「夏休みなのに勉強できない…」そんな日があっても大丈夫。
「今年の夏こそ本気で頑張る!」そう決意して夏休みに入ったものの、数日経つと、
朝からやる気が出ない
勉強机には座ったけれど何も手につかない
スマホを見ているうちに一日が終わってしまった
「また今日もできなかった…」と自分を責めてしまう
そんな経験はありませんか。実は、このような状態は決して珍しいことではありません。
むしろ、脳の働きを考えれば自然な現象なのです。
脳は「毎日100%」では動けない
私たちは「やる気があるから勉強する」と考えがちです。しかし脳科学では、やる気や集中力は一定ではなく、睡眠、疲労、ストレス、生活リズムなどによって毎日変化することが知られています。
つまり、「今日は集中できない日」があること自体は異常ではありません。
プロスポーツ選手も、音楽家も、研究者も、毎日最高のパフォーマンスを発揮しているわけではありません。大切なのは、
調子が悪い日をなくすことではなく、調子が戻ったときに再び前へ進める習慣を持つことです。
成績が伸びる人は、「休まない人」ではありません
受験指導をしていると、伸びる生徒にはある共通点があります。
それは、「一日休んでも、翌日に戻ってこられる」ということです。
一方で伸び悩む方は、「昨日できなかった。」、「もう遅れてしまった。」「来週から頑張ろう。」という考え方になりがちです。
しかし、勉強は短距離走ではなくマラソンです。たった一日休んだことよりも、そこから何日も止まってしまうことの方が、はるかに影響が大きいのです。
「さぼった翌日」が、本当の勝負
もし昨日まったく勉強できなかったとしても、今日やるべきことは一つだけです。
取り返そうとしないこと。
「昨日できなかった分も合わせて10時間勉強しよう」という考え方は、多くの場合長続きしません。
脳は急激な負荷を嫌うため、再び勉強そのものが嫌になってしまうことがあります。
代わりに、今日は、
数学を1問
教科書を2ページ
問題集を5分
これだけでも十分です。
脳科学が教えてくれる「作業興奮」
ドイツの心理学者エミール・クレペリンの研究をもとに知られる「作業興奮」という考え方があります。
これは、始めるまではやる気がなくても、始めてしまうと脳が活動を始め、集中しやすくなるという現象です。
つまり、やる気を待つ必要はありません。
小さく始めることで、やる気は後からついてくるのです。
だから私は、生徒にも「今日は5分だけやろう。」と伝えています。
5分で終わっても構いません。
でも、多くの場合は10分、20分、30分と自然に続いていきます。
「休息」は勉強をサボることではない
近年の脳科学では、睡眠や休息が記憶の整理・定着に重要な役割を果たすことがわかっています。
勉強した内容は、休息中や睡眠中に脳内で整理され、長期記憶へと定着していきます。
そのため、
十分な睡眠
軽い運動
散歩
家族との会話
趣味の時間
これらは決して「無駄な時間」ではありません。適切な休息は、翌日の集中力を高めるための準備時間なのです。
私がおすすめする「脳のペースに合わせたリスタート法」
STEP1 昨日は終わった、と受け入れる
「昨日は勉強できなかった。」
その事実だけを認めます。反省はしても、自分を責める必要はありません。
STEP2 ハードルを極限まで下げる
今日の目標は、「問題を1問解く」でも十分です。
小さな成功体験は、脳に「またできた」という感覚を積み重ねてくれます。
STEP3 できた自分を評価する
勉強時間ではなく、「戻ってこられたこと」を褒めてください。
自己効力感(「自分はできる」という感覚)は、学力向上に大きく関わることが、多くの教育心理学の研究で示されています。
私の授業で大切にしていること
私は、生徒さんに「毎日完璧に勉強しよう」とは伝えていません。
それよりも大切なのは、「勉強をやめない仕組み」を一緒につくることです。
脳の仕組みに合った学習計画を立て、調子が良い日はしっかり伸ばす。
疲れた日は思い切って休む。そして翌日は、小さくても必ず再開する。
この「緩急」を身につけた生徒さんほど、夏休みの終わりには大きく成長しています。
最後に
夏休みは、誰もが順調に過ごせるわけではありません。
やる気が出ない日もあります。勉強できない日もあります。でも、それは失敗ではありません。
本当に大切なのは、「また始めよう」と思えた、その一歩です。
勉強は、完璧を続ける競争ではありません。
止まっても、休んでも、また歩き出せる人が最後まで伸びていきます。
この夏は、「頑張ること」だけでなく、上手に休み、上手に戻る力も一緒に育てていきましょう。
その「緩急」こそが、受験だけでなく、これから先も役立つ一生ものの学ぶ力になると私は信じています。
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