過去問は「解く」な、「翻訳」せよ。秋以降の算数で圧倒的な差をつける志望校の解体新書
秋風が吹き始めると、いよいよ受験生にとっての総決算、「過去問演習」が本格化します。
「第一志望の過去問を解いてみたら、合格点に全然届かなかった…」 「あと◯点足りない!もっとたくさんの年数をこなして慣れさせなきゃ!」
このように、過去問の点数に一喜一憂し、パニックに陥ってしまうご家庭が秋以降急増します。しかし、算数の指導のプロとして断言します。秋の時点で過去問の点数を気にする必要は一切ありません。 それどころか、過去問を単なる「実力テスト」として漫然と“解く”だけの勉強をしていると、第一志望合格は遠のきます。
秋以降の算数において圧倒的な差をつけるのは、過去問を「解く」ことではなく、志望校からのメッセージを「翻訳」し、構造を解体する作業なのです。
1. 過去問を「解きまくる」受験生が落ちる理由
過去問演習に入ると、多くの生徒が「制限時間内に解く → 丸つけをする → 点数を出す → 解説を読んで直しをする」というルーティンを機械的に回し始めます。
しかし、解説を読んで「あ、この公式を使えばよかったんだ」「次は気をつけよう」と手順を丸暗記したところで、来年の入試本番に全く同じ問題が出る確率はゼロです。 点数を出して一喜一憂し、表面的な解き方を暗記するだけの「作業」を何年分こなしても、初見問題に対応する本質的な算数力は1ミリも上がりません。過去問を消費してしまっているだけで、非常にもったいない時間の使い方です。
2. 志望校の「肉付け」を剥がし、基礎へ「翻訳」する
では、過去問の本当の使い方とは何でしょうか。 それは、志望校の出題者が仕掛けた「複雑な日本語(肉付け)」を剥がし、自分が知っている「基礎(骨組み)」へと『翻訳』することです。
どれほど偏差値の高い難関校であっても、小学生が解く以上、使われている算数の「基礎(骨組み)」は一般的なテキストに載っているものと変わりません。出題者は、その単純な骨組みの上に、一見するとそれと分からないような「複雑な状況設定」や「まわりくどい条件(肉付け)」を被せて出題してきます。
つまり、過去問演習の最大の目的は、「この学校は、いつもどんな風に『肉付け』をして受験生を騙そうとしてくるのか」という出題のクセ(構造)を見抜くことにあります。
3. 自分だけの「志望校・解体新書」を作るセルフ授業
具体的には、過去問を解いた後(あるいは解説を読んだ後)の「振り返り」の時間を、解いていた時間の倍以上とってください。そして、ノートの余白に以下の「翻訳ルール」を自分の言葉で書き出させます。
「要するにこの大問は、『相似な図形の面積比』を使うだけの問題だった。」
「この学校は、『速さが途中で変わる』という肉付けをして、ダイヤグラムを書けるかどうかを試してきている。」
「問題文の『〇〇』という一言が、この比を使うサインだった。」
このように、「要するにこれは〇〇の問題だ」と一行の日本語で翻訳し、生徒自身の口で実況中継(セルフ授業)させます。 これを数年分繰り返していくと、「あ、またこの学校特有の『言い回し』だ。騙されないぞ。中身はただの『つるかめ算』だ」と、試験本番で問題の骨組みが一瞬で透けて見えるようになります。
これが、過去問を解体し、自分だけの「解体新書」を作り上げるプロセスです。
4. 点数への執着を捨て、「立ち止まる勇気」を
秋以降、周りの受験生が猛スピードで過去問の年数をこなしていく中、1問に対してじっくりと時間をかけ「翻訳」と「言語化」を行うのは、非常に勇気がいることです。親御さんも「もっと早く解かせなきゃ」と焦るでしょう。
しかし、急がば回れです。 表面的な点数を取りに行くのをやめ、「志望校の構造を言葉で解体する」ことに特化した生徒の算数力は、入試直前の冬に爆発的に伸びます。
過去問は「解く」ものではなく、「翻訳」するもの。 この意識のシフトが、秋以降の算数における最大の武器となります。
【ご検討中の方へ】お問い合わせいただく際のお願い
オンライン家庭教師マナリンクにて、算数・数学指導を行っている木村 拓路です。
私の指導では、「過去問の解き方を教え込む」ような授業はいたしません。生徒自身が過去問の肉付けを剥がし、自分の言葉で論理を組み立てる(セルフ授業する)まで、徹底的に対話を通して深掘りします。
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