公立学校教員の働き方改革
2024/5/25
はじめに
中央教育審議会が5月に発表予定の公立学校教員の働き方改革に関する提言の素案が話題となっています。この記事では、提言内容の概要とその実現可能性、そしてさらなる改善の必要性について掘り下げます。
中央教育審議会の提言内容
提言の概要今回の素案は、「業務の適正化」「学校の体制充実」「処遇改善」の3つの柱を掲げています。具体的には以下の内容が含まれています。
1. 業務の適正化
- 行事の精選
- 事務作業のデジタル化
- 教員の仕事を授業中心にシフト
2. 学校の体制充実
- 教員の定数を増やす
3. 処遇改善
- 「教職調整額」を基本給の4%から10%以上に引き上げ
残る課題
評価と課題これらの提言は、教員の負担軽減と労働環境の改善に向けた重要な一歩です。しかし、以下のような課題も残っています。
1. 残業代の支払い体制
- 教職調整額の引き上げは歓迎すべきですが、残業代の支払い体制そのものの改革は見送られています。現在の教員の月平均残業時間は小学校で約41時間、中学校で約58時間に及んでおり、調整額10%では対応しきれません。
2. 授業準備時間の不足
- 教員が授業に追われ、勤務時間内に教材研究や授業準備を終えられない状況は依然として深刻です。持ちコマ数の上限設定とそれに基づく教員配置が必要です。
3. 教員不足
- 教員の欠員が続く状況では、教育の質を維持することが難しくなります。少子化に伴う教員の余剰をうまく活用し、教員数の確保に努める必要があります。
中長期的な視点での改革
長期的な視点での改革提言の実現に向けては、文部科学省や自治体が具体的な行動計画を策定し、進捗状況を定期的に公開することが重要です。また、以下のような中長期的な視点での改革も併せて進めるべきです。
1. 年間授業時間数の見直し
- 効果的な授業時間の設定により、授業時間を短縮しながら質の高い教育を提供する自治体に対して裁量を持たせることを検討すべきです。
2. 教育の質と労働環境の両立
- 働き方改革と授業の革新を同時に進めることが求められます。例えば、ICTを活用した授業の効率化や遠隔教育の導入など、新しい教育手法の導入も視野に入れるべきです。
まとめ
公立学校教員の働き方改革は、教育の質を向上させるために避けて通れない課題です。今回の提言は重要なステップであり、その実現に向けた具体的な行動が求められます。同時に、さらなる改善を見据えた長期的な改革も併せて進めることで、「学校はブラック職場」というイメージを払拭し、教員が安心して働ける環境を作り上げることができるでしょう。
参考文献:日経新聞2024年4月26日社説「教員の残業削減へ抜本改革を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2038O0Q4A420C2000000/
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