なぜあなたは応用力が育たないのか|“解法”の習得ばかりに勤しんでいる人へ



みなさんこんにちは!講師の富岡です。
化学をはじめ理系科目の指導をしていると、伸びるタイプと伸び悩むタイプに一定度の規則が見られることに気づきます。
もちろん個々人の状況によって様々なところもあるので、個別具体的なところまで過度に一般化するつもりはありません。
しかし、今回話題にしたい「“解法”の習得ばかりに勤しむ人」は、往々にして伸び悩むタイプだと言っても良いでしょう。
ではなぜそのように言えるのか、理由を説明する前に、「“解法”の習得ばかりに勤しむ人」の定義をはっきりさせておきましょう。
定義:ある問題に対して、解き方は知っている。真面目にコツコツ取り組むこともできる。だが、原理的な理解はできていない人。
このような人を「“解法”の習得ばかりに勤しむ人」とここでは定義しておきます。
ざっくりとした例で言うのなら、ド真面目でかえって融通が効かない人なんかはこの例に近いでしょう。
このような人は、勉強した内容がそっくり出される定期テストには強いのですが、模試や入試といった初見の問題に対応できないといった特徴があります。
化学でも、「この問題はこういう解き方!」という感じで全てパターン化しようとする傾向にあるのがこのタイプです。
例えば、以下のような図が与えられた問題を考えてみたいと思います。
これは気体が連結容器に封入された問題で、理論化学でよくみられる図です。
「“解法”の習得ばかりに勤しむ人」は、この図を見ただけで「ボイルの法則を使うやつだ」と答えます。
はい、この段階で違和感です。
なぜこの図だけで「ボイルの法則」だと決めつけるのでしょうか?
答えは簡単です。要はこの問題の“解法”が「ボイルの法則」を使っていたことを記憶しているからです。
ですから、問題を考えるよりも先に「ボイルの法則を使うはずだ」という先入観に囚われてしまうのです。
ここには全くといって良いほど「基礎概念の原理的な理解」がありません。
ただ“解法”を知っているだけの状態です。
しかし実際の入試問題では、ボイルの法則が当てはまらない条件で問題を作るなど、平気で裏切ってきます。
入試問題は、“解法”を知っているだけの人を落とすために作られているといっても過言ではありません。
ちゃんと応用できる人は、“解法”を習得するだけでなく、基礎概念の原理的な理解に重きを置いて勉強しています。
上の問題であれば、「そもそもボイルの法則とは何か」「どのような条件だとボイルの法則は使えるのか」といったことを丁寧に逐一チェックします。
ちょっと捻られると太刀打ちできなくなる人とはここが大きく違うのです。
基本問題というのはただ解ければ良いというものではないのです。
むしろ解けるなんていうのは当たり前の次元でなければ困ります。
そうではなくて、基本問題の中で、自分の基礎概念の原理的な理解に誤りがないかに徹底してこだわるべきなのです。
基礎概念こそ真の意味で「教科書レベル」なのです。
まとめると、“解法”の習得ばかりに勤しむ人は、“解法”を知ったらそこでおしまいなのです。
ただ、知っているだけで使えるわけではない。
これが、点数が伸び悩む原因であり、応用力が一向に育まれない原因なのです。
伸びる人は、「教科書レベル」のチェックを厳しく行います。
「教科書レベル」とは基礎概念の原理的な理解を指します。
基本問題というのはただ解ければいいというものではありません。
応用力は、基本問題を解いたときに、“解法”ではなくそこに潜む「教科書レベル」が本当にわかっているのか自分に問い続けることで身についていきます。