英語

#151 伊東先生の英文法教室➁(前半)

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2025/3/28

今回は学習院大学の文法問題を見ていこう。

熟語の知識もけっこう問われているので、知らなかった熟語は貪欲に覚えていこうね。


まず⑴だけど、これは不定代名詞についての問題だ。

選択肢のalmost, any, most, muchは、中学生でも知っているような単語だけど、これらの品詞や語法について正確に知っているかどうかがカギになる。

almostは副詞という点で、他の3つとは使い方が違う。any, most, muchは名詞的にも形容詞的にも使われる

空欄直後に「of+名詞」があることから、空欄には名詞的な使い方のできる語が来ないといけないと考えるのが最初の一歩。つまり「名詞+of+名詞」というつながりにならないといけないということ。中1でもA of B「BのA」という表現では、AもBも両方とも名詞が来るということは習うはずだ(例:the roof of this house「この家の屋根」)。これで副詞的にしか使えないalmostは消えることになるね。

では残った3つの選択肢を見ていくよ。muchについて考えると、much ofと来たら、後ろは不可算名詞が来ないといけない

Much of his money was stolen by a thief yesterday.「昨日彼のお金の多くが泥棒に盗まれた」

ここのA of Bでは、「A=部分集合」「B=全体集合」と考えるといい。

そして、ofの後ろが不可算名詞moneyなので、ofの前にはmanyではなくてmuchが使われている。もちろんこのmuchも不可算名詞扱いだよ。だからこそ、be動詞は複数形のwereではなくて、単数形のwasが使われているんだね。

それで問題文のbe動詞をチェックすると、複数形のwereが使われている。なのでmuchは答えになれないんだ。いや、というかその前に、そもそもof the seatsというようにofの後ろに「可算名詞の複数形」が使われているからね。この時点でmuchはアウトなんだな。

残った2つのうち、anyはどうだろう。any ofの後ろには可算名詞の複数形も不可算名詞も来れる。ただし、any of ~という表現は「肯定文」ではなく「疑問文」「否定文」でしか使えないという条件があるんだ。

Do you have any of these books?「これらの本の中のどれかを持っていますか?」

I don’t know any of them.「彼らの中の誰とも知り合いではない」

×Any of the boys can do the work.

Each of the boys can do the work.「その男の子たちはどの子もその仕事ができる」

Any boy can do the work.「どの男の子もその仕事ができる」

問題文は肯定文なので、any of ~という形を使うことができない。これはかなり細かい知識だ。

というわけで、もちろんmostが正解なんだけど、most ofの後ろには可算名詞の複数形も、不可算名詞もどちらも来れます。そもそもmostという単語は最上級で、元の原級がmanyでありmuchでもあるからだね。

Most of the boys play soccer.「その男の子たちの大部分はサッカーをします」

Most of his money was stolen by a thief yesterday.「昨日彼のお金の大部分が泥棒に盗まれた」


⑵は純粋に熟語の問題。知っているか知らないかで差がつく問題。こういう知識問題は、一瞬で正解を選べるように日頃からトレーニングしておくことが、難関大突破の前提になるよ。

He saved money in the short run, but in the long run his spending was about the same as usual.「彼は短期的にはお金を節約したが、長い目で見ると結局は)いつもと大体同じくらいのお金を使った」

in the long runという熟語は、ある特定の時点から比較的遠い未来の時点までを指す熟語だと言える。「長い目で見ると、結局は」が定訳だね。

ちなみに、この例文にもあるように、longを反意語のshortにすると意味が反対になる。ただ日本語ではふつう「短い目で見ると」とは言わないと思うので、「短期的に言えば」のように訳すことになるね。

たぶんこの熟語のrunは、「できごとの連続」の意味なんだと思う。映画が長期上演されることを「ロングラン(long run)」と言うけど、そのイメージに近い気がする。in the long runで「いろいろなできごとが長いこと起こる中で」ということから、「長い目で見ると」という意味を表すようになったんじゃないかな。

まあ受験生は、そんな詮索をするよりも、とにかく「in the long run=長い目で見ると」と覚えることが大切だ。in the short runは入試ではまず出ないので、覚えなくてもいいだろう。


⑶も熟語問題だ。知っていれば一瞬で解けるし、知らないと正解するのはキビシイね。

空所の直後のin mindを見た瞬間に、「あっ、ひょっとして熟語のbear [keep] in mind that ~じゃないか」と受験本番で思えるようになっていれば理想的だ。

Bear [Keep] in mind that you owe her an apology.「彼女に謝罪しなければいけないことを忘れるな」

熟語ではあるけど、丸暗記しないといけないようなものじゃない。このbearはhaveと同じ意味。keepもまあhaveに近いと考えていいね。そうすると、「that以下の内容を心の中に持つ」と直訳できるはずだ。そこから「忘れない(not forget)」という意味を表すようになったんだ。

ちなみに、bearの目的語のthat節はただの名詞になることもあるよ。その場合、目的語はbearの直後に置かれる。

I’ll bear [keep] your advice in mind.「あなたからもらったアドバイスを忘れないようにします」

というよりも、むしろbear [keep]+O+in mindが基本形で、Oがthat節になるとそれがin mindの後ろに移動すると考えた方がいい。どうして移動するかというと、

×Bear [Keep] that you owe her an apology in mind.

このように表現してしまうと、Oがあまりにも長すぎるためにbearとin mindが離れすぎてしまい、不自然な感じになってしまうからだ。

さて、もしこの熟語を知らなかったらこの問題にどう取り組んだらよいか?その場合は、選択肢の動詞を自動詞/他動詞にグループ分けして考えるしかない。

自動詞・・・follow, stand

他動詞・・・bear, stand, support

他動詞standは「耐える」という意味なので、that節を目的語に取るのは無理なのではないか、と推理できれば、なんとかbearとsupportの2択にまで絞り込むことができる。

さらに、supportが目的語にthat節を取れないことをたまたま知っていれば、消去法でbearにたどり着けるんだけど、でもsupportの目的語にthat節が来れるか来れないかなんてことは、辞書も調べられない本番の受験生にはまず判断が付かないだろうと思う。そうすると、2択に絞った後であとはどっちかを適当に選ぶ、というのが最善の策なんじゃないかな。


⑷もまた熟語問題。知っていれば即答できるし、できたらみんなにはそうなってほしい。

He taught me the trick on (the) condition that I never tell anybody else how to do it.「他の人には絶対に言わないという条件で、彼はその秘訣を私に教えてくれた」

on (the) condition that=ifと覚えておこう。conditionには「条件」という意味があるから、後ろに同格のthat節が来て、「~という条件で」と考えればいいね。

ところで、この例文のthat節の中にある動詞tellは何形だろうか?見たところ「現在形」に見えるし、たぶんほとんどの受験生はそう考えると思う。

でも実は、このtellは「原形」なんだ。文法用語で言うと「仮定法現在」というやつだ。

さっき、on (the) condition thatはifと同じと言ったよね。中学生の時から、「条件のifの後ろの動詞は未来のことを言う時でも現在形になる!」というルールを習ってきていると思うけど、堅い言い方だとifの後ろの動詞が原形(=仮定法現在)になることがあるんだ。

The management will agree to the pay raise if the strike be called off immediately.「ストライキをただちに中止するならば、経営側は賃上げに同意するだろう」

もちろんふつうは下線のところはisでいいんだけど、堅い言い方では原形(=仮定法現在)を使うこともあり得るんだ。

これはifと同じ意味の熟語on (the) condition thatでも同じ。

He taught me the trick on (the) condition that I never told anybody else how to do it.☜一般的な言い方。下線部が過去形toldになっているのは主節の動詞が過去形だから(時制の一致)。

He taught me the trick on (the) condition that I never tell anybody else how to do it.☜堅い言い方。下線部のtellは現在形ではない(もし現在形のつもりなら時制の一致というルールに違反していることになる)。現在形でないのならあとは原形(=仮定法現在)の可能性しかない。

さあ、これで問題文のon condition thatの後ろの動詞が、原形のbeになっていることが納得してもらえたと思う。ここももちろんwere(時制の一致)でもいいんだけど、堅苦しい原形(=仮定法現在)を使っているというわけだったんだ。


最後の⑸も熟語問題だな。

まず後ろにtoが来る動詞としてはapply, lead, pointの3つ。あとは文意が通じるかどうかで一つに決めることになる。

The discount doesn’t apply to him because he’s over 18.「彼は18歳を超えているので割引を受けることができない」

apply to ~は「~に適用される」という意味の熟語。ちなみに、apply for ~という熟語もあるよ。

Lots of people applied for the job.「その仕事に多くの人が応募した」

leadやpointの後ろにtoが来るとどんな意味の熟語になるのか、知らない人はちゃんと復習の時に辞書を引いて確認しておくこと

いつも言っていることだけど、そういった地道な努力ができる人が英語力をメキメキと付けていける人なんだ。熟語集を眺めることだけが熟語の勉強じゃないぞ。

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