現代文の入試問題に出る「概念」とはなにか?
2024/8/9
抽象的なことが書かれてある文章を読むのが苦手だという人に向けて、今回は「抽象」についてお話したいと思います。
抽象とは「同じ」ということ
抽象は同じということです。例えば、動物という言葉は抽象名詞です。なぜなら、動物という「もの」はこの世に存在しないからです。
「うちの猫」とか「となりのわんこ」のような具体的な生き物は具体です。
他方、「うちの猫」と「となりのわんこ」の共通点、すなわち動物は抽象です。
では、猫と犬とライオンとオランウータンと象とカブトムシと人間を1つの抽象名詞で言い表せばどうなるのか?
例えば、生き物になります。
理性と感性とはなんぞ?
つまり、個別具体的なものの同じところを抽出した結果生まれた言葉が、抽象です。
ところで、大学入試に取り上げられる多くの現代文のベースにある概念は、理性と感性の対立です。もちろん理性も感性もともに抽象です。
理性とは、言葉や数字でなんらかを表そうとする脳の作用のことです。これはみんなと共有することができます。1+1=2というのはみんなで共有可能です。
他方、感性とは、言葉や数字で完全に表すことのできないすべてのことです。すなわち私たちの個別具体的な経験のことです。昨日友達とLINEをしていて面白かったけど悲しかった、という個別具体的な経験をいくら他人に説明したところで、そのディテールやニュアンスまでをもあなたと同じように理解してくれる人はいないでしょ? 感覚というのは究極的には他者と交換不可能なものだからです。
安上りかつ近道とは?
大学入試の現代文の問題文は抽象を表すさまざまな言葉が使われています。すなわち具体的なものやこと煎じ詰めた結果生まれた、不可算名詞が散りばめられています。その言葉の意味を機械的に覚えても、あまりいいことはありません。「どのような個別具体的なものたちを寄せ集めた結果生まれた言葉なのか?」が分かれば、やがて抽象的なことを書いてある現代文がすらっと読めるようになります。
こういうのは高校生一人で勉強するには限界があるので、塾や家庭教師に頼ったほうが結果的にお得です。とりわけ早稲田大学の入試問題は、学部生が読むような哲学の入門書や概説書から問題文が引用されています。哲学なんて抽象の塊のようなものですから、哲学を学んだことのある先生、かつ哲学に酔いしれていない先生の教えを乞うた方が、結果的に安上りかつ近道です。
この先生の他のブログ
大学受験の記述問題において、問題文の要約をさせる問題は以前からしばしば出題されています。小論文も著者の主張を記述させる問題だけでなく、 5000文字を超える課題文をその1割以下の文字数で要約させる問題が出題されたりしています。また、最近では英検においても英文を要約する問題が出題されています。要約とい...
総合型選抜や学校推薦型など、推薦入試を受験なさる受験生の皆さん、小論文対策は進んでいますか? それにしても暑いですね。というわけで、今日は、小論文には正解が存在する、ということについてお話したいと思います。小論文における正解とは?端的に申し上げれば、課題文型の小論文に関しては、正解が存在します。何が...
今夏はありがたいことに、夏期講習だけで45コマあり、ブログを書く暇もなく毎日せっせと授業をしていましたが、本日だけ奇跡的に授業がないので、今日は古文が読めない原因と克服法についてお話したいと思います。 助動詞と重要古語?古文が読めないという悩みを抱えている多くの人は、「一応」自分なりに助動詞と重要古...
やる気というものは、当たり前ですが、気合いだけでは出ません。まず環境をつくる必要があります。中学受験で頭が止まっている人はとくに。 環境のつくりかたまず、やるべきことを整理します。たとえば、中高一貫校の英語はやることが非常に多いので整理整頓が絶対に必須です。この教材は単語を覚える用のもの。教科書は音...