倒置&情報構造
2021/9/2
英文にはある程度決まった情報の流れがあります。ふつう、この流れは「旧情報から新情報へ」と言われています。確かにそうなのですが、もうちょっと違う側面もあります。それは、「短い情報から長い情報へ」ならびに「重要性の低い情報から重要性の高い情報へ」といった流れです。英文では、このような情報の流れに沿った英文を書くために、しばしば語順をひっくり返すことがあり、これが「倒置」と呼ばれる文法事項となっています。以下、例文で確認してみましょう。
1) A house stands on the hill.
2) On the hill stands a house.
さて、上の2つの例文では、どちらのほうが自然でしょうか。1) の英文では、A house と a のつく名詞が先にあり、その後で the hill と the のつく名詞が後にあります。しかし、この英文の流れは情報構造の規則に反します。なぜなら、a は新出単語を表すのに対して、the は既出単語を表すので、この英文は「新情報から旧情報へ」と流れているからです。そこで、このような場合には、2) のように先に the hill を置いて、その後に a house を置く方が自然なのです。これを文型の観点からすれば、1) は「SVM」という形になっており、2) は「MVS」という形になっています。2) の英文は倒置となりますが、なぜ倒置されるのかといえば、情報構造がその理由になるのです。
他にも例文を確認しましょう。
3) People who have more than one pet are happy.
4) Happy are people who have more than one pet.
3) の英文では、主語の部分が People who have more than one pet でとても長いものになっており、述語の部分が are happy と短くなっています。そうなんです、これでは「短い情報から長い情報へ」といった流れに反するのです。だから、3) の英文は少し不自然であって、4) のように順序を変えるのが望ましいのです。文型の観点からは、3) の文は、「SVC」となっていますが、4) の英文は「CVS」となっています。これも倒置ですね。倒置とは、情報構造にのっとった英文をつくることから生じるのです。
そういえば、YouTube上に無人塾っていう仮想空間的塾を立ち上げてみました(^^♪ え、なぜそんな名前にしたかって? だって、誰も見に来ないから……ゴニョニョ( ;∀;)
この先生の他のブログ
目的語に動名詞をとる他動詞の1つを紹介します。 entail「~を必然的に伴う」involve「~を必ず含む」necessitate「~を必要とする」mean「(結果として)~となる」 以上の他動詞は目的語に不定詞ではなくて動名詞をとります。基本の形を言えば、〔無生物主語+他動詞+Ving〕となりま...
主に高校生以上の方に向けての文章です。cannot help Vingという形がありますね。有名な熟語ですね。実は、これには2つの意味があるってご存じでしたか。そして似たような意味を持つ他の表現があるというのは、知っていますか。そのことについて、少しばかり私の独自の視点を交えて説明していきます。受験...
Pandemicは「世界的流行病(の)」であり、epidemicは「流行病(の)」ですが、ではendemicとは何でしょうか。ふつうは「風土病(の)」と訳されます。 Malaria is endemic in many hot countries.マラリアは多くの熱帯地方の国々の風土病である。 しか...
強調構文には以下のものもあります。以下の形では、Cを強調しています。 What節+be動詞+C「~なのはCだ」What counts is time.「重要なのは時間だ」 そして、文によってはwhat節型の強調構文をIt is~that型の強調構文に書き換えることも可能です。 What節+be動詞+...