走らない走らない
平安時代の十二単(じゅうにひとえ)といえば、華麗で優美でいかにも「the平安貴族」なイメージですね。京都では時代祭や葵祭で、実際の衣装として見ることが出来ます。2019年、皇后となられた雅子様が、大変美しい十二単をお召しになっていたのも、記憶に新しいですね。(是非画像検索してみよう)
さて、十二単は、なんとなく「十二枚着てるんでしょ」と思っている人が多いですが、実は、それは最初期だけのことで、八枚、五枚と減っていきます。「ほな、八単、五単やん」と思いますが、「十二」とは、一説によると「十二分に」から来た言葉でもあるそうです。おもしろいですね。「たくさん着ている」という意味なんですね。「十二単、実は○○枚」というのは受験にも出ません。覚えなくていいよ。
でも、古典常識として知っておきたいことが二つあります。
1.配色へのこだわり
袖口からちらっと見える、身体の中心線に流れるように見える、その色とりどりの美しさは、平安時代から女性たちのこだわりでした。同系色でまとめる人や、どきっとする(アディ○スのスニーカーのような)「え?この色の横にこの色持ってくる!?」というチャレンジャーな人まで、おしゃれ感覚は人それぞれだったようです。このあたり、現代と同じですね。だんだん色が濃くなっていく梅の季節には、ごくごく薄いピンクから、次第に濃い梅色まで数段階の重ね着をし、さらに外側に春の芽吹きを思わせる黄緑を持ってくる、・・・なんて例もあります。うーん、いいですね。大河ドラマなどでの宮中の女性たちにも、是非注目してみましょう。
高校生の皆さんは、教科書や模試の古文で「○○の上に○○色の御衣を召して、」などという文章に出会ったことがあると思います。今度から、頭の中で「視覚化」してみて下さい。文字情報をしっかり視覚化できるかどうかは、読解の助けにもなります。
では視覚化の練習。ある日の阪急電車(関西の私鉄)で、向かいに座っているおばちゃん(親戚や知り合いではない例。関西では30代~60代の女性全般を、愛をこめて「おばちゃん」といいます)が、ヒョウ柄のジャケットを着ていました。関西でヒョウ柄は普通の景色ですが、このおばちゃん、途中で暑くなったのか、ジャケットの前を開けたんですね。インナーに着ていたシャツがゼブラ(シマウマ)柄なんです。思わず心の中で言いました、「いや、ひとり弱肉強食やないかーい」。
2.動作がゆっくりなのが優雅である、という美的感覚
八枚、五枚と言えど、十二単は重いです。平均して20㎏と言われます。どうしてこんな重いものを着せたのでしょう。それは、ずばり「重いから」でもあったようです。重いものを背負わされたら、どんなにおてんばで落ち着きのない女の子でも、走り回ったり出来ないですよね。「う、、重い。」と、動作も自然とゆっくりになります。それが、平安時代では、「美しい振る舞い」と評価されました。音源が残っていないので残念ですが、話すスピードも、歩くスピードも、遅いことが優雅でした。(和歌に関しては例外です。もらった和歌にだらだらと返事を遅らすのはNG。)
好きなお香の香りをしっかり吸わせた着物をまとい、ゆっくりゆっくり歩く女性たちを想像してみて下さい。
平安貴族たるもの、走るなんて論外です。
かたや、現代の私たち。横断歩道が点滅しそうになったら、つい走ってしまいます。
寝坊したからと言って、ばたばた階段を降りてしまいますね。
でも、物事は焦りがない方がきっと失敗がないし、忘れものもなくなりそう。
少しだけ余裕をもって行動してみましょう。
受験本番の朝にばたばたするなんて、考えるだけでも恐ろしい。
大事な日に向けて、今日からは(なるべく)走らない、走らない。
これを読んでくれた受験生に、少しでも役に立てたら嬉しいです。
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