算数がわからない子ほど先に解かせる|理解は後払いでいい
算数がわからない、と言う子に、わかるまで考えなさい、と返していませんか。実はこの一言が、解ける子を作る順番を、きれいに逆さにしています。
理解は先払いではなく、後払いが効く
多くの子が、理解できないから解けない、と言います。もっともらしい理屈ですが、世の中のたいていの道具は、理解する前に使えています。スマートフォンの通信の仕組みを知らなくても、通話はできます。薬が効く理屈を知らなくても、用法を守れば効きます。
算数も同じ構造です。公式や解き方の注意点を守って手を動かせば、答えは出ます。そして答えがすらすら出るようになると、公式の意味や先生の説明が、あとから急に腑に落ちます。理解は先払いではなく、後払いのほうが効率がいいのです。
会社勤めの経験がある方は、思い当たるはずです。入社したてのころ、先輩の説明は半分もわからないまま、とにかく仕事をこなしていた。慣れて全体が見渡せるようになったとき、あの説明の意味がようやくわかった。人の頭は、体で何度もくり返したあとに、理解が追いつくようにできているようです。
だから僕は生徒に、まず解けるようになってから理解しよう、と言います。順番を入れ替えるだけで、手が止まっていた子が動き出すことは珍しくありません。
わからない、と言うタイミングを採点する
もう一つ、見るべきは、わからない、と言った時点です。これで今の実力がだいたいわかります。
問題をきちんと読まずに、わからない
読んだ瞬間に、わからない
読んで固まったまま、わからない
この三つは、残念ながら伸びにくいタイミングです。伸びる子の、わからない、は、問題を読み、図や表をあれこれ書き、自分にできることをやり尽くしたあとに出てきます。ここまでやってあれば、ここまでは合っている、次はこう進めてみよう、と具体的に助けられます。助けられる質問ができる子は、それだけで一歩先にいます。
家庭での進め方
手順は単純です。まず、お子さんが解ける型の問題を三問、続けて解かせます。次に、質問が出たら、図か表を一つ書いてから聞くという決まりにします。何も書けない日は、解答解説をちらっと見て、図を使うのか表を使うのかだけ確かめ、そのあと自分で解き直します。
ここで注意点が一つあります。全部を後回しにしていいわけではありません。覚えておくべき公式や、解き方の注意点は、守る必要があります。深い理解は、解けるようになったあとの楽しみとして、取っておく程度がちょうどいい、というのが僕の考えです。
親が明日からやるべき、非情な決断
お子さんが、わからない、と言ったとき、説明を始める前に、鉛筆を一本持たせてください。説明してあげたい気持ちは、親の優しさですが、説明を先に聞くほど、子どもは手を動かさなくなります。優しさを一日だけ封印するのが、案外、一番の近道です。
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