オンライン家庭教師マナリンク
算数

図形も割合も「なんとなく」で解かせない。深掘り型算数指導のすすめ

2025/6/25

こんにちは、オンライン算数講師の木村です。


「この問題、どうしてこう解いたの?」

「……なんとなく、です」


これは、私が多くの小学生と関わる中で、最もよく耳にする答えのひとつです。

一見、解けているように見える。でも、なぜそうなるかを自分の言葉で説明できない。


この「なんとなくで解ける」状態こそ、算数の成績が伸び悩む最大の原因です。

今回は、そうした“表面的な理解”を克服し、応用問題にも対応できる力を育てる

【深掘り型の算数指導】についてご紹介します。




■ 「できる=理解している」とは限らない


計算は速い。ドリルはこなせる。でも、文章題や図形、割合になると正答率が一気に落ちる——

そうしたケースは、表面的な「できた」に隠れた“理解の穴”が原因です。


実際、次のような質問をしてみると、その差は明確になります。

「どうして三角形の面積は、底辺×高さ÷2になるの?」

「速さ・距離・時間の関係を、言葉で説明できる?」

「割合って、“比”とどう違うの?」


多くの子どもたちは、「公式は知っているけど、意味はわからない」と答えます。

この状態のままでは、初見の問題やひねりのある出題に対応できません。




■ 「わかる」と「説明できる」は、まったく別の力


私の指導では、「答えを出す」ことよりも、「なぜそうなるのかを説明する」ことに重点を置いています。

それが【基礎力強化メソッド】の中心である“言語化”の力です。


このメソッドでは、生徒に対してこんな問いかけを繰り返します。

「どうしてこの計算を選んだの?」

「他の解き方もある?」

「友達に説明するなら、どう伝える?」

こうした問いを通して、単なる暗記や思い込みに頼った解法ではなく、

**「構造を理解し、自分の頭で考える力」**を育てていきます。



■ 割合や図形は“見えない概念”だからこそ、深掘りが必要


特に算数の中でもつまずきやすいのが、「割合」や「図形」です。

これらは、具体物がない抽象的な概念であり、見た目の理解だけでは不十分です。


たとえば「〇円の3割引」と言われて、式は立てられても

「なぜ“1−0.3”なのか」「“3割”とは何の“何割”なのか」が分かっていない子がたくさんいます。


図形でも、「補助線は引いたけど、なぜ引いたのかは分からない」というケースが多いです。

こうした“なんとなくの成功体験”は、難しくなるとすぐに通用しなくなります。




■ 深掘り型算数指導の具体的アプローチ


私の授業では、以下のようなアプローチを取り入れています。


◆ Step1:誤解のあぶり出し


まずは「わかっているつもり」を見つけ出します。生徒に説明させることで、理解の曖昧な部分が明確になります。


◆ Step2:言語化トレーニング


「なぜ?」「どうして?」を繰り返し、自分の言葉で論理を再構築させます。これにより、公式の“意味”を根本から理解できます。


◆ Step3:図式化・構造化


図や表を使い、頭の中にある情報を「見える化」します。とくに図形問題では、補助線を「感覚」でなく「論理的に」引けるよう訓練します。


◆ Step4:誤答分析と再言語化


間違えた問題はチャンスです。どこで思い違いをしたのか、どうすれば防げたかを言葉で説明させ、思考のズレを修正していきます。




■ 「考えること」を楽しめる子は、どんな問題にも強くなる


深掘り型の算数指導を続けると、ある変化が起きます。

「なんとなく解く」のではなく、「こう考えたから、この答えになる」と言えるようになるのです。


この変化が起きると、応用問題や初見の問題にも柔軟に対応できるようになります。

「新しいタイプの問題なのに、落ち着いて解けた」

「文章が長くても、焦らず条件を整理できた」


これは、“本質を理解している子”だけが持つ強さです。




■ 保護者の方へ——「正解」だけで安心していませんか?


お子さまのノートに○が並んでいても、「この問題、なぜそう解けたの?」と聞いてみてください。

もし明確な説明が返ってこないなら、それはまだ「表面的な正解」です。


“わかるふり”のまま学年が上がると、必ずどこかで壁にぶつかります。

その前に、今、基礎を深く掘り下げておくことが、何よりの準備になるのです。




■ 最後に|「できる」ではなく「使える」算数力を


私は、ただ公式を教えて終わりにするような授業はしません。

なぜそう考えるのか、どう説明できるのか、どう他の問題に応用できるのか——

それを一緒に考え、言葉にして、定着させていく。それが私の指導です。


もし、お子さまが「算数、ちょっと苦手かも」「応用になると急にできなくなる」

そんなお悩みをお持ちでしたら、一度ご相談ください。


“なんとなく”を“自信”に変える深掘り型算数指導で、確実に力を伸ばしていきます。

このブログを書いた先生

算数のオンライン家庭教師一覧

算数のブログ

小学生の算数、実はゆとり教育の頃よりずっと"重い"です⚡

最近の算数って、私たちが習った頃より難しすぎるのでは?そう感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると——今の算数は“ゆとり教育の頃”と比べて、明らかに量も難しさもアップしています。現場で子どもたちを見てきた実感としても、そして実際の指導要領の変化を追ってみても、この10〜15年で算数の内容は“質も量も大きくアップ”しています。📃ゆとり教育(2002年~2011年頃)当時の算数は、どちらかというと「基礎・基本をゆっくりしっかり」という方針でした。・単元が今より少ない・文章題はシンプル・授業スピードもややゆっくりそんな印象でした。「一度つまずいても、なんとなくついていける...続きを見る
えりの写真
えりオンライン家庭教師
2025/11/30

算数の問題を解剖する—「処理」と「思考」の狭間で

多くの保護者の方、あるいは生徒さん自身が、「算数が苦手だ」と口にします。しかし、その悩みを聞いていると、少し不思議な感覚に陥ることがあります。「算数」という巨大な敵と戦っているようでいて、実はその正体が何なのか、誰もはっきりとは見ていないような、そんな感覚です。今日は、ある興味深いデータを元に、算数の問題を「解剖」してみたいと思います。敵の正体がわかれば、戦い方も自ずと決まるものですから。時間が支配する5つの世界中学入試の算数は、1問あたりにかけられる時間によって、明確に性格が異なります。これを混同してしまうと、マラソン大会で全力疾走をするような、あるいはその逆のような、非効率な事態に陥ります...続きを見る
ヒロユキの写真
ヒロユキオンライン家庭教師
2025/11/26

【中学受験算数】 過去問演習で成績を伸ばすための基本戦略

受験勉強の中でも、過去問演習は非常に重要なステップです。実際の試験形式や出題傾向を把握し、時間配分や解答力を養うことができるため、効率的な学習には欠かせません。しかし、ただ闇雲に過去問を解くだけでは効果が薄くなるため、効果的に活用するためには注意すべきポイントがいくつかあります。今回はごく基本的な事柄ではありますが、中学受験算数の過去問演習を効果的に行う際のポイントと注意点をまとめました。1. 制限時間を守る、でも最後まで解く:過去問演習では本番の試験と同じ制限時間を守ることが大切です。時間配分の感覚を身につけることで、本番でも焦らずに解けるようになります。ただし、時間内に解けなかった問題があ...続きを見る
武田の写真
武田オンライン家庭教師
2025/11/18

「午前4時の計算ドリル」は精神論か? 中学受験の朝勉を、合理的に分析する。

こんにちは。オンラインで個別指導をしているヒロユキです。神奈川で塾を経営しつつ、岐阜からオンラインで指導を届けています。もう10年ほど、中学受験や高校受験の世界に携わってきました。さて、今日は「朝の勉強」について、少し分析的なお話をしてみたいと思います。午前4時の計算ドリルと、時差ボケの話。中学受験の世界には、いくつかの「神話」が存在するように思います。「あの塾のテキストさえ完璧にすれば受かる」とか、「睡眠時間を削って勉強するのが美徳だ」とか。その中でも根強いのが、「朝勉信仰」ですね。 早朝、まだ薄暗いうちに起きて勉強するのが良い、というものです。これは果たして、単なる精神論なのでしょうか。そ...続きを見る
ヒロユキの写真
ヒロユキオンライン家庭教師
2025/11/12

中学受験・算数の壁を超える「賢いどろくささ」のススメ。なぜ最上位層は「かっこいい解法」に頼らないのか?

中学受験の算数指導をしていると、多くの保護者様からこんなご相談を受けます。「うちの子は思考力はあるはずなのに、ケアレスミスで点を落とします」 「難問は解けるのに、なぜか点数が安定しません」 「スピードを意識するあまり、焦って間違えてしまいます」先日、非常に優秀なある生徒さんの初回授業を担当した際、まさにこの「才能はあるが、得点に結びつきにくい」という壁に直面している様子が見られました。しかし、この壁を乗り越える方法は実にシンプルです。 それは、「かっこいい解法」の罠から抜け出し、本当の意味で「賢い」勉強法を実践することです。今日は、私がある生徒さんに指導し、最上位層の生徒たちが当たり前のように...続きを見る
ヒロユキの写真
ヒロユキオンライン家庭教師
2025/10/30

AIに自分の授業を分析させてみた

近頃、人工知能、いわゆるAIというものが随分と話題になっているようです。何でも分析し、人間が見落としがちなパターンを発見するなどと聞きます。そこで、ふとした好奇心から、僕自身の授業記録(もちろん、個人が特定できないよう配慮した上で)およそ50本分をAIに分析させてみることにしました。指導者としての自分自身を、客観的な目で観察してみようという試みです。結果ですか? なかなか興味深いものでした。まるで、自分の行動パターンを詳細に記述した観察記録を読んでいるかのようでしたね。AIが僕の指導についてどのように分析したのか、少しまとめてみることにしましょう。AIによる「ヒロユキ」の指導スタイルの分析 🤔...続きを見る
ヒロユキの写真
ヒロユキオンライン家庭教師
2025/10/26

この先生の他のブログ

木村の写真

偏差値50→60に爆上げさせるための算数・解法戦略5ステップ

2025/10/8
――“量より質”で思考を鍛え、得点力を一気に引き上げる戦略――偏差値50から60。数字にすればわずか10ですが、この「10の壁」が最も厚く、最も伸びにくい領域です。多くの受験生がここで足踏みし、「勉強しているのに伸びない」「解けるはずなのに点が取れない」と悩みます。だがこの壁を超えた瞬間、算数の世界...
続きを読む
木村の写真

難関校合格を決めるのは“10月以降”──数学で逆転するための最終ロードマップ

2025/10/7
はじめに:10月以降にこそ勝負が決まる理由多くの中学生にとって、3年生の10月という時期は、「残り時間」がはっきり見えてくるタイミングです。多くの教科で総復習や入試問題演習にシフトし始めますが、数学においても「ここからどう仕上げるか」が合否を左右します。9月以前で基礎固め・弱点発見をしてきたとしても...
続きを読む
木村の写真

共通テスト数学の対策こそ言語化を意識せよ!

2025/8/24
はじめに大学入試共通テストにおける数学は、多くの受験生にとって最大の壁です。「公式を覚えたはずなのに解けない」「模試では時間が足りない」「ケアレスミスで点が伸びない」——そんな声を毎年耳にします。こうした悩みの根本にあるのは、思考の整理不足です。ただ問題を解くのではなく、自分の頭の中の考えを「言語化...
続きを読む
木村の写真

成績急落からの逆転ストーリー——停滞の夏を抜け出した生徒の実話と伴走アドバイス

2025/8/20
■ 停滞の夏、成績急落の現実高3の夏。模試の判定はE判定。特に数学は苦手意識が強く、テストのたびに空欄が目立つ。授業は聞いているつもりでも「解ける問題」と「解けない問題」の差が広がり、自分の努力が空回りしている感覚に陥っていた。今回紹介する生徒Aさんも、そんな状況に苦しんでいました。春までは「平均点...
続きを読む