【総合型選抜・推薦入試・探究活動】 キャリアイベントを活用して高校生活を楽しもう!
2025/6/23
◆ 一般入試だけが進路ではない時代に
かつては、大学入試といえば「センター試験+一般入試」というルートが主流でした。しかし現在、多くの大学が「総合型選抜(旧AO入試)」や「学校推薦型選抜(公募・指定校)」の枠を拡大し、高校時代の取り組みや人物像を重視する入試が広がりを見せています。
文部科学省の統計によれば、すでに私立大学の約半数の入学者が総合型・推薦型入試で入学しており、国公立大学でも導入が進んでいます。この流れは今後さらに強まると予想されており、進学を目指す高校生にとって「学力試験」以外の評価軸がますます重要になっています。
私自身も、以前は専任教諭として、今も非常勤講師としてある高校で教鞭をとっていますが、その間にもどんどん総合型や推薦型の入試が拡大してきていることを実感しています。
ただし、難関校については、依然として一般入試の率もかなり保たれていますので、難関校を志望する場合で十分な学力が備わっているという場合には、一般入試をベースにしつつ総合型選抜を併用の選択肢として組み込むくらいが良いかもしれません。
◆ なぜ「活動歴」が評価されるのか?
総合型選抜・推薦型入試では、学力だけでなく、高校生活で何に取り組んだか・どんな力を育てたかが評価の中心になります。たとえば以下のような要素が重視されます。
〇 学校外でのコンテスト・大会への参加歴
〇 ボランティアや地域活動への貢献
〇 探究学習や課題研究の実績
〇 リーダーシップやチームワークを発揮した経験
〇 自分の将来像に結びついた行動履歴
大学側がこうした点を重視する理由は、「主体性」「思考力」「社会性」「将来の展望」といった、入学後の伸びしろや大学教育との相性を見極めたいからです。つまり、「何を学んだか」と同じくらい、「どう学び、どう行動してきたか」が問われるのです。
◆ 高校生活を充実させるには ― キャリアイベントの活用
では、どうすればこうした「活動歴」をつくることができるのでしょうか。もちろん部活や生徒会、課外活動も立派な取り組みですが、さらにおすすめしたいのが高校生向けのキャリアイベントへの参加です。総合型選抜や学校推薦型選抜において活動歴として高く評価される高校生向けのイベントは多くありますが、以下にいくつかの例を示します。
※ 大会の中止・変更など、情報が古かったり、誤りがある可能性もあるので、実際のイベントについては各イベントのHPなどで確認してください
こうしたイベントへの参加は、単なる履歴書の飾りではなく、自分の興味関心を深めたり、自分らしい将来像を描いたりするための絶好の機会です。もちろん、大学の志望理由書や面接でも強力なアピール材料になります。
また、これらの活動は、必ずしも何かの賞をもらったりしなければ総合型選抜などで有利にならないわけではありません。もちろん、入賞することは非常に有利に働きますが、仮に入賞できなかったとしても、「どんな目的意識をもって参加したか」、「その体験が自分にどんな刺激を与え、何を考えたか」、「その体験は大学でやりたいことと、どのように関係があるか」などを明確に説得力をもって伝えることができれば、活動に参加したこと自体が非常に強力なアピールポイントになります。
上にご紹介したものは全国規模のものが多いですが、他にも私企業などが主催するキャリア教育やボランティア活動、体験活動はとてもたくさんあります。たとえば「高校生」、「キャリア教育」、「体験プログラム」、「ボランティア」などで検索すると多くのものが表示されると思いますので、興味があるものに参加してみるというのも良い刺激になるかもしれません。
◆ 「何をやるか」より「どうやるか」が問われる
活動歴を積むうえで、「どんなイベントに出たか」という肩書きだけにこだわる必要はありません。たとえば、何もイベントに参加しなかったとしても、学校内の生徒会活動や委員会活動、部活などに意欲的に取り組んだり、町の小さなお祭りや町内会のボランティア活動に参加したりといったことでも良いのです。(ただし、難関大になればなるほど、より大きな活動の方が評価されやすいということはあるかもしれません。)
一番大切なことは、自分で考え、行動し、振り返る経験を重ねて、それを自分できちんと言語化できることです。たとえ規模が小さくても、「なぜそれをやろうと思ったのか」、「そこで何を得たか」を語れる経験は、入試においても大切ですが、将来社会に出てからも必ず活かされます。
◆ 高校生活を楽しもう!
大学への進学や進路の選択ばかりに目が行ってしまうと、高校時代を「大学に入るための準備」と考えてしまいがちですが、高校生活は自分を表現する大切な舞台です。単に総合型選抜や推薦入試の評価対象になるからということだけではなく、自分自身を表現し、輝かせる舞台の一つとして、様々なイベントに参加してみるのもよいのではないでしょうか。自己を実現できる場は、何も勉強や部活だけではありません。
昔と違って、今は様々なイベントが身近なところにゴロゴロ転がっています。また、それらの多くは(交通費などの実費を除いて)無料であることが多いです。お金をかけずにネットを通して参加できて、しかもそれらがもしかしたら自分にとっての新しい世界を開いてくれる可能性を持つのだとしたら、こんなに楽しくて贅沢なことはありませんよね。
学力と並んで、「どんな高校生活を送ったか」が問われる時代。だからこそ、一歩踏み出して、自分の可能性を広げる経験を積み重ねてみてはいかがでしょうか。もしかしたらその一歩が、受験だけでなく、皆さんの人生をガラリと変える、何かのきっかけとなってくれるかもしれません。
この先生の他のブログ
速さの問題の中でも、ダイヤグラムの問題は「解けそうで解けない」と感じている受験生も多いのではないでしょうか。一見すると、グラフの中にもいろいろとヒントになる数字があり、「何となくヒントをいじっていけば解けそうな…」と感じる人も多いかもしれません。ですが、ダイヤグラムの問題はむやみやたらにヒントをいじ...
大学入学共通テストの世界史対策について「いつ頃から取り組んだらいいですか?」という質問がよく寄せられます。率直に言って「学習状況によって違う」のですが、それでもおおよその時期や目安などはお話しできるかと思います。今回は、大学入学共通テストの実戦問題集や過去問に取り組む時期について、だいたいのスケジュ...
中学受験に挑む小学6年生にとって、6月から7月にかけての時期は「勝負の夏」の入り口となる時期です。しかしこの時期、多くの受験生や保護者が焦りや不安を感じるのも事実です。今回は、6月から7月にかけて、特に多くのご家庭で見られるお悩みと、その具体的な対処法について考えてみたいと思います。◆ 悩み1:模試...