宿題を後回しにするのは「脳のせい」? 先延ばし方程式
子どもはどうして宿題を早くやらないのか?

その原因について調べていた時に
「先延ばしのメカニズム」に出会いました。
実は、子どもが勉強を先延ばしにするのは、
単に「やる気」や「根性」がないからではありません。
私たちの脳がもともと
「先延ばしするようにできている」からだとか!
狩猟採集時代、人間にとって
「目の前の食べ物を今すぐ食べる」ことが
生き残るために有利でした。
そのため、私たちの脳には
「衝動性(今この瞬間だけを考える性質)」が
強く刻まれています。
受験勉強のような「将来のため」の行動は、
脳の進化の歴史からすると、
とても苦手な分野なのだそうです。
組織行動学とモチベーション研究の第一人者である
カナダ・カルガリー大学のピアーズ・スティール教授は、
先延ばしの仕組みを次のような方程式で表しました。
期待 × 価値 ÷ 衝動性 × 遅れ = モチベーション
勉強が進まない子どもに当てはめると
こんな感じでしょうか。
期待: 「自分にもできそうだ」という自信
価値: 「これをやると良いことがある」というご褒美の価値
衝動性: 目の前の誘惑(スマホやゲーム)への弱さ
遅れ: 報酬が手に入るまでの時間
「結果が出るのがずっと先(遅れが大)」で
「スマホが近くにある(衝動性が大)」状況では、
モチベーションが下がりやすいということ。
ここで思い出したのが
「先延ばしの報酬」の話です。
「報酬の先延ばし(遅延満足)」は、
将来の大きな成果のために
目先の欲求を我慢する心理的能力のこと。
心理学では、これを「満足遅延」と呼びます。
一方、目先の誘惑に負けて
行動を後回しにする傾向を
「現在バイアス」や「遅延割引」といいます。
現在バイアスや遅延割引は
もう少し複雑な仕組みだったのですね。
将来の大きな成果=受験の成功のために
役に立つのは当然「報酬の先延ばし」の能力。
1970年代にスタンフォード大学の
心理学者ウォルター・ミシェルが行った
有名なマシュマロ実験でも、
誘惑を我慢できた子どもたちは
学業成績や経済的成功など
ポジティブな傾向を示したとか。
遅延への耐性を身につければいいと思うのですが
個性もあるし子どもだから情緒も不安定だし
そううまくはいかないですよね。
どんな対策ができるのか。
価値にフューチャーすると、
目的意識を持つことが挙げられます。
課題が目標を達成するのに
役立つものと結びつけること。
価値が大きく感じられれば
先延ばしのリスクが下がるという仕組み。
もう一つ。
生産的な先延ばしを許容すること。
どうしても重い腰が上がらない時は、
まずは「漢字10分だけ」など、
少し楽な課題から手をつけます。
一旦始めると、脳が
作業モードに切り替わりやすくなります。
先延ばしには「意志の弱さ」だけでなく
「脳の仕組み」も関わっています。
子どもの意志が弱いと感じるから「ただ叱る」では
負の無限ループを脱出することはできません。
勉強の「価値」を上げたり、
周りの「誘惑(衝動性)」を減らしたりする工夫を
一緒に考えてみては。
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