いわゆる年内入試に対する大学側の狙い、受験生の想い
2025/4/11
評論家が話すようなたいそうなタイトルとしましたが、要は私が苦手な大学にまつわるお金の話です。
儲けない、財布にあるお金でやりくりする
大学は、企業と異なり営利を追求する組織ではありません。
主たる目的、本分は教育と研究です。つまり、大学はお金儲けに目を向けるべきではないという大前提があります。
保護者様からお納めいただく学生納付金、国や地方自治体からの補助金、校友などからいただく寄付金で収入の大半を占めます。
いわゆる学校法人会計は、企業会計とは異なり、単年度の収入で1年をやりくりしていくことになります。
入学定員×学生納付金、補助金、寄付金などおおまなか収入は把握可能で、これを基に予算を組み単年度で執行するということになるかと考えられます。
要は、サラリーマン家庭のように年収がいくらで、この範囲で生活をしていくという点と似ています。
お金が潤沢にあればもちろん大学も潤うのですが、入学定員を大きく超えて学生を受け入れることで収入を増やそうとすると、文科省からは大目玉を食らいます。補助金を減額しますとさらりと通知が来て、学長が呼び出しを受けたりすることもあります。
受験料収入は大きな収入源
「志願者数10万人超え!」と毎年志願者数ランキングを目にすることがあります。
大手の私立大学は受験料収入を増やすことに大学の入試戦略や広報戦略、ブランディングを全て結集させてしのぎを削る傾向にあります。
大学は儲けないと示しましたが、複数受験割引やなんやかやある点は別にして、仮に1学部30,000円の受験料として10万人の志願者を集めると、ざっくり30億円の収入を見込むことができます。
年内入試に対する大学側の狙い、受験生の想い
ここで本題の年内入試ですが、年内入試といえば、学校推薦型選抜や総合型選抜が挙げられますが、特に総合型選抜で志願者を集めたいという大学の狙いが透けて見え隠れします。
・大学経営という視点から好都合なのは、総合型選抜の入学手続きを年内で締め切ることで収入を早めに確保できる
・受験生は年内に入学する大学を決めることができ、つらい受験勉強を早めに終えることができる(もちろん合格後に多くの課題提出やレポート作成などが待ってはいるのですが)
難関と言われる大学では、総合型選抜の募集人数が少なく、学力を重点化した一般選抜を重視する傾向がまだまだ見られますが、将来的には学校推薦型選抜や総合型選抜が入試の主流となるような状況が訪れると仮定すると、大学はさらに広報の戦略的な展開を中心とした年内入試に力点を置くことになるでしょう。
【志望理由書~面接】学校推薦型・総合型選抜(総合対策)
https://manalink.jp/teacher/15118/courses/17381
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