【日米年収比較】一流企業も医者も“安いニッポン”…大学生が今すぐ知るべき現実
先進国から脱落する「安い日本」──これから大学に入る君へ、給料の真実と10年後の地図

1ドル=160円。この一行に、これから大学へ進む世代の未来が凝縮されています。 親世代が信じてきた「いい会社に入れば安泰」という地図は、もう現在地を指していません。本記事は、感情論ではなく 公的統計とドル建ての数字 だけを根拠に、いま起きていることと、これから起きることを冷静に描きます。
1. まず、足元の事実から

日本で働く人の「平均給与」は、最新の公式統計で 478万円 です。これは国税庁の令和6年分・民間給与実態統計調査の数字で、4年連続の増加・過去最高とされています(出典①)。
「過去最高なら悪くないのでは?」と思うかもしれません。問題は モノサシ です。478万円という数字は円建てであり、しかもその円が、世界に対して急速に値下がりしているのです。
執筆時点の為替はおよそ 1ドル=160円。1年前は約144円でしたから、何もしなくても、ドルから見た日本人の給料は1年で1割以上目減りした計算になります(出典②)。給料の額面が増えても、世界の市場で買えるモノの量は減っている。これが「安い日本」の正体です。
2. 世界の中での順位──もう「先進国」とは言いにくい

ここで一番効く数字を出します。OECD(経済協力開発機構)は、各国の平均賃金を 購買力平価でドル換算(=物価の違いをならして「実際にどれだけ買えるか」で比べる方式)して公表しています。為替の一時的な変動を除いた、もっとも公平な国際比較です。
その結果、日本の平均賃金は 加盟38か国中25位、G7では最下位。南欧のスペインやイタリア、東欧のリトアニアといった国々の下に沈んでいます(出典③)。
さらに象徴的なのが韓国との逆転です。日本は 2013年ごろに韓国に追い抜かれ、その差は開く一方です。OECDの発表ベースでは、韓国が約4万8,922ドルで19位、日本は約4万1,509ドルで25位という年もありました(出典④・⑤)。1991年には23か国中13位だった日本が、2021年には24位まで落ちています(出典⑤)。
ポイントは、日本が「下がった」のではなく 30年間ほぼ横ばいのまま、他国に上昇で追い抜かれ続けた ということです。OECDの賃金データを見ると、多くの先進国が右肩上がりの曲線を描く中、日本だけが30年間ほぼ一直線です(出典③⑤)。立ち止まっている者は、走り続ける集団の中では後退します。
3. 「いい職業」でもこの差──日米の年収を並べてみる
「平均の話でしょ。一流企業や医者なら関係ない」と思う人のために、トップ層どうしを比べます。為替は1ドル=160円で円換算しました。
区分平均年収(現地通貨)円換算(160円)日本・全国の平均給与478万円―日本の一流企業(上場トップ500社平均)約1,025万円―日本の内科医約1,250万〜1,600万円―アメリカの一流企業(ビッグテック中央値)約30万〜38万ドル約4,800万〜6,100万円アメリカの内科医約29万〜31万ドル約4,700万〜4,950万円
数字の中身

日本の一流企業:全上場企業のうち平均年収1,000万円超は184社、トップ500社の平均でも約1,025万円という水準です(出典⑥)。総合商社の上位でも、たとえば三井物産が約1,996万円(出典⑦)。つまり「日本で最高クラスの会社」でも、額面でようやく2,000万円前後です。
日本の内科医:調査により幅がありますが、最新の求人ベース調査で内科医の平均は約1,599万円、病院勤務医全体で約1,481万円(出典⑧)。賃金構造基本統計調査(令和6年)では医師全体で約1,338万円です(出典⑨)。日本では「医師 ≳ 一流企業社員」という関係になっています。
アメリカの一流企業:ここで景色が変わります。メタ(旧フェイスブック)の従業員の年収 中央値 は、SEC提出資料ベースで約37万9,000ドル(出典⑩)。中央値とは「ちょうど真ん中の人」の額で、平均ではありません。GoogleやAmazonも中央値で約30万ドル前後とされます(出典⑪)。160円換算で 約6,000万円。日本の一流企業の3倍です。
アメリカの内科医:内科は米国では医師の中でむしろ報酬が低い側ですが、それでも複数調査の平均で約30万9,000ドル(出典⑫)。ZipRecruiterで約25万8,000ドル(出典⑬)。医師全体ではMedscape調査で2024年に約37万4,000ドル、最新では約38万6,000ドルとされています(出典⑭)。円換算で約4,700万〜6,000万円。
ここで気づいてほしい逆転があります。日本では「医師 > 一流企業」なのに、アメリカでは「一流企業 ≧ 内科医」 なのです。これは、知識とスキルが世界市場で値付けされる国と、職業のヒエラルキーが固定された国の差でもあります。
4. なぜこうなったのか(短く)
理由を一つに絞るなら、「日本の賃金が円建てで30年止まっている間に、世界はインフレとともに賃金を上げ続けた」 ことです。賃金が上がらない→値上げできない→企業がさらに賃金を抑える、というループに加え、近年は円安が「ドルで見た日本人の価値」を一段と押し下げました(出典⑤)。
大事なのは、これが日本人の能力の問題ではない、という点です。同じ日本人が海外で同じ仕事をすれば、給料は数倍になり得ます。国境という装置が、給料の単位を決めている のです。
【筆者のコラム】私は迷わず外資を選んだ

ここで一つ、私自身の話をさせてください。「いま大学を卒業するとして、日本企業と外資系、どちらを選びますか?」と聞かれたら、私は即答します。外資系です。
これは綺麗事ではありません。実体験です。今から35年以上前、私は大学を卒業して最初の就職先に イギリスの企業 を選びました。当時、日本の大手企業からも内定をいただいていました。それでも迷わなかったのは、新卒時点の年収が、日本企業のおよそ 4〜5倍 だったからです。社会に出るスタートラインで、これだけの差がついていた。35年も前に、です。
外資系では、10年以上働けば、日本人の生涯収入に匹敵する額を稼ぐことも十分に可能 でした。私自身、17年ほど勤めたところで外資を離れ、その後は数年間、あえて何もしない生活を送ることもできました。それだけの余裕を、若いうちの選択が生んでくれたのです。
正直に言えば、いま考えても、私が日本企業に入る気にはなりません。収入の差 はもちろんですが、それだけではありません。日本企業の細かく厳しい規則や、独特の組織文化──そうしたものが、私自身の性に合わなかったというのも大きな理由です。
私が伝えたいのは「日本企業が悪い」ということではありません。選択肢があったこと、そしてその選択肢を取れる準備が自分にあったこと が、人生を大きく変えた、ということです。35年前ですら4〜5倍の差があったものが、円安が進んだいま、その差はさらに開いています。これから社会に出る君たちには、私の時代以上に大きなチャンスと、大きな分かれ道が待っています。
5. これから大学に入る君へ──10年後の地図を予想する

ここからは予測です。断定はできませんが、いまの趨勢が続いた場合に高い確率で起きることを書きます。
予想①:「日本で完結する人生」と「世界で稼ぐ人生」の格差が、世代内で開く。 同じ大学・同じ学部を出ても、英語で世界市場の仕事に接続できる人と、日本語の国内市場だけで働く人とで、生涯所得が2倍3倍違う時代が来ます。学歴のブランドより、「どの通貨で、どの市場に向けて働けるか」 が効いてきます。
予想②:それでも日本に住む価値はなくならない。むしろ「稼ぎは外、暮らしは日本」が最強になる。 安全・食・医療・治安・物価の安さ——これらは世界的にはむしろ希少な資産です。円が安いということは、ドルやユーロを稼ぐ人にとって日本は「世界一コスパのいい暮らしの場所」になるということでもあります。悲観すべきは「日本に住むこと」ではなく、「日本円だけしか稼げない状態に閉じ込められること」です。
6. では、何を準備すればいいのか

結論はシンプルです。通貨と市場を選べる人間になること。 そのための具体的な武器は、大学に入る前後の数年で十分に仕込めます。
英語を「受験英語」で終わらせない。 世界市場に接続する唯一にして最強のインフラが英語です。読む・書く・話す・聞くを、試験のためでなく「ドルで稼ぐためのOS」として鍛える。これは出自や家庭の経済力に左右されにくい、最も公平な投資です。
「日本でしか通用しない資格・スキル」と「世界で通用するスキル」を見分ける。 同じ努力なら、後者に時間を寄せる。
どの学部に行くかより、「身につく力が国境を越えるか」で選ぶ。 ブランドではなく、ポータビリティ(持ち運べるか)で考える。
お金そのものも、円だけで持たない発想を早く知る。 為替の話を「難しい大人の話」にせず、自分の人生設計の前提として理解しておく。
「日本はもうダメだ」と嘆くのは簡単です。けれど、いま十代の君たちが立っているのは、親世代が一度も立ったことのない有利なスタート地点 でもあります。世界がこれほど英語とオンラインでつながり、個人がどこからでも世界市場の仕事を取れる時代は、人類史上いまだけです。
円が安いのは、君の価値が安いという意味ではありません。値札を貼り替える市場を、自分で選べばいい。 その選択肢を持つための準備を、大学に入る前から始めてください。
出典一覧
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査結果について」(2025年9月公表、平均給与478万円) https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2024.htm
為替レート(USD/JPY、執筆時点で約160円・1年前は約144円) https://www.xe.com/currencyconverter/convert/?Amount=1&From=USD&To=JPY
OECD「Average Annual Wages」/OECD雇用見通し2024 国別報告書(日本) https://www.oecd.org/ja/publications/2024/06/oecd-employment-outlook-2024-country-notes_6910072b/japan_85e15368.html
朝鮮日報「OECD平均賃金ランキング 韓国は4万8922ドルで19位、日本は4万1509ドルで25位」(2024年) https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/05/24/2024052480006.html
第一生命経済研究所 熊野英生「平均賃金で見た『安い日本』」(OECDデータに基づく順位推移・韓国逆転の時期) https://www.dlri.co.jp/report/macro/203118.html
プレジデントオンライン「平均年収が高い『全国トップ500社』ランキング2025」(トップ500社平均約1,025万円、1,000万円超184社、全上場企業平均672.8万円) https://president.jp/articles/-/112532
ダイヤモンド・オンライン「年収が高い会社ランキング2025(東京・トップ5)」(三井物産 約1,996万円) https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/5e52e34708973a54425dbdb8d724ac8036602341
ドクタービジョン「内科医の平均年収はどのくらい?」(内科医 約1,599万円、病院勤務医全体 約1,481万円。2025年9月時点求人ベース) https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/money/physician-25.php
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和6年)」に基づく医師平均年収 約1,338万円(医師転職研究所まとめ) https://www.dr-10.com/lab/doctors-income-data/
Business Insider「Meta's median pay for employees is $379,000 a year」(SEC提出資料、2023年の従業員年収中央値) https://www.aol.com/metas-median-pay-employees-379-192527623.html
TheStreet「Median Salary At Big Tech Companies」(メタ約30万ドル、Google約28万ドルの中央値) https://www.thestreet.com/employment/median-salary-big-tech-companies-amazon-google-meta
RoshReview「What's the Average Internal Medicine Salary in 2025?」(Medscape/Doximity/Marit平均で約30万9,039ドル) https://www.roshreview.com/blog/whats-the-average-internal-medicine-salary-in-2025/
ZipRecruiter「Internal Medicine Physician Salary」(米国の内科医平均 約25万8,317ドル) https://www.ziprecruiter.com/Salaries/Internal-Medicine-Physician-Salary
Medscape Physician Compensation Report 2025/2026(医師全体平均 約37万4,000〜38万6,000ドル) https://weatherbyhealthcare.com/blog/annual-physician-salary-report / https://www.whitecoatinvestor.com/how-much-do-doctors-make/
このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら
英語のおすすめの指導コース
- 日大の内部進学時に必要な「基礎学力到達度テスト」の対策が必要な方
- 日大の人気の高い学部や学科を考えている方
- 「基礎学力到達度テスト」の出題傾向に合った最短距離の対策が必要な方
- 英検の受験を控えている方
- 英検3級以上の取得を目指している生徒さん
- 英検1級合格までの最短ルートを知りたい生徒さん
- 楽しく的確な指導で確実に英検に合格したい方
- リスニングと文法と単語学習を一度に勉強したい方
- 英検に挑戦したいけど何からどのくらいやればよいのか分からない方
- 外大受験をする
- パートごとの攻略法を教えてほしい
- 自分の解答に対してしっかりとしたフィードバックがほしい
- 英検1級2次試験(面接)に挑戦するが、なかなか合格できず、苦戦されている方
- 試験直前に「できる限り態勢を整えて」自信をもって本番の試験に臨まれたい方
- 2次面接でなかなか合格できず、合格の糸口をつかみたい方