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【総合選抜入試対策】大学における3つのポリシー 徹底解説

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2025/5/20


この記事では、大学が公開を義務付けられている3つのポリシーについて解説しています。

大学を知る基礎知識として、長文とはなりますがご参考にしてください。


文部科学省は、大学改革を推し進めるという点から、2017年(平成29年)4月から、すべての国公私立大学に対して3つのポリシーを策定し公開することを義務付けました。

ポリシーとは、方針や方向性という意味で、大学教育においてどのような方針を立て、実施していくのか広く社会に示すことを大学の責務としたのです。


3つのポリシーですが、次の通りとなります。

アドミッション・ポリシー:入学者受入れの方針となり、受験に大きく関わります。

カリキュラム・ポリシー:教育課程編成・実施の方針となり、教育カリキュラム、教育内容・

方法、学習成果の評価となります。

ディプロマ・ポリシー:卒業認定・学位授与の方針となり、学生が身に付けるべき知識や資

質、技量(スキル)を明確に示し社会に送り出すにはどのような教育が必要であるのか受け入れる社会や企業も注目することとなります。


学位授与の学位ですが、大学を卒業すると学士という称号が授与され、例えば文学部で所定の課程を修了すると学士(文学)となります。また、大学院では、修士や博士の称号が授与されます。


今回、3つのポリシーの詳細を解説し、ポリシーを理解したうえで総合選抜入試にどのように活かしていくのかポイントを徹底解説します。


3つのポリシーを解説する前に、大学教育の基本となっている点を押さえておくことが必要です。特に私立大学では伝統ある大学が多く、そこには創立者の存在があります。

創立者が大学を創設した当時の思い、つまり建学の精神や教育理念を知っておくことでそれぞれのポリシーが策定された背景や今なお継承されている点が理解できます。

各大学のHPにも公開されていますので、歴史、建学の精神や教育理念に目を通しておきましょう。

アドミッション・ポリシーとは

大学入試を受験する上で、入学者の受け入れ方針を明示しているアドミッション・ポリシーは極めて重要だといえます。

どのような学生を求めているのか、またどのような学問に関心があり大学でどのような知識を身に付けていこうとしているのかというさまざまな視点から受験生を選抜する旨が示されています。

さまざまな入学試験の選抜方法があるのも、学問に対する志(こころざし)と高等学校までに培ってきた高度な知識や論理的な思考力を持つ受験生を獲得しようという意図が見受けられます。


アドミッション・ポリシーでは、具体的な入学者選抜方法の明示が必要とされています。

一般選抜入学試験、大学入学共通テストを利用する入学試験、アドミッションズ・オフィス方式による入学者選抜、公募制推薦選抜入学試験、指定校制推薦入学試験など多岐に渡る入学試験があり、それぞれに特色や受験科目が設置されており難易度も異なります。


アドミッション・ポリシーの例

アドミッション・ポリシーの理解を深めるために、ある私立大学のデータサイエンスを学ぶ学部のポリシーを一例(抜粋)として概要をご紹介します。


◎求める学生像として、文化についての知識や関心とともに、データサイエンスの技法を学ぶための基礎となる知識と技能を身につけている

◎探求的カリキュラムを十分に生かすための言語の運用能力に加え、数理的な理解力・表現力・思考力を身につけている

◎人間をとりまくさまざまな文化現象の中に新しい価値を見いだし、それを社会問題の解決につなげようとする開拓的かつ向社会的な精神をもつ


さらにアドミッション・ポリシーでは、それぞれの学部が受験生に対して狙いとしている点やどのような科目を重点的に学習すればよいのかなど、受験に対する方向性を見つけたり学習法のヒントになることも見いだすことができます。


ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーとは

大学に入学すると、それぞれの学部では履修に関する要項が配布されますが、必修科目や選択科目、必修選択科目、他学部で受講できる科目、自由科目(卒業単位に算定されない科目)など詳細な科目と卒業に必要な要件や単位数が細かく記載されています。

学生は、科目の内容や評価が具体的に示されているシラバスを見ながら自ら卒業までの学習計画を立て、時間割を組むことになります。


ディプロマ・ポリシーでは、在学中に学生が身につける知識や資質、能力・技量を明確にした方針となりますが、端的にいえば卒業に必要な要件となります。

学部ではさまざまな科目が設置され開講されますが、学生の知的好奇心や将来に目指す資格を考えて自由に学ぶことができます。

大学コンソーシアムという大学連携組織が提供している単位互換科目もあり、他大学の授業を受講し自大学で単位が認定されるという制度もあります。

大学では、卒業要件に沿って4年間の学生生活で幅広く学ぶことができる環境が整えられています。


カリキュラム・ポリシーの例

カリキュラム・ポリシーは、教育課程を意味し大学で実際に行われる教育内容を指します。

◎必修科目(卒業までに必ず単位を取得しなければならない科目)

主に専門性を持つ科目で、学部教育の根幹ともいえる科目が多く、学部を卒業するためには必須の知識や素養が教育内容となっています。

◎選択科目(卒業までに学部が必要とする単位を取得しなければならない科目)

選択科目では、類型(科目分野によって類型分けされ、さらに類型の中に科目群を置くなど選択の幅を広げた形で科目が設置されています。

学生は、こうした科目に対してシラバスを通じて講義内容や授業計画、評価方法(学期末試験や授業の出席、レポートなど)を知ることができ、講義の詳細を把握してから受講を決めることになります。

ポリシーの活用法

3つのポリシーの中でも、大学受験という点からするとアドミッション・ポリシーが最も重要となります。

受験しようと考えている大学について、まずは情報収集が必要となるでしょう。

多種多様の情報が満載な大学のHPをチェックする点やオープンキャンパスに参加するなど、

実際にキャンパスの雰囲気に触れておくことも大切です。

特に建学の精神や教育理念に共鳴し理解することで、志望理由書に大学を選択した理由を自分の言葉で記述することができます。

志望理由書では、なぜこの大学なのか、なぜこの学部なのかという点を強調して記す点に加え面接では即座に明解な受け答えができるよう事前問答を準備しておくのも得策かもしれません。


また、卒業後の目標や取得したい資格、どのような職業に就きたい・活動したいという点も整理しておき、自分の言葉でわかりやすく説明できるようにしておくことも肝要です。


このような点を踏まえて、受験しようと考えている大学に対して学びたいという熱意を伝えることができれば、志望理由書や面接はクリアできるといっても過言ではありません。


さらに、アドミッション・ポリシーで示されている総合選抜入試の試験科目(小論文、面接、口頭試問、プレゼンテーションなど)やどのような点が評価対象となるのか十分なチェックをしておくことも必要です。

小論文の過去問や問題集を利用することで、課題(テーマ)について文字数をいろいろと設定してみて文章を書く練習をすることが重要です。この場合、オンライン家庭教師などから添削や解説といった指導を仰ぐことでライティングスキルの向上を得ることができます。


小論文では、出題されたテーマの意図する点をよく理解し、PREP法に沿った構成を綿密に考えてから実際に書き始めることが大切です。

最初に示した結論が、最後に示す結論と齟齬(食い違い)があると、論理的な思考が不十分とみなされるのでぶれることなく順序だって論理的に記述することを心がけるとよいでしょう。


また情報収集の一環となりますが、受験しようとする学部に関係する事柄、新聞を読む、ニュースを見る、ネットで調べてみるなど常にアンテナを張っておくことが望ましいです。

まとめ

これまで、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーについて解説しました。

この3つのポリシーは、大学受験だけでなく、在学中や就職の際にも思い起こすことが必要となる場合もありますので、大学生活における注目すべき大学のポリシーと理解しておきましょう。

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