家庭教師を始めた頃の失敗から学んだ、受験数学の勉強法
◆新米先生の頃の話です
家庭教師を始めた頃、今でも印象に残っている生徒さんがいます。
その生徒さんは、数学の勉強をとても真面目にやっていました。
当時は「青チャートをしっかりやれば力がつく」という考え方で、数学Ⅰ・Aを終えたら数学Ⅱ・B、その後に数学Ⅲ・Cというように、順番に進めていきました。
一つの分野をきちんと終わらせてから次へ進む。
一見すると、とても合理的な勉強法に思えます。
ところが、受験が近づいてきた頃、思わぬ問題が出てきました。
最初の方に勉強した数学Ⅰ・Aの内容を、かなり忘れてしまっていたのです。
「一度勉強したのだから大丈夫」と思っていた内容も、実際に入試問題を解こうとすると、解法がすぐに出てこない。
数学は積み重ねの科目なので、もちろん基礎から順番に勉強することは大切です。
しかし、「一度終わった分野を、そのまま長期間放置してしまう」ことには注意が必要だと、そのとき強く感じました。
◆苦い経験から学びました
この経験は、私自身の指導方法を考える大きなきっかけになりました。
それ以降、受験数学では「一つの分野を完全に終わらせてから次へ進む」という考え方だけではなく、一度学んだ分野を定期的に復習し、全範囲の感覚を維持することを重視するようになりました。
例えば、数学Ⅰ・Aを勉強している時期でも、数学Ⅱ・BやⅢ・Cの既習範囲を少しずつ復習する。
新しい単元を勉強しながら、以前に習った内容にも定期的に触れる。
理想を言えば、受験学年の後半には、数学全範囲を1週間程度で一度は触れられるような状態を作っていく。
もちろん、これは全員に同じ形で当てはまるものではありません。
まだ基礎が十分でない段階で全範囲を無理に回してしまえば、かえって負担が大きくなることもあります。
大切なのは、新しいことを覚える勉強」と「忘れないための勉強」を並行して行うことです。
◆「数学の勘」って何?
数学では、一度解けた問題でも、1か月後にもう一度解いてみると意外と手が止まることがあります。
逆に、少し間隔を空けて何度も触れていると、問題を見た瞬間に、
「これはこのタイプだな」
「ここではこの考え方を使うな」
という感覚が少しずつ身についてきます。
私はこれを「数学の勘」と呼んでいます。
受験数学では、この「勘」が意外と重要です。
入試本番では、すべての問題について最初から最後までじっくり考える時間があるとは限りません。
問題を見たときに、どこから手をつけるか。
どの分野の知識が使えそうか。
以前似た問題を解いたことがないか。
こうした判断ができるようになるためには、単なる暗記だけではなく、さまざまな分野に繰り返し触れておくことが大切だと思っています。
◆教訓を糧にしてます
家庭教師を始めたばかりの頃の私は、「一つひとつの単元をきちんと終わらせること」に意識が向きすぎていたのかもしれません。
その経験があったからこそ、今では「今どこまで進んだか」だけではなく、
「以前勉強したことを、今でも使えるか?」
という視点を大切にしています。
受験勉強は、ただ前に進んでいけばいいわけではありません。
ときには少し戻りながら、忘れかけた知識を呼び戻し、それを新しい知識とつなげていく。
その繰り返しによって、少しずつ「入試で使える数学」になっていくのだと思います。
私自身、家庭教師としての経験の中で、うまくいかなかったことや反省したことがたくさんあります。
だからこそ、現在の授業では、生徒さんが「今どこを勉強しているか」だけでなく、「これまことをどれだけ維持できているか」も意識しながら、一緒に学習計画を考えるようにしています。
◆結論~忘れても思いだそう!
受験勉強では、完璧を目指して一度に全部覚える必要はありません。
忘れてしまっても、また思い出せばいい。
そして、何度も思い出すうちに、少しずつ「勘」として身についていきます。
この積み重ねが、受験本番で最後に大きな力になるのだと思っています。
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