわりに、声に出して読んであげてください。

そして、読んでいて詰まったところで止まって、こう聞いてください。ここ、どういう意味。

直してあげるより、聞くほうが手間はかかります。時間もかかります。ですが、直された文章は本人のものになりませんが、説明させて書き直させた文章は本人のものになります。

作文が上手くなる子と、ならない子の差は、才能ではなく、書き直した回数です。

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