オンライン家庭教師マナリンク
高校数学

「読む技法」を読む

2025/12/26

伊藤氏貴著「読む技法」を読む

この本で説かれている「読む技法」は、大学入試の数学(特に難関校や記述式の問題)を解く上で非常に強力な武器になる。数学の問題を解くプロセスは「読解・立式・計算」に分かれることが多いですが、多くの受験生が苦労する「読解(問題文の意味を正しく捉える)」と「論理の組み立て」において、この本のの考え方が直結吸う部分がある。具体的な活用ポイントを整理してみると、

1. 「問題文の条件」を集合と命題として整理する数学の問題文は、一見すると日本語ですが、実際には「定義」と「制約条件」の塊である。伊藤氏が提唱する「一字一句を疎かにしない読解」は、数学における条件の漏れを防ぐ。「かつ」と「または」の峻別: 本書が教える接続詞への感度は、数学の集合論的な厳密さに直結する。「任意」と「ある」の読み分け: 「すべてのxについて(任意)」なのか「あるxが存在する(存在)」なのかという、日本語の微妙な語尾の差に気づく力が養われるだろう。

2. 「構造」を把握し、解法のアルゴリズムを選択する本書では文章の「骨組み」を見抜くことを重視する。これは数学でいう「典型解法へのパターンマッチング」の前段階に似ている。情報の階層化: 問題文の中で「何が既知(前提)で、何が未知(求めるもの)か」を整理する力は、本書が説く「文の主従関係の把握」そのものである。抽象化: 具体的な数値を記号として捉え直し、問題の核心にある構造を抜き出す作業は、文章からテーマや論理構成を抽出する訓練と共通している。

3. 「論理的に正しい答案」を記述する力大学入試の数学、特に二次試験(記述式)では、「答えが合っているか」だけでなく「論理に飛躍がないか」が採点対象になる。逆(converse)の確認: 文章読解で「AならばB」が「BならばA」を意味しないことを意識するように、答案作成においても「同値性」を意識した記述ができるようになる。因果関係の明示: 「よって」「ゆえに」「したがって」という接続詞を、本書のルールに従って正しく使い分けることで、採点官に伝わる(=減点されない)論理的な答案が書けるようになる。数学に活かすためのアドバイス数学が苦手な原因が「計算ミス」ではなく「問題文の意味がわからない」「何をすればいいか方針が立たない」という点にある場合、この本はまさに特効薬になりそうである。まずは、過去問などの「問題文」だけを読み、「この問題の前提条件(公理)は何で、最終的なゴールは何と言い換えられるか」を、本書の技法を使って日本語で要約してみるのも一考だと思う。

もちろん、この本で扱われる最初の文章がちょっと古いが共通一次試験で出題された村上陽一郎著「自己の解体と変革」で、最後に扱われるのは東大の2008年に出題された宇野邦一著「反歴史論」であることもあり、大学入試の国語にも関連しているので、余裕ある受験生(新高3年生など)に読んでみてもらいたい本である。

理想論ではあるが、私の講座ではこのようなことができるような授業を(なかなか簡単ではないが)進められればと思っている。

せっかく、勉強するのだから受験にしか通用しない付け焼き刃的なものに手を出して、受験以降に役に立たないものに、時間とお金をかけるよりも、その知識は受験でしか使えなくても、上に書いたことを身についていたら、大学に入ってからも、もちろんそれ以降も使える武器になると思う。マナリンクや予備校の講師も、いろいり紆余曲折があっても、このような武器を身に着けている人が多いと思う。気になったら、お試しでも授業を受けてみてほしい。

高校数学のオンライン家庭教師一覧

高校数学のブログ

【5月】自分を変える第一歩!自分を変えたいと思った高校時代の私の話

5月に入り、新学年に慣れ始めた時期になりました。GW明けとなり、いつの間にか近づいている中間試験に慌て出す頃かと思います。私は何事も一番始めが肝心だと思っています。テストにおいても、始めのテストで良い点を取れば自然と生徒は「この科目は自信ある!この科目は得意かも!」と感じて勉強するようになっていきます。しかし、最初に躓いてしまうと「どうせ苦手だしな」とだんだんとやる気がなくなっていってしまいます。そのため、私は最初にしっかりと危機感を持って勉強させ、「ほら、そんなに難しくないでしょ?」と自信をつけさせる指導をしてきました。「自分にもできるかもしれない」と自信をつけることが何よりも勉強をする上で...続きを見る
さやかの写真
さやかオンライン家庭教師
2026/5/8

数学の初見の問題を解くには

「チャートの例題を練習しても、模試で解けない」と感じている高校生、多いのではないでしょうか。それはなぜか。実は「数学の初見の問題を解く」という行為は、英語で言うと「英作文をスラスラ書く」ことに近いからなのです。「数学のチャートの例題を練習して覚える」というのは、英語で言うと、英単語や構文を覚えている段階です。英単語や構文を覚えれば、ある程度は長文を読むことができます。でもこの段階だと、数学では「問題文を読んで、意味がわかる」というところまでなのです。これでは解けません。英語で英作文を書けるようになるには、目の前に見えていない単語、見えていない文章を、思い出して作り出さないといけません。これがな...続きを見る
石川の写真
石川オンライン家庭教師
2026/4/26

4月の目標設定は特に大切です  ※コース紹介もあります

初めまして!!4月から高校数学のオンライン講師を始めました、さやかと申します。8年間高校で担任をし、数学が苦手な生徒から、Marchや国公立を目指す生徒など、様々な生徒たちを指導してきました。これからのブログでは、生徒のモチベーションの上げ方や、こういう指導をして伸びていったなど、今までの経験を書いていこうと思っております。4月といえば、学年が変わり、教科担当も変わる時期ですね。私は初めて担当するクラスには、必ず指導方針を伝えるようにしています。①数学は一度分からなくなったら、次以降も分からなくなる。だから、必ずその日中に理解するようにすること。周りに聞くでも良い、先生に聞くでも良い。必ず「そ...続きを見る
さやかの写真
さやかオンライン家庭教師
2026/4/21

連立方程式同値変形と図形との関係

連立方程式の同値変形(加減法・代入法)をしっかり意識しましょう。円と直線が、異なる2点で交わるとき、その2交点と、第3の点を通る円の方程式を求める問題は、連立方程式の加減法の同値変形を、図形との関係に対応させればほとんど自明であることが分かります。続きを見る
伊藤の写真
伊藤オンライン家庭教師
2026/4/14

真面目な子が損をする数学のテストの落とし穴【定期テストや模試で点数が伸びない方へ】

「テスト前に勉強を頑張ったはずなのに思うように点数が取れなかった」そんな経験はありませんか?例えば、数学ⅠAの2次関数。グラフのかき方、平方完成の方法、平行移動の考え方、2次方程式、判別式、2次不等式などが試験範囲だったとして、問題集のすべてのページを勉強したのに、どれも△や×ばかり…よくある2つの落とし穴があります。① 全部をまんべんなく勉強すること特に数学が苦手な人や、部活動などで試験前に集中して学習する人にありがちな落とし穴です。範囲すべてを「ある程度」勉強して、どれも正解には一歩届かない状態になっていることがあります。定期テストから大学受験まで、どんなテストにも「点数をとりやすい基礎問...続きを見る
りょうの写真
りょうオンライン家庭教師
2026/4/10

数学は計算に始まり計算に終わる

桜が満開の中、本日が入学式という生徒さまも多いと思います。先日の嵐にも耐えて咲き誇る桜には美しさとたくましさを感じます。ご進学された生徒さま誠におめでとうございます。ご進級された生徒さまも新しい環境と学習にワクワクされていると思います。高校数学の最初は計算になります。因数分解が高度化したり、扱う数の範囲が広がったりします(中学数学でも同様です)。この計算の単元を「積み残しなく完璧にこなして欲しい」と強く願っております。後に方程式の中で煩雑な計算をしながら抽象的な理解を進めねばならない場面が多数でてきます。そのときに計算力が不足していると新しい学習を楽しめないばかりか、先読みもしづらくなります。...続きを見る
尾崎の写真
尾崎オンライン家庭教師
2026/4/6

この先生の他のブログ

伊藤の写真

2026春アニメから勉強を考えた

2026/4/26
2026春アニメから「灰原君の強くてニューゲーム」と「キルアオ」をお勧め「灰原君の強くてニューゲーム」は、主人公の灰原 夏希(はいばら なつき)は、大学4年生。彼は、キラキラしたリア充たちを冷めた目で見つめる「ぼっち」として、孤独で冴えない4年間を過ごしていました。高校時代、ある大きな失敗をきっかけ...
続きを読む
伊藤の写真

脳科学者の中野信子氏の「努力不用論」を我々が活かすには

2026/4/18
学生時代の中野氏は「写真を撮ってインストールできるみたいな」と教科書を1度読むだけで記憶できていたという脳科学者の中野信子氏は「努力不要論」という本を書かれていますが、われわれ一般人はどうしたらいいのかをAIに聞いてみました。中野氏の「努力せずに成績が上がる」という体験談を、そのまま一般的に「誰でも...
続きを読む
伊藤の写真

連立方程式同値変形と図形との関係

2026/4/14
連立方程式の同値変形(加減法・代入法)をしっかり意識しましょう。円と直線が、異なる2点で交わるとき、その2交点と、第3の点を通る円の方程式を求める問題は、連立方程式の加減法の同値変形を、図形との関係に対応させればほとんど自明であることが分かります。
続きを読む
伊藤の写真

ベクトル方程式の問題

2026/4/3
ベクトル方程式の問題では、ベクトルの演算のルールの中で普通の方程式と同じように処理できるかが大切です。方程式をできるだけ簡単に変形して、その方程式を図形として何を表しているかを解釈します。逆に言えば、簡単に解釈できるように式変形するとも言えます。
続きを読む