2学期が始まり、「算数が遅れている」と焦る前に。35年以上子どもを見てきて思うこと
2学期が始まり、「算数が遅れている」と焦る前に。35年以上子どもを見てきて思うこと
2学期が始まりました。
学校の授業が再び進み始めるこの時期、
「1学期の算数がまだよく分かっていないようです」
「夏休みに復習できないまま2学期になってしまいました」
「このまま授業についていけるでしょうか」
と、不安になる保護者の方もいるのではないでしょうか。
特に、不登校や学校に行きづらさのあるお子さん、HSP・発達特性のあるお子さんの場合、
「学校に行っていない分、勉強が遅れてしまったのでは」
「今からでも追いつかせないと」
と心配になることもあると思います。
私は算数・数学を中心に、35年以上子どもたちの学びに関わってきました。
その中で感じていることがあります。
それは、
「どれくらい遅れているか」を考える前に、「どこで止まっているのか」を見つけることが大切だ
ということです。
「全部分からない」ように見えても、本当に全部ではありません
算数や数学は、積み重ねの教科です。
前に習ったことを使いながら、次の内容を学んでいきます。
そのため、一つのところでつまずくと、その後の単元まで一気に分からなくなったように感じることがあります。
でも、実際に一緒に問題を見ていくと、
「計算はできる」
「九九までは大丈夫」
「図にすると分かる」
「文章を読んで、何を求めればよいのか分からない」
など、子どもによって状態はかなり違います。
全部ができないわけではありません。
むしろ大切なのは、
できているところと、分からなくなったところの境目を見つけること。
私はそこから始めます。
2学期になって「勉強しない」が目立つこともあります
新学期が始まると、学校の授業、宿題、生活リズムなどが一気に戻ってきます。
そこで、
「うちの子、全然勉強しないんです」
という状態になることもあります。
でも、子どもと話してみると、
「どこから分からなくなったのか、自分でも分からない」
「また間違えるのが嫌」
「授業についていけないのが恥ずかしい」
「分からないと言えない」
そんな気持ちが隠れていることがあります。
HSPや発達特性のあるお子さんの場合には、
「問題がたくさん並んでいるだけで嫌になる」
「急かされると思考が止まる」
「一度の説明では頭の中を整理しきれない」
「自分なりの考え方はあるけれど、うまく言葉にできない」
ということもあります。
そういう状態の子に、
「2学期が始まったんだから頑張ろう」
「遅れているところを早く取り戻そう」
と言っても、なかなか動けないことがあります。
アクセルを踏む前に、何がブレーキになっているのかを見ることが必要なのです。
1対1になると、突然できる子がいます
学校では分からなかった問題が、1対1で一緒に考えると、
「あ、そういうこと?」
と急に表情が変わることがあります。
私は、この瞬間を何度も見てきました。
その子の能力が突然上がったわけではありません。
その子に合った説明やペースになっただけなのです。
図にすると理解しやすい子。
具体的な物を使うと分かる子。
言葉で順番に整理すると分かる子。
少し黙って考える時間が必要な子。
学び方は、一人ひとり違います。
学校では集団で授業を進めますから、一人ひとりに完全に合わせることはどうしても難しくなります。
だから、
学校の授業についていけなかったことと、その子に算数の力がないことは同じではありません。
ここは、長く学校現場で子どもたちを見てきたからこそ、強く感じています。
2学期だからこそ、全部やり直そうとしなくていい
授業が進み始めると、
「今の単元も分からない。前の単元も分からない」
となり、焦って総復習を始めたくなることがあります。
でも私は、いきなり問題集を最初からやり直すより、
① できるところを確認する
② どこから難しくなったのかを探す
③ その少し前からやり直す
という順番をおすすめしています。
例えば5年生だからといって、5年生の問題集を最初から最後までやる必要はありません。
つまずきが3年生の割り算にあるなら、そこへ戻ればいい。
文章題だけが苦手なら、計算問題を大量に解く必要はありません。
10問やって8問間違えるより、
その子に合った1問を一緒に考えて、
「分かった」
を一つ作る。
そのほうが、次の学習につながることがあります。
「今の授業に追いつく」だけを目標にしなくていい
2学期が始まると、
「早く今の授業に追いつかなければ」
と思ってしまいがちです。
でも、
「ここまでは分かる」
「ここから分からなくなった」
「こう説明してもらうと分かる」
ということが分かるだけでも、大きな前進です。
現在地が分かれば、次に進む道が見えてくるからです。
特に、不登校や学校に行きづらさのあるお子さんの場合には、勉強だけを切り離して考えられないこともあります。
今、勉強に向かえる状態なのか。
何が苦手意識につながっているのか。
どの単元でつまずいたのか。
どんな説明なら理解しやすいのか。
私は、問題をたくさん解かせる前に、まずそこを見ます。
「できないところ」より、「できるところ」から始める
算数や数学が苦手になっている子にも、必ずできている部分があります。
私はこれまで多くの子どもたちを見てきましたが、
「算数ができない子」
というより、
「その子に合う学び方や、つまずいた場所がまだ見つかっていない子」
と感じることのほうが多くあります。
2学期が始まり、少し焦りが出てくる9月。
全部を急いで埋めようとするのではなく、まずお子さんの現在地を見つけてみてください。
そして、
「ここはできているね」
という場所から始めてみてください。
次の一歩は、思っているより小さくても大丈夫です。
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