予習シリーズで偏差値60手前から伸びない子は「図を描かずに解けてしまう」
予習シリーズで勉強していて、偏差値は55〜60くらい。悪くはない。ただ、小5の後半あたりからぴたりと止まって、小6になっても動かない。塾を替えても、個別をつけても変わらない。そういうご家庭の答案には、意外な共通点があります。
図が、ほとんど描いてありません。
僕が小6で預かったY君(仮名)がそうでした。サッカーとの両立で勉強時間は少ない。それでも計算が速く、地頭がよく、偏差値60近くを自力で保っていた。ところが問題が難しくなるにつれて、点が伸びなくなった。答案を見ると、式だけが並んでいて、線分図も面積図も表もない。頭の中で全部やっていたのです。
伸びない原因は「能力不足」ではなく「能力が高すぎて図を飛ばしてきた」こと
予習シリーズは小4・小5前半までなら、図を描かなくても頭のいい子は解けます。数が小さく、条件も二つか三つ。暗算と勘で正解に届く。だから本人も親も「できている」と思う。
ところが小5後半から、条件が四つ五つと増え、比と割合が絡み、速さに図形が乗ってきます。ここで初めて、頭の中だけでは条件を持ちきれなくなる。図が描けない子は、この段階で急にミスが増えます。「難しい問題が解けない」ように見えますが、実態は「条件を紙の上に置く手段を持っていない」だけです。
もう一つ、同じ子に高確率で重なる穴があります。典型解法が身についていないこと。地頭で解けてきた子は、つるかめ算なら面積図、倍数算なら線分図、といった「型」を使わずに来ています。型なしで解けた時期が長いほど、型を覚える動機がなかった。だから応用に入ったとき、ゼロから考えることになり、時間が足りなくなる。
この子に「ちゃんと図を描きなさい」と言っても描きません。本人にとって図は「描かなくても解けるもの」だからです。
僕がY君にしたのは、二つだけ
一つ目。最初に「君は地頭がいい」と本人に伝えました。これは励ましではなく、診断の伝達です。伸びない原因が能力ではないと本人が理解しないと、この後の練習が「できない子の補習」に見えて続きません。
二つ目。簡単な問題から、図と表を描く練習をやり直しました。偏差値60近い子に、あえて小4レベルの問題で線分図を描かせる。本人は最初、退屈します。ただ、簡単な問題で図を描く手が動くようにならないと、難しい問題で図が出てきません。ここは順番を飛ばせない。
並行して、『中学への算数』レベルの熟考問題も入れました。地頭のいい子は、簡単な練習だけだと飽きて崩れます。熟考する問題と、瞬時に解く問題を分けて、両方を毎週回す。図を描く練習は「瞬時に解く側」に入れ、考える力は熟考問題で使う。
これでY君の偏差値は60後半まで動き、海城中に合格しました。地頭は最初から同じです。条件を紙に置く手段と、型を足しただけです。
家庭で見分ける方法
お子さんが図が描けない型かどうかは、予習シリーズの演習問題の跡を見ればわかります。
・式はあるのに、図や表がない。あっても問題文の数字を書き写しただけで、関係が描かれていない。
・小4〜小5前半の成績はよかったのに、小5後半から落ちてきた。
・簡単な問題は速いが、条件が多い問題で「何を聞かれているかわからない」と言う。
この三つが揃えば、ほぼ確定です。
逆に、図はきれいに描くのに計算で落とす子は別の型です。処方箋が違うので、混同しないでください。同じ「偏差値60手前で止まる」でも、原因が違えば打ち手は正反対になります。
親が明日からやること
予習シリーズの基本問題を解かせるとき、正解しても図がなければ丸をつけないでください。「解けたのに」と本人は不満を言います。それでも、図がない正解は次の単元で不正解に変わります。
地頭のいい子ほど、図を飛ばして高いところまで来てしまう。予習シリーズで伸びない原因は、能力ではなく、条件を紙に置く手段の有無にあります。
僕のマナリンクの「中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポート」では、初回に直近の演習問題と模試の答案を拝見し、お子さんの失点がどの型かを分類してお渡ししています。無料体験の段階でこの仕分けは終わります。
このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら
中学受験におすすめの指導コース
- 塾の授業が分かりきらなくなってきた
- 塾なしでマイペースに受験したい
- 筆者の意図を汲み取るって結局ナニ?
- 受験に向けて基礎から応用力までしっかり実力を身に付けたい人
- 弱点分野を見つけ出し、集中的に克服していきたい人
- ケアレスミスの克服と答案作成の力量を引き上げたい人
- 何を覚えればいいかわからない
- テストで良い得点をとるためのコツを知りたい
- できればテストのふり返りも習慣にしたい
- 記述の多い中堅・難関校志望の方、得意な国語を安定した得点源にしたい方
- 国語のテストで、なかなか記述が書けないとお困りの方
- 帰国生で国語を受験で使うので、特に記述を個別で見てもらいたい方
- 渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)の受験を検討している小学6年生
- 文学史の知識が断片的で、体系的に学び直したい受験生
- 文学史を「暗記科目」として苦手意識を持っている受験生