英語の長文読解がニガテな人へ(ダマサれたと思って…)
2021/11/9
こんにちは。英語を担当しております石井と申します。
英語を教え始めて、30年が過ぎました。
高校生の方で、英語を苦手とする原因の多くが国語力(日本語の読解力)の不足だと私は思います。日本語で読んで理解できないことが英語で理解できるわけがない。そう思うのです。
Kさんもそんな一人でした。
Kさんと初めて会ったのは、高2の12月末。センター試験受験まであと約1年という時期。彼女は模試の帳票を携えて来てくれました。国公立大文系志望。数学は全国平均レベル。英語と国語はいずれも学年最下位レベル。偏差値はいずれも40程度。
自分でセンター試験の英語の過去問を解いてみたら、200点満点中、30点程度だったといいます。
初回の授業。予め渡してあった英文を日本語に訳してもらったのですが、国語力に問題があることがわかりました。
彼女が目指す大学の2次試験は国語と英語の2科目が課されることを踏まえると、或いは私大入試(英・国・社)を視野に入れると、日本語の読解力すなわち国語力をつけることが必要なのは明白です。
大学入試問題はレベルが上がるにつれ、抽象度が増していく。そんな仕掛けになっています。そうでないと、差がつかないからです。言い方を変えれば、抽象的内容が理解できなければ、彼女の目指すレベルの大学には合格できない。彼女にそう伝えました。
でも、本人は問題集や参考書は絶対にやりたくないといいます。
そこで、私は以前作成した「高校生のための読書リスト」を彼女に渡しました。リストの中には高校生向けに私が選んだ12冊の本のタイトルと著者名が書いてあります。特に現代文を勉強しなくていいから、この12冊を読んでみるといい。そう話しました。
その後、60分✕週2回のペースで英語の長文読解の授業を進めていきました。その間、彼女には「読書リスト」に載っている本を月に2冊程度読んでもらいました。
3ヶ月後、彼女の英文和訳に大きな変化が現れました。誤訳がほとんどなくなり、訳すスピードが格段に上がっていました。7月にセンター試験の過去問を解いてもらったところ、178点になっていました。
秋には現代文の模試の偏差値は80程度まで上がっていました。「県内順位がひとけたになりました。現代文だけの偏差値ですけど」彼女はうれしそうに私に報告してくれました。結果、受験本番でも英語・国語を武器として無事志望校に合格できました。
もちろん、どうしても本を読むのは嫌いだという人もいますし、他にも国語力・英語力を上げる方法はたくさんあると思います。
もし抽象的な内容の本を読むのが苦手だけど、国語力=読解力をつけたいという方がいらっしゃれば、ぜひ試してください。
以下、読書リストを記しておきますので、ご参考まで。
読書リスト
(著者の左脇に記したアルファベットは難易度を示しています。)
C 読み易い B 高1~2の教科書レベル A やや難解 S 難解
S 鷲田清一(わした きよかず)
・じぶん・この不思議な存在
・「聴く」ことの力―臨床哲学試論
・大事なものは見えにくい
B 内田 樹(うちだ たつる)
・街場のメディア論
・街場の教育論
・日本辺境論
B 外山 滋比古(とやま しげひこ)
・思考の整理学
・知的創造のヒント
A 茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)
・生きて死ぬ私 (ちくま文庫)
・脳と仮想 (新潮文庫)
C 藤原正彦(ふじわら まさひこ)
・『国家の品格』
・『日本人の誇り』
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